テラーノベル
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#TL
大好きな幼馴染なのに、本能的に「逃げ出したい」という衝動が全身を駆け巡る。
だけどそれと同時に、どうしようもなく胸が高鳴っていて。
今この瞬間の、暴力的なまでの非日常の興奮が、私をどこまでもドロドロに溶かしていく。
もう、隠せない。
何より、いつも優しかった彼がこんなにも強引に迫ってくるギャップにゾクゾクする反面
この先何をされるのか分からなくて、本気で怖かった。
「……っ、やだ…叶人くん……っ、怖いよ…っ」
恐怖にしがみつくようにして、私の目から涙が溢れ
シーツに小さなシミを作った、その瞬間。
叶人くんの瞳から
それまでの冷徹な肉食動物のような色が、一気にと引き潮のように消え去った。
「さ、さっちゃん……っ!?」
手首を掴んでいた手の力が、ガクンと抜ける。
慌てて私を解放した彼は、ベッドの上に膝をついたまま、完全にパニックに陥った少年の顔に戻っていた。
「ご、ごめん!違うんだ、泣かせるつもりじゃなくて……っ」
彼は私の顔を覗き込もうと必死に手を伸ばしかけ、触れていいものか激しく迷うように
その大きな手を空中で彷徨わせる。
さっきまでの圧倒的な支配者はどこへやら、ただの慌てふためく幼馴染の男の子だ。
「俺、その……さっちゃんがあまりにも無防備だから、少しは危機感を持ってほしくて」
「ちょっと意地悪して追い詰めたら、すぐ『嘘でした』って白状してくれると思ったんだ…や、やりすぎた。怖がらせたよね、ごめんね 」
俯きながら必死に弁解する姿は、まるで大好きな飼い主に叱られた大型犬のようだ。
「…………」
静寂が部屋を包む中、私の喉の奥から、ふっと小さな笑みが漏れ出した。
限界まで緊張していた心の糸がぷつりと切れて
代わりに温かいものが胸いっぱいに込み上げてくる。
「いいの。……私、叶人くんの言う通り。経験豊富って噂、全部嘘だから」
「…やっぱり、か」
「その…男の人と付き合ったこともなくて、この歳で処女だなんて……みっともなくて笑われると思って。叶人くんにだけは、絶対に言いたくなかったの」
「そんなこと、全然みっともないことじゃないよ。俺がさっちゃんを笑うわけないでしょ?」
「本当……?この歳で何も知らなくても、笑わないの…?」
「もちろん。でも、警戒心が無さすぎるのはダメだと思うよ。いくら幼馴染の俺が相手だからって」
「で、でも……」
「俺以外の男の前でもそんな無防備だったら、悪い男に酷いことされちゃうかもしれないでしょ?」
「だ、大丈夫だよ!他の人の前ではガード硬いもん。私だって大人の女だし」
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