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「ソフィア、すごく綺麗になったね。あの頃も綺麗だったけど、本当に元気そうで良かった。
ずっと、ずっとソフィアのことが、気がかりだった……。 ここへ来て驚いたよ。まさかこんなことになってるなんて……。 でも、ソフィアまで巻き込まれていなくて、安心した。」
さりげなくソフィアの歩調に合わせながら、ジャックは、ソフィアをエスコートするように進んでいく。 ガゼボに辿り着くとソフィアをそっと椅子へと案内する。
「ソフィア、ちょっと待って」
ジャックは、胸元からハンカチを取り出すと椅子の上にそっと敷いた。
ジャックの一連のスマートな動作に、ソフィアは驚きを隠せないでいた。
「ジャック、ハンカチが汚れてしまうわ」
「さぁ、座って」
ジャックは、戸惑うソフィアを半ば強引に座らせると、自分も向かいの椅子に腰掛ける。
「ジャックこそ、本当に見違えたわ。あまりに素敵な大人になっているから、何だか落ち着かないわ。本当に本当にジャックなのね…… 良かった……」
ソフィアは、嬉しさのあまり言葉に詰まり、潤んだ瞳でジャックをみつめる。
ジャックは、ソフィアの泣きそうな表情をみて、不甲斐ない自分を責めていた。
ソフィアの目元は、母親譲りだと聞いていた。青系の瞳を持つものが多い中で、ソフィアの瞳の色は、ブラウンだった。瞼は奥二重で、時々二重のように見える優しい目元が印象に残っている。 短かった髪も、今では肩下まで伸びていて、艶もある。指先の酷い手荒れもなくなっていることに安心する。
けれど、長袖なので見えないだけで、きっと身体には、まだあの頃の傷痕があるのだろう。
痩せすぎていたあの頃よりも、健康的になっているので、自分と同じく逃げることができたのだろうとほっとする。 できれば、自分が助け出したかった。
ジャックは、黙ってソフィアを見つめていると、おもむろにソフィアが口を開いた。
「ジャック……あ、あの時は、私のせいで、本当に、ごめんなさい!」
ソフィアは、頭がテーブルにつくのではないかというくらいに、深く頭を下げる。
「ソフィア、顔を上げて、僕の方こそごめん……。ずっと、ずっと気がかりだった。 ソフィアのことを、一日も忘れたことなんてない!ソフィアに謝られるようなことは、何もないよ。悪いのはあいつらだ」
自分のことを“俺”ではなく、“僕”と言うようになっているジャック。
外見や仕草も紳士的になっていて、お兄さん的存在のジャックが大人の男性へと成長していた。 ソフィアは嬉しくもあり、もう自分とは住む世界が違う存在に感じられて少し寂しくもあった。
間違いなくあの頃の自分は、ジャックに支えられていた。
何かと気にかけてくれて、励ましてくれて、一緒に働く仲間として、ずっと同じ時を過ごしていくものだと思っていたあの頃。
突然の別れ。
無事でいてくれることを、ずっと祈っていた。
成長したジャックが眩しくて、ソフィアは取り残された気分になる。
「ジャック……。いったいあの時、何があったの?」
ソフィアは、過去の傷を抉ることになるのではないかと危惧するものの、躊躇いながら問いかけた。