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男の子は私に気づくと、本から顔をあげて優しく微笑んでくれた。
「こんばんは、こんな真夜中にどうしたの?」
「あなたこそ何をしているの?」
私が彼の傍まで行って本の中を覗きこもうとしたら、彼は本を閉じてしまった。
「記録を眺めていたんだ。君はまだ若い。早く帰らないとご両親が心配するよ」
私と同い年くらいの男の子にそんなことを言われたものだから、私ってばカチンときちゃって。
「言われなくても帰るわよ! ふんだ!」
そっぽを向いて、そのままかえちゃったの。
だけど彼とはその後も真夜中に公園で顔を合わせる仲になっていった。
どうしてそんなことになったのかしら?
ああ、そうだ。
私が外に出されるときは決まって母親の友人が家に来ているときだった。
ベランダに出されて、「物音ひとつたてるな」ときつく言い聞かされていたの。
母親は家の中でドタバタして奇声をあげていたのに、不公平だなって不満に思っていた。
友人が帰ったあとの母親は機嫌がよくなるから我慢できたのだけれど、やっぱり退屈で気づくと私は母親の目を盗んで公園の男の子に会いに行っていた。
どうやって会いに行っていたのかしら?
そしてある日突然母親が蒸発し、父親にも捨てられた私はマンションから追い出された。
その日からたくさん子供のいるお屋敷で生活することになったのだ。