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第12話 不正利用と【111】炎上
通知音が鳴る。
すぐに、また鳴る。
端末を起こさない。
机の上で、振動だけが続く。
しばらくしてから、
画面を見る。
表示名は、
数字。
【111】
流れてくる動画。
切り取られた言葉。
昔の声。
今の文。
同じ名前で、
違う調子。
再生。
停止。
次の投稿。
挑発的な文。
自分の記憶にはない。
指が動きかけて、
止まる。
画面の向こうでは、
誰かが断定している。
誰かが否定している。
切り取り動画の名前が、
別に浮かぶ。
そこではない。
そういう空気が、
少しずつ広がる。
でも、
誰がやっているのかは、
どこにも書かれていない。
端末を伏せる。
椅子に深く座る。
窓の外で、
夜の音が動く。
もう呼ばれないはずの名前が、
まだ動いている。
それを、
止める手段はない。
数字のまま、
見ているだけ。
画面が暗くなる。
残ったのは、
誰のものでもないはずの名前と、
それを見続ける時間だった。
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