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教室に行くと、2人の人影が見えた。

青野君と、もう1人は……黄喜ちゃん。

2人のかわす視線と空気でなんとなく状況を把握できた。

黄喜ちゃん、やっぱり昨日、青野君に………

「お前何やってんだ?」「ひぃっ!?」

間の抜けた声で一気に視線が私に集まった。

「桃野……!?」「望雲ちゃん…!」

「うわっ、蓮司!おはようどうした?」

振り返ると、同じクラスの橙蓮二が後ろにいた。

蓮二は幼馴染で吹奏楽部に入っている。話によるとフルートやってるらしい。私は立派な帰宅部だけど。

「お前、昔からのこっそり盗み見とかするタイプだったからな〜」「いやぁ〜…」

私は思わず苦い顔になる。

さっきのは盗み見とかでもなんでもないつもりだけれども、昨日青野君と黄喜ちゃんの屋上のやりとりほんとにちょっとだけど盗み見したから反論できずに言葉を詰まらせた。

「ってか、そもそもなんで青野と黄瀬戸のこと見てたんだ?あの2人となんかあったのか?」「あぁ、青野君は………」

一瞬言葉を濁した。

青野君は……私が自殺しようとしたのを止めて勝負を持ちかけてきた。

私が蓮二に自殺をしようとしたのだなんてこと話したら絶対に青野君より怒るに違いない。

「ン゙ン゙ッ゙!ン゙ッ゙!」

私はせきばらいをしてから切り出した。

「私、黄喜ちゃんが……青野君に告白したのかと思った。2人、昨日は普通だったのに、今日会うなり気まずい感じだったから。」「そうか……確かにそれっぽい雰囲気は出てたよな。」「うん。」


勝負が来週の土曜日だから………えっと……

今日含めて、勝負まで9日。

私は毎日曲を弾いていた。

「ピアノ、最近よく頑張ってるな。」

父さんがしゃべりかけてきた。

「うん。」「全国大会は行けなかったが……また挑戦するか?」「あ………」

少し発言に迷った。

あの時はもう、姉さんを亡くして、ピアノの全国大会にも行けなくって、だからもうどうでもよくなって………自殺しようとしたけど。

今、青野君に勝負を持ちかけられて、こうやってまたピアノの鍵盤に指を置いている。

「どうしよっかな………」

ぼそっとつぶやいた。

「なんか迷わせちゃったな。練習中に、ごめんな。」「ううん、大丈夫。」

私はうなずいて、ピアノに目を戻した。

翌日。(勝負まで8日!)

中学校で、新しい課題があった。

生徒がクラシックの音楽にもっと興味を持ってもらうために、作曲家について調べる課題を出された。

クラスの半分が、批判の声を漏らした。

当然だ。今の世代の若者だったら、自分の親が生まれるより前に作られたクラシックの曲よりもJ-POPとかの明るいソング派の方が多いと思ってる。私はその例外だ。クラシックっていう落ち着いた曲の方が大好きだ。

「お前、課題のやつ誰調べるんだ?」

蓮二が放課後に聞いてきた。

「私はモーツァルトさん。私、今「ピアノソナタ第11番」って曲弾いているの。それの作曲者だよ。蓮二知らない?」「モーツァルトは知ってるが…なんだその曲。」「あっ、じゃあ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」って知ってる?」「知らんな。」「えぇ〜ほんと!?じゃあ、「トルコ行進曲」とか…」「それ知ってるぞ!ベートーヴェンのやつだよな?」「ちーがーう…あぁいや、違くないけど!ベートーヴェンさんには失礼だけどモーツァルトさんのトルコ行進曲の方有名だと思うんだけど。」「あぁそうなのか。ってか作曲家の事さん付けするやつ初めてみたかも。」「ほんと。で、蓮二は?」「俺は……どうしよう。俺もモーツァルトにしよっかな。」「ちょっと、パクんないでよ!?」「大丈夫だって。」

蓮二はケラケラ笑った。

私は肩をすくめて、蓮二の隣を歩いた。

ちなみに途中まで蓮二と方向一緒なのでそこまで一緒に帰ります。

家に帰ると、早速課題に取り組んだ。

課題は支給された用紙に自分の調べた作曲家を好きなように書き出していくようになっている。ちなみに期限は次の音楽の授業、4日後。だいぶシビアな課題だけど。クラシック好き派の私にとっては4日で事足りる課題だ。

色々調べて用紙に書き出していると…

「望雲〜ご飯できたわよ〜!」

母さんの声。

時計に視線をやると、あっという間に7時!

用紙には、びっしりと私が調べたモーツァルトさんのことが書かれている。うまく色分けもできてるし、これでいいかも。明日、もう先生に提出しよう。

私はこくりとうなずいて、自分の部屋を出た。

-あとがき-

2日更新を休んじゃったので、ちょっといつもより多めに描きました!「おまもり」も更新していくので楽しみにしててね〜

色とりどりの音色は空に届くはず

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