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『BLACK cat school』〜スクールライフは恋と波乱!?〜
ラトの時間 苦くて甘い
『体育祭最後の種目!借り物競走!選手の皆さんは準備をお願いします。』
そして、私の前に立つ彼。
(私…私が選ぶのは――。)
『クフフ、華さん。』
『ラト……。』
『私は貴方のことが好きです。ずっと私の傍にいてくれませんか?』
ラトは私に微笑む。
『私も好きだよ。私で良ければそばにいさせて欲しい。』
『フフ、では行きましょうか。』
『わっ!』
ラトは私をお姫様抱っこした。
『ちょ、ラト、早…っ!』
ダッダッダ…!
『じゃあゆっくりしますか?そしたら最下位になってしまいます。』
『で、でも…わー!!』
『嬉しそうで何よりです。』
ちょっとズレてるけどこれはこれで楽しいと感じる私なのでした。
体育祭も終わり、普段の落ち着きを取り戻した時、私は部活で吹奏楽部にいた。
『やっぱり音楽は落ち着くな〜。秋の大会に向けてたくさん練習しないと。』
コンコンっ。
『ん?誰だろ。』
ガチャ
『ここにいましたか。』
『ラト?どうしてここに…』
『ミヤジ先生に華さんの場所を聞いたんです。そしたら部活してると思うと言われたので来ました。』
『そうだったんだね。』
『練習中でしたか?』
『ううん。少し休もうと思ってたから。』
『ふふ、それならちょうど良かったです。華さんに見せたいものがあるんです。』
『私に?』
『はい。行きましょう。』
ラトは私の手を取り走り出す。
『ここ、園芸部の花壇だけど…』
『はい。ですがここを見てください。』
『ん?あ、パセリだ!』
『ふふ、特別に植えさせてもらいました。もう収穫できます。』
ラトはしゃがみこみパセリを収穫する。
『ん?今食べるの? 』
『えぇ。新鮮なのを食べて欲しいですから。華さんに。』
ラトは水道でパセリを洗う。
『みずみずしくて美味しいですよ。』
『じゃあ食べようかな。』
パクっ。
『ふふ、そのまま食べる機会なんてないから少し苦いね……』
『…そしたら甘くしましょうか?』
『え――。』
チュッ。
ラトは私の髪を耳にかけてキスをする。
『な…っ!』
『ふふ、パセリの味がします。』
『な、な…っ!どこで覚えてきたの!』
『おや、ルカス先生に苦いものを甘くするには好きな人からのキスだよと教わったのですが……。』
(ルカス…っ。何教えてんのよ。)
『嫌でしたか?』
『…やじゃない。』
『ふふ、それなら良かったです。おかわりもありますよ。』
『もうしばらくパセリは遠慮します……っ。』
(見る度に思い出しそう…。)
苦いはずのパセリは魔法にかけられたみたいに甘くなった。それは彼のせいで。
𝑯𝑨𝑷𝑷𝒀 𝑬𝑵𝑫__