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#リオラ軍団
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いやー、重い…でもグッときたわ。未来視で♡♡♡を知っちゃう恭一の立場、しんどいな。でも拓の「正面から堂々と行けばいい」ってのがめっちゃ頼もしかった。コンビの信頼感がいいわ。 水科さんの盗撮被害、裏サイトのコメントが生々しくて胸糞悪かったけど、ああいう現実的な描写があるからこそ、探偵コンビが動く意味が際立つ。次の展開が気になるー!🔥
恭一は、水科愛莉に触れることで未来視が発動した。
結果、
『水科愛莉は近い将来、首吊り自殺をする』
という未来を見た。
このまま何もしなければ、その未来は訪れてしまう。
だが行動することによって未来は変わる。
体育が終わった後の休み時間、恭一は拓とともに空き教室に向かった。
誰もいないことを確認し、先ほど見た愛莉の未来について、拓に話した。
「首吊り自殺か……」
拓は腕組みをした。
「さっきの本間まゆとの会話で、水科愛莉は極度の不安に駆られていることが察せられた。何か悩みがあるようだが、相当深刻なもののようだな」
恭一も腕組みをして唸った。
「どうする? 俺たち水科さんと親しくないから、話を聞きだすのは難しいぞ」
「おいおい、恭一。俺たちは探偵だぜ」
「自称だろ」
「自称でも他称でも、俺たちはたしかな実績を残してきた。それはこの学校にいる人たちには充分伝わっている」
「それは、まあ」
「ならばグダグダ考える必要はない。正面から堂々と行けばいいのさ」
次の休み時間、拓は空き教室に水科愛莉を連れてきた。
常々感じていたことだが、拓の積極性とコミュ力の高さはすごいものである。
恭一は、改めて愛莉を間近で見た。
明るめの黒髪をボブカットにした子である。目鼻立ちは非常に整っており、誰もが振り返りそうな美人だ。ただ、目元にはくまがあって顔色も悪い。頬も少しこけており、病的な雰囲気を感じた。
「何の用?」
愛莉は警戒心を滲ませた声で言った。
「水科さん、深刻な悩みを抱えているでしょ」
愛莉の目つきが鋭くなった。
「……何でそう思うの」
声がさらに刺々しいものに変わった。
「まさか、あんたたちが犯人なの!?」
「犯人?」
拓は首を傾げた。
「探偵が犯人ってミステリーも当然あるが、俺たちは清廉潔白な存在だぜ」
「そもそも何の犯人だ?」
恭一も疑問を呈する。
愛莉は警戒を解かず、じっとこちらを睨んでいた。
拓は小さくため息をつき、話を進める。
「今の水科さんを見れば、大抵の人は悩みがあるってわかるよ。でも水科さんは、その悩みを誰かに打ち明けることができず、追い詰められている。このままでは近いうち──水科さんは死を選ぶ」
愛莉は驚愕に目を見開いた。
「どうして……」
やはり胸中にはその考えがあったのだろう。
その未来は、観察や推理で見抜いたものではないが、拓は口八丁に話を進める。
「俺たちは探偵なんでね。人間観察に優れているからこの程度は推理できるんだ」
拓は前髪をかきあげた。
役者のようなキザったらしい所作ではあるが、奴がすると様になっているのが腹立たしい。
「俺たちはあなたを救いたいんだ」
愛莉は深呼吸をした後、話しだした。
「……噂は聞いてる。いくつも事件を解決してるみたいね。身近な問題だけじゃなく、警察が捜査するような難事件も解決してるって聞いたわ。片山さんが犠牲になったあのバラバラ殺人から、ノー横の連続殺人も関わってるって」
胸がズキリと痛んだ。
片山さんが犠牲になった──それは、恭一が未だに拭うことのできない、大きなトラウマであった。
彼女のような被害者をこれ以上出さないため、恭一は、拓とともに行動することを決めたのだ。
愛莉は視線を落とし、しばらく迷うように黙り込んでいたが、やがて決意を固めたように顔を上げた。
「あなたたちに相談したい」
そのとき、間が悪いことにチャイムが鳴った。
拓は苦笑を浮かべた。
「詳細はまた後で。とりあえず連絡先だけ交換しよう」
拓はあれよあれよと情報を引きだし、放課後に約束を取り付けたのだった。
*
放課後、恭一は拓とともに個人経営の喫茶店にいた。
拓が待ち合わせに指定した場所である。
当初は校内の空き教室を指定していたのだが、それを愛莉が拒否したのだ。「誰が聞いているかわからない」とのことらしい。
恭一はスマホゲーム、拓は読書に勤しむ。
日が暮れかけてきた頃、愛莉がやって来た。
「遅れてごめんなさい。大会が近いから部活を休むわけにはいかなくて……」
これほど熱心に部活に取り組んでいる愛莉が、近い将来自殺するのだ。彼女が抱える悩みは、これからさらに深刻なものになるのだろう。
さて、やって来たのは愛莉だけではなかった。
彼女の背後には制服を着た男子がいた。彼女はちらりと視線を向ける。
「私の彼氏。一人じゃ心細くて……」
愛莉の彼氏は、軽く会釈した。
ツーブロックのサッパリした髪型で、目つきは鋭いものの、顔全体のパーツが整っているせいか威圧感はない。
「桐谷悠平さんですね」
拓が言った。
名前を呼ばれた男子は目をパチクリさせた。
「知ってるのか?」
「全校生徒の名前と顔はすべて把握しているんでね」
拓は得意げに言った。
それは誇張でも何でもないだろう。もしかしたら住所や電話番号さえも把握している可能性がある。
「桐谷さんも、水科さんの悩みを知っているんですね?」
「ああ。だから同席していいか?」
「もちろんです」
席につき、愛莉はアイスカフェオレを、悠平はコーヒーを注文した。
飲み物が出され、彼らが一口含んだところで、拓は切りだした。
「さて、水科愛莉さん。いったいどんな悩みを抱えているんですか?」
拓はいつもの軽薄な振る舞いから、探偵モードの真面目な口調に変化した。
愛莉は、居心地が悪そうにモゾモゾと動いた。視線をテーブルに落とし、小声で話し始める。
「……実は、盗撮被害に遭ってるの」
「盗撮というと、どんな場面を撮られたんですか?」
「水泳部の更衣室で着替えてるところとか……」
「あなたを狙ったものなんですか?」
愛莉は頷いた。
「いくつか盗撮動画がアップされてたんだけど……全部私のロッカー前を映していた」
「そこしか設置場所がなく、たまたま水科さんを狙ったようになってしまった、という可能性は?」
愛莉はかぶりを振る。
「盗撮動画は着替えの場面だけじゃないの。その、言いにくいんだけど……悠平とエッチしてるところも撮られた」
恭一は面食らったが、拓は平然としており、
「いつ、どこでしていたんですか?」
と淡々と訊き返した。
「放課後の、校内の空き教室」
「それも偶然撮られたというわけではないんですね?」
「動画をアップしてる人は同一人物みたいで、『愛莉ファン』って名乗ってるの。だから私を狙っているのは明らか」
拓はなるほど、と言って頷いた。
「動画がアップされていたのはどこですか?」
愛莉は、『城岩高校裏サイト』と、そこにたどり着いた経緯について話してくれた。
「裏サイトって何だ?」
恭一は疑問を口にした。
「少し前に流行ったネットの掲示板だよ」
拓が答える。
「SNSが流行る前は、ネット上のいじめはそこで行われていたらしい」
恭一はスマホを取りだし、検索してみたが、見つけることはできなかった。QRコードからのアクセスを誘導していたことから、検索には引っかからないようにしてあるのだろう。
「なぜ犯人は、水科さんに裏サイトの存在を知らせたんでしょうね」
拓は言った。
「本人に伝えないほうが、悪事は露見しづらいと思うんですが」
「……私が苦しむ姿を見て楽しむためよ」
「なぜそう思われるのですか?」
「投稿された動画のコメント欄に、こんな書き込みがあったの」
愛莉はスマホを取りだし、画面を見せてきた。
『愛◯ちゃんにこの掲示板の存在伝えたわ』
『マジかよ、ヤバくね?』
『愛◯ちゃんが悩んでる姿を見る方が興奮するだろ』
『たしかにw』
『A◯RIちゃーん! 見てるー? 昨日きみの動画でヌイたよー!w』
『毅然と振る舞う愛◯ちゃんを見ると余計に興奮するだろ』
『愛莉ファンくん天才やな』
以降も、おぞましい書き込みが続いていた。
愛莉はスマホを引っ込めた。
両目には涙が浮かんでいた。
「……なるほど」
拓は深刻な表情で頷いた。
「警察に相談は?」
「してない。警察の捜査を察知したら動画を拡散するって書き込みがあったから……」
現時点でも拡散のリスクは充分ある。ただ、少しでも知られたくないという愛莉の思いも理解できた。それだけに軽々しく意見することはできなかった。
「私、どうしたらいいか……」
愛莉の両目から涙がこぼれた。
隣に座っている悠平は、気遣わしげに彼女の肩を抱いた。
愛莉は、嗚咽を堪えながら語る。
現在、疑心暗鬼の日々を送っているという。
自身の動画を、どれだけの人が見ているのか。コメントの内容を見るに、身近に何人かいることは間違いない。
クラスの陰キャか。いや、それなりに親しい男子だって信用ならない。表向きは普通に接しつつ、裏では自分の身体を自慰行為に使っているかもしれない……。そんな思いに駆られ、精神をすり減らされる日々を送っている、と。
「こんな思い、もう嫌!」
愛莉は身を乗りだした。
「お願い、白村くん、高山くん! 取り返しがつかなくなる前に何とかしてほしいの!」
「俺からも頼む。愛莉を救ってほしい」
悠平は深く頭を下げた。
恭一と拓は、顔を見合わせた。
難しい依頼であることは否めない。
それでも、放置すれば彼女は自ら死を選んでしまうのだ。
恭一と拓は、大きく頷きあった。
愛莉たちのほうを向き、拓が代表して宣言する。
「白村拓、高山恭一の探偵コンビにお任せあれ」