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20☓☓年、アメリカ・ニューヨーク。
観光客と住民でにぎわう大都会を、突如として大量のミサイルが襲った。
轟音とともに次々と爆発が起こり、街は一瞬で火の海と化した。
アメリカ政府はこれをテロ攻撃とみなし、犯行は過激派組織によるものだと判断。
「アメリカテロ対策法」を発表し、国中に厳しい規制を敷いた。
第一条にはこう書かれていた。
“この法を破棄するまでは、海上の移動、夜間外出、車両や列車の使用を一切禁止する。”
その三か月後。
事件の首謀者は、55歳の男──“インフィニティ”であることが判明した。
彼は過激派組織「IN」の最高指導者でもあり、拠点はマイアミにあった。
アメリカ軍とINの激しい戦いは半年にも及び、「マイアミ事件」として語られることとなる。
最終的にアメリカ軍が勝利し、インフィニティと幹部たち5人は絞首刑に処された。
それと同時に、組織INも壊滅した。
……だが、5年後。
世界は再び、予想もつかない恐怖に包まれる。
ある都市が、たった数時間で崩壊する──そんな悪夢のような出来事を、誰が想像できただろうか。
日本。
小学5年生の山田太一は、友達の田中、高橋、井上と一緒に、夏休みに沖縄旅行へ行こうと計画していた。
「水族館行こうぜ!」
「シーサー買いたいな〜」
子どもらしいワクワクした声が飛び交い、持ち物や移動方法、泊まる場所まで相談するのが楽しくて仕方なかった。
だけど、もう一人の仲間──「博士」は、「お父さんの仕事の手伝いがあるからムリ」と断ってきた。
話が終わった頃、ふと気づけば太一は家に戻っていた。
いつの間にか時間が経っていたのだ。お腹がグゥと鳴る。
台所へ向かうと、ママの背中が見えた。
「ママー! ごはんー!」
でも返事がない。
「あれ? 聞こえてないのかな?」
不思議に思って何度も声をかけると──ガリッ……何かを噛み砕くような音がした。
その瞬間、床に“ベチャッ”と何かが落ちる音。
目を向けると、真っ赤な血が飛び散っていた。
ママが振り返る──その顔は、映画に出てくる“ゾンビ”そのものだった。
「な、なにこれ……え……?」
ママの後ろには、パパの首が転がっていた。
信じられない。現実とは思えなかった。
「夢だよね? これ……ゆめ……?」
ママはうめき声を上げながら、よろよろと太一に近づいてくる。
怖くて、怖くて、気づけばまな板の上にあった包丁を手に取っていた。
「やめて、やめてよママ……!」
太一は、恐怖と涙の中で何度も刺した。
動かなくなったママを前に、足は震え、心臓の音が耳の中で大きく響いていた。
「ぼ、僕……とんでもないこと……しちゃった……」
包丁を握ったまま、太一は家を飛び出した。
警察に行こう。交番に行って謝ろう。そう思った。
──でも、外の光景は、知っている街ではなかった。
建物が崩れ、人々は叫びながら走り、あちこちで火が上がっていた。
「なにこれ……夢じゃ……ない……?」
太一は包丁を握りしめたまま、学校へ向かって走った。
「みんな……学校にいるよね……きっと……!」
その言葉を心の中で繰り返しながら、保健室の扉を開いた──。
To be continued…