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2***年 12⁄31 10:05
その朝はとても寒い朝だった。
その日は午後から友人の花と近くのデパートで遊ぶ予定があったのですぐに身支度を終えて花に電話した。
携帯の着信音が部屋全体に鳴り響いた。
だが花は10秒ほど経っても電話に出ない。
(いつもなら3秒くらいで出るのにな…もしかしてまだ寝てるとか、?)
そんな事を考えながら花が電話に出るまで切らずに待っていた。
しばらくすると
花「ごめんごめん!電話出るの遅れちゃった〜!」
という花の大好きな声が聞こえてきた。
「花がこんなに電話出るの遅いって珍しいね。なにかあったの?」
花「なんかあったってほどじゃないけど〜…犬にエサあげてただけ!」
なんだ、それだけか。なんて事を思いながら私は花にある確認をする。
「ところで花、ちゃんと薬飲んだ?」
花「うん!ちゃんと飲んだよ〜!でもあれめんどくさいし飲みたくないんだよね〜」
「…その気持ちはわかるけど、花が薬飲んで進行遅らせる事だけでもしたいっていったんでしょ?」
花「それはそうだけどさ〜…だってアルツハイマーって根本的に治せないんでしょ?じゃあ別に飲まなくてもよくない笑?」
「…はぁ…」
花「あーはいはいわかったよ薬これからもちゃんと飲むから!ため息吐かないで…」
「…わかったならいいよ。」
そう、私の1番の親友である花はアルツハイマー認知症という病気なのだ。この病気は根本的に解決はできないが、薬で進行を遅らせることができる。
「…ねぇ、花。一つ聞いてもいい、?」
花「ん〜?なにを聞きたいのかな〜?この花センセーにいろんなことを聞いちゃって〜!!」
「…花はさ、私の事どう思ってるの?」
花が私の事を忘れないかどうか心配になって私の口から出た問い。なんでこんな事を聞いてしまったんだろう。やっぱり今からでも無かった事にしよう。
花「…どーしたのいきなり、」
「…いや、やっぱなんでもない!今の質問は忘れて」
花「…1番の親友だよ。」
無かった事にしたかった問いに対して予想外の嬉しい答えが返ってきた。でももうここで問うのをやめよう。
「…じゃあさ、」
花「…は?」
嗚呼、なんでこんな事を花に聞いてしまったんだろう。 わかってるのになんでやめられないんだろう。
自分を責める言葉を心の中でずっと吐き出していた。
花「…忘れないよ。約束する。」
私は固まってしまった。
まさか花からこんな言葉が返ってくると思っていなかったからだ。きっと花なら
『いやいや、アルツハイマーなんだから忘れるに決まってるじゃん笑!』
なんて言葉を返してくると思っていたからだ。
「…本当に、?」
花「もちろん!もし忘れたらうちの事殺してもいいよ!笑」
「…ありがとう、花。」
その言葉を最後に私は電話を一方的に切ってしまった。
私がこんな事を聞いてしまったせいで午後からの約束が気まずくなりそうだな。なんて思いながら時計を見ると10:10を指していた。
まだ平気だな。と思いながらソファに横になると、段々と瞼が重くなってきてしまった。15分だけ…と思っているといつの間にか私は寝てしまっていた。
目を覚ますと見覚えのある家の玄関に居た。
…嗚呼、あれは夢だったんだな。
またこの現実と向き合わなければいけないのか。
目の前には何回も何回も殴られ無様な姿になった花が居た。
思い出したくないのに全てを鮮明に思い出してしまった。
全て理解してしまった。
理解したくもないのに。
この目に映る全ての現状は私が全てやった事の結果だ。
私は花を殺してしまった。
でも私は悪くない。
そうだ。私は悪くなんてない。
だって花が言ったから。
全部、全部。
殺す原因になったあの日の花の言葉を夢の中で聞いた。
確かに花が言っていた。
花は私の事を忘れないと約束した。
忘れたら花を殺してもいいと言った。
でもあれは冗談で言っていたって当時も、今も理解している。
でも私のせいで花という1番の親友である存在がこの世からいなくなったという事を認めたくないから。
だから全部花のせいにした。
だって花があんな事を言うからいけないんだ。
その日は花の誕生日で、私は花を驚かせようと花の家にいきなり向かった。
ピーンポーン
花「どちら様でしょうか、って…」
「花っ!今日誕生日でしょ?サプライズで来ちゃった!」
花「…あの、すみません。どちら様でしょうか…?」
「……は、?」
忘れないって言ったのに、約束するって言ったのに。
花「…あの、大丈夫ですか?」
「…許さない。」
花「…え、?」
「……なんで、?」
花「……誰だかわからないけど、ごめんなさい。」
「…ねよ」
花「…今なんて、?」
花「ぁ…え、」
花「…ご、ごめんなさ…」
花が謝罪しようとしたであろう所を私は玄関にあったバットで花の頭を思いっきり殴ってしまった。
花「あ゛ッ、?!」
花「ご、ごめ゛んな゛ざッ、!」
私は無我夢中で何度も何度も花の頭を殴った。
「…花?」
気がついたら花の頭はグシャグシャに潰れてた。
私のだいだいだいだいだーいすきな花の綺麗なカオはもう元の形を保っていなかった。
すごく後悔した。
すごく悲しかった。
すごく苦しかった。
でもなんだかスッキリしてしまった自分が大嫌いだ。
何故か私が殺してしまったはずの友人の声がした。
花?「なに、これ。?」
「は、花ッ、?!」
「な、なんで…?」
「…お姉ちゃん、?」
どうやら私が殺したのは花ではなく花の双子の姉だったようです。
なら私の事を知らないのも納得がいく。
「…ぁ、ぇと、」
何故だろうか。上手く言葉が出ない。
私は悪くなんてないのに。
何故か恐怖を感じる。
花が全て悪いとわかっているのに。
…けれどこんな事を考えているうちにも時間は経っている。
なにか花に言葉を返さなければならない。
花「は、?」
あーあ。なんで頑張って捻り出した言葉がこれなのだろう。
きっと、いや絶対に花に失望された。
さっきの言葉をどうにかして撤回しなきゃ。
花「お前なに言って、」
あーもうなんか止まんないや。止めなきゃってわかってるのに止まらないなぁ…
花「…なんだよそれ。」
花「ふざけんのも大概にしろよクソ野郎…」
「ふざけてなんかない。いたって真面目です。」
もうここまで来たなら感情爆発させちゃおうかな。
どーせもう取り返しつかないんだし。
花「ねえ…お願いだから…」
「もう生き返らないの。」
思った事全部言っちゃった。
でもなんかスッキリしたな。
花「…じゃあ一つお願い。」
「…なに?」
その瞬間、私のお腹には生暖かい感覚が広がった。
「…ゴフッ」
どうやら私は花に急所を刺されたようだ。
花「今までありがとう。大好きだよ。」
「…って言う割にはしっかり急所刺してくれるね、笑」
花「…うん。」
「どーせ大好きってのも嘘でしょ、?笑」
「それならいーよ別に笑」
「アタシあんたの姉ちゃん殺しちゃったし。笑」
花「…違う。」
花「…大好きなのもホント。」
花「でもお前にタヒんで欲しいのも本当。」
「…あっそ。笑」
「…てかさ。」
「あんた、最後の最後で弱音吐かないでよね。」
「罪悪感芽生えちゃったじゃんか、笑」
花「…逆にうちが弱音吐くまで罪悪感無かったわけ?」
「うん。だってホントにあたし自分は悪くないと思ってたもん。」
「でもあんたが姉ちゃん返してって嘆くせいで潔くタヒねなくなっちゃったじゃんか、笑」
花「…タヒんだらさっさと成仏してよね。」
花「呪われたくないしうち」
「…成仏できなかったらあんたのせいだけどね笑」
花「…刺されてるって痛い、?」
「そりゃね。だって刺されてるんだから。」
花「…早くタヒにたい?」
「んー…まあここまで来たならさっさとタヒんじゃいたいよね~…痛いし」
花「…心臓ってどこらへんにあるの、?」
「だいたい分かるでしょ、笑」
「てか楽にしようとしてくれるのはありがたいけどもうちょっとサプライズ的な感じでトドメ刺してよ。笑」
花「…こんなんにサプライズなんてあってたまるかっての」
「たしかに、それもそうだね笑」
「…じゃ、そろそろやって。」
花「…わかった」
「…あ。ごめんちょっと待って」
「最後に言いたいことある。」
花「…なるべく手短にお願い。」
「…今までありがと。1番の親友って言ってくれて嬉しかったよ。」
花「…もういい?」
「…うん。」
「じゃあね。地獄で花の事待ってるよ。」
花「…はいはい、」
花「…お前もお前でいきなり感謝してくんなよな、。」
花「…ばーか、。」
警察官A「動くな!」
警察官B「うわっ、なんだこれ…」
花「…警察の方ですか。」
花「…別に撃つ必要はないですよ。」
花「落とし前くらいつけれますんで心配しないで笑」
警察官B「…は?」
花「じゃ、うちの1番の親友が向こうで待ってるんで。」
警察官A「お、おい待てッ…」
〜𝙀𝙉𝘿〜
ここまで見てくれた皆様、ありがとうございました!
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