「玄弥ー!おーきーてー!」俺は朝っぱらから大声で起こされた
「ううっ………匡近さぁん?」
「そう!匡近だよ!起きて!」
そう匡近さんはにっこりと笑った
ああ、俺、この人の笑顔、大好きだ
あったかくて、優しくて、お日様に包まれてるみたい………
「分かりました………んんっ、ふわぁ……」
「よっ、起きたか?」
「あ、風神さん」
「今日は刀が時の人がくるから、綺麗にしとけよ」
「はい!」
刀鍛冶が来る時間
しゃらん……しゃらん
鈴の音?
コンコン
「お、刀鍛冶かもしれんな、玄弥、お前行ってこいよ」
「え、俺がですか?」
「ああ、お前の客だ」
「………分かりました」
「はい、今行きます」
ガララッ
『おやおや、貴方が鬼殺隊士ですか?』
「あ……はい」
『私は貴方の刀鍛冶の『藤咲』と申します』
『以後、お見知り置きを』
「あ藤咲さん、よろしくお願いします」
「おー玄弥、刀届いたか」
風神さんが俺と藤咲さんのもとにやって来た
「あ!藤咲さん!こんにちわ!」
『匡近様、お元気ですか?』
「はい!俺はすっごく元気です!」
『そうですか、それは安心しました』
「玄弥の刀ですか?」
『えぇ、玄弥様の刀でございます』
『それでは玄弥様、刀を抜いてみてください』
「は……はい」
色……変わるかな、俺は前回は全く変わらなかった、だから、少し不安だ
チャキッ、スーッ
「…………えっ」
ズズ………ズズズッ
「色が………変わってる」
嘘だ………え、本当に?
『おお………これはこれは、綺麗な青磁色ですねぇ』
「おおっ!!凄いな玄弥!このい………ええっ!?玄弥!?」
「ううっ………ヒクッ」
「ちょ、何急に泣いてんだよ!どうした!?」
やばい、俺、泣いてる
「ごめっ、俺………っ」
「え?!」
「あ、風神さん、おはようございます」
「おう、おはよう、けど、どうした?」
「………すいません、急に泣き出してしまって」
「その………刀の色が変わったことが、嬉しくて」
「え?」
「その………俺、才能ないから、きっと刀の色も変わらないのかな……って思ってて」
「それで………っ、変わった事が、嬉しくて……っ」
「…………玄弥、お前は才能のある凄いやつだよ」
「でも、俺、風の呼吸、あってない!」
「誰にでも呼吸に合う合わないがある、だけど、玄弥はただ呼吸があってないだけ」
「何にも問題ないんだよ!」
「匡近さん………っ!」
「そうだぞ、お前は俺が認めてんだ、お前には才能がある」
「………ありがとうございます!!」
「俺、とりあえず自分の呼吸を探すのに頑張りますね!」
「「おう!」」
『それでは、次は隊服です』
藤咲さんはそう言った
「わ、あ、すす、すいません!その、泣いてしまって」
俺は思わず謝ってしまった
『いえいえ、鬼殺隊の方でも、そう言う人たちはいるので、ご安心してください』
………本当に藤咲さん、怒らない人だな
『それでは、この隊服を着てみてください』
「分かりました」
それから隊服を着た
「着ました!藤咲さん!」
俺は藤咲さんの元に駆け寄った
『あらあらまぁまぁ、とても似合ってますよ、玄弥様』
「へへっ、そうですか?」
俺の隊服は、前回同様、洋装の隊服だったが、羽織は少し変えてもらおう
「あの、羽織なんですけど」
「あぁ、それなら、背中に文字、入れたぞ」
「え?!なんで?!」
「お前、背中に文字入れたいってつってたじゃねぇか」
「なんの文字かは分かんねぇけどさ、多分あれだろーなぁと思って」
「風神さん………っ」
俺の羽織に入れたのは、白い『殺』と言う文字
これは前回、兄貴が背中に入れていた文字だ
「玄弥、本当にこれでいいのか?」
匡近さんは俺に聞いてきた
「え、何ダサい?」
まぁ、確かに、兄貴みたいにカッコ良くは着れないけど………
「いや、ダサくはないんだけどさ」
「なんか………殺意むき出しって感じ」
まぁ、それはそうだよな()
「………俺のこの羽織は、『鬼は皆殺し』って意味があるんです」
前に悲鳴嶼さんから聞いた事がある、兄貴のあの羽織の意味は『鬼は皆殺し』って意味だって、それは、鬼が憎くて憎くてしょうがないって事で、その羽織を着てるって
「だから、俺はこれがいいんです」
「そうか!確かに、玄弥は鬼への憎しみが強いもんな!」
「ちょ、匡近さんっ……!」
あってはいるけど、いざ言われると恥ずい((((
『ふふっ、仲のいい隊士達ですね、風神様』
「だろ?俺が今家で見てきた奴らの中で、一番で思うわ」
『それでは、長居してしまって申し訳ありません』
『私はこれにて帰らせてもらいます』
「あ、送ります!」
『いえいえ、そんなお気になさらず』
「いえ、俺がしたいので!」
『………では、少し出てからまででいいですか?』
「はい!」
しゃらんしゃらん
綺麗な鈴を鳴らしながら、藤咲さんは帰ろうとした時、俺は言い忘れていた事があったことを思い出した
「あの、俺の刀、打ってくれてありがとうございます」
『いえ、私はただ当然のことをしたまでなので、お礼を言われるようなことは何もしていませんよ』
いやいや、お礼言ったんだからだからな??
「あ、いえ、俺が本当に思ったんです」
「この鬼殺隊には、日輪等が必要不可欠、その刀を貴方達が売ってくれているおかげで、俺たちは鬼を狩れている」
俺たち鬼殺隊に日輪等は必要不可欠、だから
この刀がないと、俺たちは鬼に負けてしまう
「その事実は、変えられないので!」
「なので、俺は貴方に、刀鍛冶の人に感謝してるんです」
あの時、俺は呼吸が使えないことに焦りを感じていた
「このままじゃ兄貴に会えない」
“柱になんか到底慣れっこない”
“ダメだ、強くならないと”
“今より鬼を喰って、喰って、喰って………っ!”
それで俺は、刀鍛冶の人に、ひどい態度を取ってた
だから俺のこれは、罪滅ぼしと、お礼を言いたかった
『………ふふっ、私たちのような人をそんなふうに思ってくださるのは、貴方が初めてですよ、玄弥様』
「え?」
『……これは玄弥様にしか、話さないのですが、私たち刀鍛冶は、鬼殺隊の方に疎まれやすいんです』
「え?なんで??」
なんで刀鍛冶の人が??
『理由は、私たち作る刀でも、鬼を殺せないから』
『鬼はこの日輪等で首を切って殺す、けど、剣士としての才能がない方々は、それを逆恨みして、刀に八つ当たりする』
『なので、刀鍛冶は、意外と恨まれやすいんですよ』
「………いやいや、おかしくね??」
『え?』
「なんで刀鍛冶が作ってる刀に八つ当たりしてんの?」
「それはその人の実力がないだけで、ただその人が弱いだけじゃん」
「なのになんで刀に八つ当たりすんだ??意味分かんね」
「それに、この刀は黒曜石って言って、日光の力でできてんだろ?その凄い石から鬼を殺す最終手段の”刀”を作ってもらってるのに、なんでそんなふうになんなきゃいけねぇんだよ」
「はぁー、マジで今の世の中おかしいわ、腹たってきた!!」
『…………玄弥様、ありがとうございます』
「え?何が?」
『私たち刀鍛冶のことを、そうやっていってくるれるのは、貴方ただ一人だけです』
『それに………少し、心が晴れました』
「………べ、別に、俺は、思ったことを言っただけだから………」
『ふふっ、それでは、ここまででいいですよ?』
「え、良いんですか?!」
『えぇ、大丈夫です』
「えっと………その、図々しいですけど、次、よろしくお願いします!」
『えぇ、わかりました、玄弥様』
しゃらん………しゃらん………
「…………不思議な人だったな……」
それになんかあの人、空気が怒ってたような…………?
「んー………ま、今は今のことを考えるか!」
玄弥の今の姿
(観にくくてすいません!!)
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