テラーノベル
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それからというもの…
岩本は渡辺の事を、食事や買い物に今まで以上に誘い始める
「翔太!今日、この前話した店行かない?」
「あぁ、あの照が美味いって言ってた焼肉屋?」
「今度の買い物の予定、食べながら決めない?」
「それ、良いね」
お互い、忙しい身なので頻繁にとはいかないものの
一緒にいる時間が長ければ…当然、共通の話題も増えてきて
会話も弾み、もっと一緒に居たくなる…
「しょっぴーと照兄、最近仲良いなぁ…俺も、しょっぴーとご飯行きたい…」
向井にまで、そう言われて羨ましがられる様になり
岩本は、それが嬉しかった
◇◆◇◆
「………」
「はい翔太、コーヒー」
「ありがと…」
今だ、たまに落ち込んでいる姿は見るものの
少しづつ…でも、確実に元気になっていく様子を近くで見守り、声を掛ける
涙のワケは今も分からないままだったが…
それを、岩本は無理に聞き出そうとはしなかった
増える笑顔と比例する様に、2人の距離も近くなっていく…
その頃すでに、岩本の中では渡辺の存在が大きくて大切なモノになっていて
それを恋だと自覚するのに、そう時間は掛からなかった
一方、渡辺は…最近の岩本の言動を見て
自分の気持ちが落ちているのに気付いた岩本が、元気付けてくれているのだろうと意外に早く気が付いていた
それでも、この関係を止めなかったのは
渡辺にとって、岩本と過ごす時間が…大切な、かけがえのないモノになってしまっていたからである
「………」
自分が元気になって
それを岩本が【もう大丈夫だろう】と感じてしまったら…
その時、彼は自分から離れて行ってしまうのだろうか…?
今の距離とは程遠い、ただ同じグループのメンバーというだけの以前の関係に戻ってしまうのだろうか…?
「駄目だ…また俺……。照に、ちゃんと伝えないと…」
辛そうに、そう呟いた渡辺は…
【話しがある】…そう、たった一言
岩本に向けてLINEを送った
コメント
1件
涙の理由は、気になる、、、