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私の姿を模した不気味な笑みを浮かべた人形を見て、ぞっとしました。あの人形の顔を見た瞬間から、どうにも気味が悪くなり、その場を離れたいと思いました。しかし、足が全く動きませんでした。まるで地面に吸い付いているかのようにびくともしないのです。それでも必死になって抵抗しているうちに、いつの間にか、私の足元からは土煙が上がりはじめていました。
それは本当に突然の出来事でした。私が立っている地面だけが急に盛り上がったと思うと、次の瞬間には爆発するように弾け飛んでいました。激しい振動とともに、周囲の景色が一変していきます。あっという間に周囲にあったはずの建物はなくなり、代わりに現れたのは一面の緑豊かな草原でした。そしてそこには大きな一本の木があり、その下に一人の美しい女性が佇んでいます。女性は白いワンピースを着ており、長い髪が風に揺れています。彼女はこちらを見ると微笑みかけてきたように思いました。
「やっと会えたわね! さあ早くこっちに来てちょうだい!」
「お断りします」
「……どうして?」
「どうしても何もありませんよ。私はあなたのことが苦手なんです。あと距離近いんで離れて下さい」
「そんな冷たいことを言わないで頂戴。せっかくこうして会いに来たんだもの。もっと喜んでくれてもいいんじゃなくて? それともあれかしら。照れてるのかしら?」
「いえ全く」
「あらそう。残念ねぇ」
彼女は肩甲骨まで伸びた艶やかな黒髪を持ち、その肌の色は透き通るような白さであった。背は高くすらりとしていてスタイルが良く、モデルと言われても疑う余地は無いだろう。顔立ちは非常に整っており、目鼻口のバランスが取れた美形と言える。しかしその表情にはどこか陰があるように感じられた。服装は紺色のブレザーとプリーツスカートといった一般的な制服姿だが、なぜか左腕の部分だけ袖が無く、そこには黒い腕輪のようなものが装着されていた。それはまるで、彼女の左腕が無いかのように見えた。