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薄暗い天井の八角形をした照明器具が目に入った。昨夜はレオさんとかりんちゃんがそれぞれの意見で対立していたけれど、アタシはレオさんの最後の言葉に心を撃たれたわ。何事も因果応報。その覚悟ができないから弱者を攻撃して、搾取して、また暴力で黙らせるのだと。そう、それは世界の歴史であり常識になっている。慣れた人達が目を背けているだけだわ。
「くう。……すぅ。……すぅ。……すぅ。……ん。……すぅ。……」
「………………。(傍に…居て…くれたのね。…ありがとう。うずめちゃん…)」
南に向いた窓のカーテンの隙間から、朝日が少しだけ差し込んでいる。今もあたしの枕元で、毛布を掛けられうたた寝をしている美少女。その隣にはレオさんが、胡座に座ったままで、コクリ、コクリと揺れていた。ガラスの卓袱台に突っ伏せているカリンちゃん。よくもまぁそんな格好で眠れるものだと少し感心してしまう。あたしはベッドで身を起こすと、青黒い艶を纏う髪を優しく撫でた。こんなアタシを心配してくれて…可愛い娘。
「……お?。…ハジメ?気分はどう?。…温かい飲みものを持ってくるよ…」
レオさんとうずめちゃん専用のベッドを独占しているアタシに、彼が抑えた声をかけてくれた。身を起こしているアタシはレオさんに向けて両手を前にして腕を広げる。今のアタシが欲しいのは彼の温もりだけだった。この人はアタシのために真剣に怒り、真剣に涙してくれる。もうアタシの心の拠り所だけでは無くなっているのだ。今すぐここでひとつにならない?
「……うずめがここで寝てるから無ー理ー。…ハグはまたあとでな?。でも、その様子なら大丈夫そうだね?。だけど今日は1日寝とくんだよ?」
「あら残念。…うん♡ありがと。(あ、まだアタシの顔って腫れてるのかしら?。…触ってみても痛くないし。…口の中も大丈夫そうだわ。でも蹴られたお腹はまだ痛いかも。…ひな祭りの余韻だと思えば大丈夫かな?)」
うずめちゃんを起こさないように、足音を忍ばせてキッチンに向かうレオさんの背中を眺めている。この人と関わって日は浅いけど、もう夢中だと言っても過言ではないわ。そしていつも側にいるうずめちゃんには、なぜだか嫉妬しなくなっちゃった。あまりにお似合いすぎて妬くのも馬鹿馬鹿しくなったのかもね?。それでもカリンちゃんには警戒しているけれど。
「え?。これをあたしにくれるの?。…ちょっと重いけど…なにこれ?」
「………あの。うずめからの…お見舞い。…レオと話し合って決めたの。」
「ああ。…昨日の大怪我をしたハジメさんを見て、うずめなりに思うものがあったんだよ、昔の自分と重なったんだってさ?。貰ってやってくれ。」
うずめさんと二人で朝食を用意した。現在時刻は午前の9時27分。少し遅めな朝食なのだが、ハジメさんには特にちゃんと食べさせないとだ。眠っている間にうずめさんに教わりながら、彼女の傷に俺の生命力を注ぎ込んだ。見る見る傷や痣が消えてゆく様子が嬉しくて、つい調子に乗ってしまった。その分だけでも早く体力を取り戻して貰わなければ。今の弱った身体なままだと後々に何らかの異変が起こりかねないらしい。…焦った。
そして食事を終えたあと、うずめさんが俺に相談して決めたことを実行する。昨夜に尋ねられたのはハジメさんの仕事の内容だった。あんな深夜に女性が一人で帰宅しなければならない職業が理解できなかったらしい。うずめさんは全て監視され管理されていたそうだ。それも痛々しい話だが。
「まさかウズメちゃん!?。…ぜんぶ…レオちゃんに話しちゃったの?。いくら彼でも…聞かせない方が良いって言ったでしょ?。…なんで…?」
「うずめ決めたの。レオに隠し事はしないって。…まだ生きていた頃に…うずめもハジメさんと似たような目に遭ったことがあるの。どうしても嫌で…客を取らないって言ったら…たくさん殴られて…たくさん犯されて…またあの小屋に戻されたわ。だから他人事じゃないの。とても辛いよね?」
もう俺はうずめさんの口から何を聞かされようが動じないつもりだ。もしも俺がいちいち動揺すれば、結局は彼女が傷付くことになる。うずめさんが生きていた古い時代は現代よりも遥かに男尊女卑が厳しかったらしい。
しかも力こそ正義な世の中だったのだ。領地を治める豪族たちは戦に勝つためなら偶像さえ信じる。その迷信や盲信が生み出した非道な仕打ちが尚もうずめを苦しめた。それを知ってしまった俺はもう、うずめさんの為だけを考えていたいと思う。彼女がもう二度と苦しまなくてもいいように…
「うずめちゃん…そんな事まで言わなくていいのよ?。…本当にぜんぶ話しちゃったんだ。…レオさん?。大丈夫…じゃないわよね。やっぱり…」
「さすがに平気ではないさ。でも許せないのはうずめが護っていた神社を取り上げた領主だよ。難癖つけてうずめと母親を金に換えた。でもうずめは耐えたんだ。そう…言われの無い罪を償うためにね?。でも更に許せないのはその後なんだよ。…あ。ごめん、これ以上は話しちゃ駄目だよな。」
「もぐもぐぽりぽり。(ハジメさんのあの袋ってなに入ってるんだろ?。随分とくたびれた小袋だけど、なんだか今にもはち切れそうねぇ?。怨霊が持ってきたんだから警戒した方が良いのに。レオ聞いてくれないし…)」
そんな雑談を交わしながらも、少しずつ笑顔が戻ってきたハジメさんの表情に俺は胸を撫で下ろす。もうすっかり元の顔なのだが鏡を見せるのはまだよしておこう。そして思うのは彼女を傷付けた男達を、できる事なら俺の手で殺してやりたかったとゆう憤怒だ。なんど落ち着こうとしても沸々と湧き上がってしまう。しかしこんな怒りは誰の為にもならないだろう。ましてや口にすればハジメさんに痛みや恐怖を思い出させかねない。黙って見守る事も優しさなのだとうずめさんに教えられたのだ。堪らえよう。
「え〜と。今ならグラムで7000〜7500らしい。純度的には90%くらいらしいからそんなもんなんだってさ?。…ん?ハジメさん?。なんて顔してるんだよ?。そんなに驚かなくてもいいだろう?。な?うずめ。」
「うふふふ♪。ハジメさん、眼が真ん丸♪。かわい♡」
「……………驚くなって方に無理があるでしょ?。…ほんとに…いいの?」
「うん。レオがいいよって言ってくれたから。500匁《もんめ》はあるから使って欲しい。…それなりの価値って今もちゃんとあるんでしょ?」
そんなキラキラした紅い瞳で見つめられると、何も言い返せなくなるじゃない。アイツラから助けてもらった上にこんなお見舞いなんて頂けないわよ。でも、横でレオさんが圧かけてきてるし、これで断ったら構ってもらえなくなっちゃうのかも。ここは冷静に現実を見ましょう。これの本当の価値を知ったなら引っ込めてくれるかも知れないし。呼ぶしか無いわね…
「レオちゃん。…上の階の…野々神を呼んでくれない?。知り合いなの。ほら、スマホが壊されちゃってるから電話できなくて。…いいかしら?」
「ああ。行ってみるよ。…ちょっと待っててくれ。(あのエロギャルと知り合いだったんだ!?。でも同じアパートだし…不思議じゃないよな…)」
俺はハジメさんの言葉通りに二階に上がって野々神ののかの部屋をノックする。初めて訪れた日と同じ様に、いきなりドアを開けてくる彼女は、やはり下着姿だった。どうやらマンガの執筆中だったらしい。エロ漫画そのもののムードを出し、よりエロの世界に没入する為に脱ぐらしいのだが、確率的には下着姿の野々神さんを多く見ている気がする。相変わらずのナイスバディーだ。だが今日はそれどころではない。…俺は事情を伝えた。
「…うずめさま。この前はホントーに失礼しましたっす。この通り、深く深くお詫びいたしますっす。(お化けじゃないっすよね?どー見ても。でも、少しお鼻の先がピリピリするのは何ゆえに?。…やっぱり幽霊?)」
「もういいです。でも、いくらレオが寝てたからって、いきなりおパンツを脱ぐのはやめてくださいね?。今度は許しませんから。…ん?レオ?」
「いいや、なんでもない。(この人…そんな事を。そりゃ怒られるよな…)」
「……………。(獅子ったら!まだこんなエロい女を隠してたのねっ!?)」
タイトな赤いジャージを着た野々神ののかが、うずめさんの前で両手を着いて平伏している。ベタ塗りを手伝った後、俺は気を失うように眠ったので全く知らなかったのだが、野々神さんは自らの下半身を丸出しにして、既成事実を作る為に、爆睡していた俺のズボンを脱がそうとしたらしい。
「うずめちゃんを怒らせてたなんて何やってんのよノノカ。それよりもコレなのよ。実家がこーゆーのを扱う商売してるんでしょ?しかもアンタもめちゃくちゃ詳しいんだし教えて欲しいの。…どれくらいになる?これ。」
ベッドの上で食事を摂らせてもらったあたしは、両手のひらに乗せてあるその革袋を野々神の前に差し出した。少しだけ目を凝らしたののかはそれを受け取ると『開けていいっすか?』と聞いてくる。あたしはまだ戸惑っているのだけれど、鑑定の為に呼んだのだからと了解する。息を呑んだ。
「ほー!?これだけ大量なのは初めて見るっす!。…どれどれ?重さ的には…2キロ?いや、もうちょっと軽い?。…正確な重さを知りたいっすねぇ。……お。レオちんサンキュっす。………1.875キログラム!?。ちょうど50両っすねぇ。22Kだとするなら…ざっくりと14625000円になるっすよ?。もしかしてハジメ姉さん…コレ売るんすか?。だったらあーしの実家で買い取らせて貰えませんかねぇ?。こんなに大量な砂金なんてなかなか持ち込まれないっすから、もっと色を付けるっすよぉ?」
見た目よりも遥かに重い皮袋の口紐を緩めて中を覗き込んだノノカが、いつも以上に目を輝かせ始める。その表情は漫画を描いている時と同じくらいに活き活きとしていた。そこにレオさんが料理用の電子計量器を持ってくる。その白い計量器の皿に袋を置いた途端に、ノノカは商談に入ってきた。流石はシングルマザーながらも巨万の富を築いた母を持つ才女だ。しかしどんな値段を付けられても、そんなのアタシに決められないわよぉ。
「……17000000でなら売ってもいい。…ね?ハジメさん♡。」
「そ。そうねぇ。でもうずめちゃん?。ちょおっと高すぎない?。(ちょっ!ちょっと待ってよ!?そんなに高いの!?砂金って!?。それに、こんなの本当にもらって言い訳がないわよ!?。でも、本気みたいだし…)」
ノノカの商談に口籠っているあたしに助け舟を出してくれたのは、やっぱりうずめちゃんだった。なぜ彼女がここまでアタシを甘やかしてくれるのかは想像も及ばないのだけれど、ここは任せてしまおう。アタシが眠っている間も心配そうに、ずっと側に居てくれたらいし。見た目はアタシよりも幼いのに、あたしよりもずっとしっかりしてる。実のお姉さんみたい。
「ひぃ!?。分かったっす!うずめ様のお言葉通りにっ!。………ちょっと待って貰えるっすか?。………あ。ママ?あーし。……うん。……実はビジネスっす。………驚くことに砂金なのよぉ♪。………うん。…うん。しかも50両分。……あはは驚くよねぇ♪。そこで1700万ほど持ってきて欲しいのぉ♡。……うん。あのアパートっす。…あ。111号室に。…うん♪ 」
「ね、ねえ?獅子ぃ。野々神さんっていったい何者なのよぉ?」
「いや、実は俺もよく知らないんだよ。現役女子大生らしいんだけど…」
「うふふふっ♡。野々神さん。話しのわかる人で良かった。」
「……。(ホントに1700万円を持って来させる気ね。緊張してきた…)」
それから15分後、ノノカのお母さん、野々神ヨシノ取締役の代理人を名乗る初老の弁護士と、銀のアタッシュケースを下げる2名の若い銀行員がレオさんの部屋を訪れた。ノノカの言葉に頷いた弁護士がアタッシュケースを開くように銀行員を促すと、そのアタッシュケースからノノカが無造作に札束を取り出し始める。キッチンの横でやりとりされているその光景をカリンちゃんが目を大きくして見ていた。アタシは微動だにできない。
「それではうずめ様。全て帯封の新札にてご用意致しました。どうぞコチラをお収めくださいッス。…また何かしらのお宝がございましたら何卒あーしに相談してほしいっす。どこよりも高く高ーく買い取りますっす♫」
「うふふふっ。その時にはお願いしますねぇ。それとお礼に良いことを教えましょう。これは秘密だったのですけれど、南側に見えるあの河の支流で…同じ物がたくさん取れるのですよ?。あ。地図を書きましょうか?。その代わり利益の2割は頂く事になるのですけれど…宜しいでしょうか。」
「ぜっ!?。ぜひお願いするっす!。レオちんっ!?ペンと紙をっ!!」
「あ、うん。(…本当のビジネスになってない?うずめさん…)」
「……!?。(ひーっ!?アタシに現金を渡されても困るんだけどー!?)」
「…。(これって…別の意味で修羅場よね?。ハジメさん…大丈夫かな?)」
弁護士たちが置いていった多額の現金と、二階の住人と一緒に目を輝かせている大怨霊。1700万円ぶんの札束を膝の上に乗せられてベッドで固まっているハジメさん。そしていそいそとお茶を入れ始めた獅子神獅子。
この状況を異常と呼ばずになんと呼ぶ!。そもそも幽霊との金銭的な契約って成立するの?。それと!そんなボディーラインがくっきり出てるエッチなジャージなんてドコで買ったのよ?金髪娘!。楽しそうな大怨霊は置いておくとしても!なんでレオは平気なのっ!?。もう!わけ解んない!
「………。(でも、これでアタシはバニーになんてならなくて良いのね。もうあの店に関わることもないし関わる気もないわ。でも…三人もの男たちが消えてるんだし、警察沙汰になればなんらかの容疑はかけられるわね。だけど、うずめちゃんが言うように『跡形も無く溶かした』のなら、アタシが黙っているだけですべてが解決する。そもそも女を道具にしていた男達だもの消えてくれて清々するわ。……そうね、決めた♡。そうしよう。)」
ののかから受け取ったうずめちゃんが、そのままアタシのお膝に乗せた17個の札束。たぶんアタシがお金の為に苦労していることをレオさんが悟ったのだと思う。そもそもあのホームセンターで、あんなめちゃくちゃな質問を投げ掛けたのも、見えない誰かに誘導されていた様な気がするし。
もしあの場に彼女がいたとしたのなら、毎月末にアタシが心に病んでいることを打ち明けるように仕向けたのかも知れない。ううん、きっとそうなんだわ。彼と霊的波長の合うアタシに手伝って欲しかったのね?。現世での肉体がどうしても欲しかったからアタシとレオさんを結びつけたのよ。
だったならアタシは、うずめちゃんが安心して成仏できるように最後まで協力するわ。正直に言えば、最初は可愛いレオさんに自然な形で会うのが目的だったのだけれどゴメンナサイ。今日からは心を入れ換えてちゃんと務めるから許して?。…でも心配なのは、レオさんは本当に、うずめちゃんから離れられるのかしら?。輪廻転生ってすぐにはできないわよねぇ?
「こら獅子神っ!また返事しなかっただろう!?。なっとらんぞっ!」
「はい!。申し訳ありませんでしたすずめ軍曹殿っ!。(近いって!)」
時間が来た。感涙にむせんでいたハジメさんをうずめさんに預けて、俺はカリンと一緒に勤め先に来ている。まだ二日目だとゆうのに滞り無く仕込みを済ませた俺に、すずめ軍曹殿は粘着的に寄り添ってくれた。今日も迷彩柄なアーミー調の出で立ちなのだが、金曜日もあってか昨日よりも気合いが入っている。その全てが海兵隊仕様のグレーなのだが…実に可愛い。
「うふふっ。すずめぇ?お任せさん二つなぁ?。レオはん?枝豆さん二つとタコブツさん1つなぁ?。…へぇ、いつもおおきにぃ。うふふふっ♡」
「あーい!喜んでぇ!。獅子神っ!タコブツこっちで出すから!」
「はい!よろこんでーっ!。蛸ぶつ了解!。枝豆さん二つお先でぇす!」
「はぁい、枝豆さん行きまーす♫」
俺は何となく楽しいままで注文を熟してゆく。店の外は冬が近づきつつあるのに厨房の中は常夏だ。しかも背後にはすずめ軍曹殿が焼き鳥の焼き台に向き合いながら、時々わざと尻を突き出してからかってくる。稀に足の裏で蹴られたりもするのだが、これも一種のコミュニケーションだろう。
「うふふふふっ♪。スゴぉい獅子、もうお嬢と連携とれてるじゃん♪」
「残念ながら、軍曹殿がオレにスピードを合わせてくれてるんだよ。」
「へぇ〜。そうは見えないけど?。あ♪。ありがとうございま〜す♡」
今日も焼き鳥かのえは忙しい。開店から5時間経っても満席状態が続いている。獅子もお嬢も汗だくだ。だけどママさんは人を増やさない。とゆうか、わざわざ面接に来た女の子たちをパッと見ただけで帰らせてしまう。
『人の気概やヤル気はな?初めましてで見て取れるもんなんよ?』と言って笑っていたママさん。それでも家出中の小娘そのものにしか見えなかったカリンをその場で雇ってくれた。帰る家もない事さえ知っていたのに。
「お腹すいてるんやろぉ?。残りもんやけど、ほら?食べなはれ。安心して住めるお家も見つけてあげるから、それまでは辛抱するんよぉ?。当分は日払いやねぇ。ああそうや、安全なネットカフェなら紹介できるえ?」
そう言って出してくれたホッカホカな焼き鳥どんぶり。お金の無かったあたしは、それを2分かからずに完食してしまった。それでも鳴ったお腹にママさんはくすくす笑いながら、他のご飯を次々と出してくれた。その時に厨房にいたすずめお嬢もニヤニヤしていて、スゴく恥ずかしかったけどスゴく嬉しかった。みんなが笑顔で、ご飯も美味しくて心も満たされた。
だからあたしはこの店の役に立ちたい。何にも持ってない『折神かりん』を無条件に信じてくれたママさんとお嬢のためなら何だってできる。しかも初恋の人と働けるなんて最高すぎるし♡。それでも気になるのはあの怨霊の存在だわ。獅子は既にこのお店の一員だし、いずれ主力になれる筈。
そんな幼馴染みを!あたしは何が何でも護らなきゃいけないの!。あの大怨霊、確か次の満月がどうとか言っていたけれど、獅子を巻き添えにはさせないんだから。さっさと成仏してさっさと消えてよね?。あんたが成仏するのが今のところ一番の解決方法なんだし!。今のあたしの霊力じゃ、どうせ返り討ちに遭うわよね。祓えない以上は不本意でも協力するわよ!