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当の善悪はネットのアンダーグラウンドでそんな予測が独り歩きしている事など知る由もなく、前回の再生回数に気を良くして次なる投稿作を作るべくフィギュア達への特訓を開始していたのであった。
次に選んだ楽曲は『再演』または『再試合』を意味する沖縄出身の三浦大〇の二〇一六年リリースの楽曲(RE)PL〇Yである。
選出の理由は元々音痴な善悪が彼に憧れ、ヘビーなファンであった事は重要な一因であったが、無論、それだけではない。
二〇一六年と言えば前回の夏季五輪、リオオリンピックが開催された年である。
アスタやトシ子のシゴキでなければ、基本的に修行やトレーニングが好きな善悪である。
オリンピックで各国を代表するアスリートたちが繰り広げるパフォーマンスは垂涎(すいぜん)を堪えられない物ばかりであった。
檀家さんへの盆参りもそこそこに、テレビにかじり付いて酷暑の昼夜を過ごしたものだ。
何とか頑張った結果、鯛男(タイオ)さんちの四桐(シキリ)家以外は漏らす事無く盆参りを終えた善悪なのである。
盛り上がり捲ったリオオリンピックは、誰だか知らない紳士の赤と青の配管工コスプレで幕を閉じた。
祭りの後の寂しい虚しさを感じざるを得なかった善悪は、パラと十一月場所、日本シリーズだけを心の拠り所に年末を迎えようとしていたのである。
その時、リリースされたのが〇浦大知の(RE〇PLAY、だったのである。
世界的に有名なダンス・パフォーマーを集結させたそのMVは、喪失感しか感じられなかった善悪のシナプスに存外の刺激を与えたのであった。
四年後……
結果的には、一年の延期を経て開催される手はずになった五年後である令和三年七月二十三日、第二回、東京オリンピック開会式に間に合う様に僅(わず)か二か月で完璧な(RE)PLA〇の模倣を十四柱に強いた善悪和尚なのであった。
因(ちな)みに楽曲選択の最終候補には、三浦氏のキャリアファーストである、『ジャカジャカジャンケン〇ン』も鎬(しのぎ)を削っていた事も併せてお伝えして置かなければなるまい……
でなければ、蘭々やトモサカ的にも納得いかないのでは無かろうか、当然ガチャピ〇やム〇ク的にも一言あるに違いない! 異論は認めない……
兎も角、そうしてネットに公開された動画は七月二十二日の話題を独占してしまったのであった。
ダンサーとして扱(しご)かれたメンバーは当然オルモラだけではない。
スプラタ・マンユの七柱の残り五柱は当然だ。
パズス、ラマシュトゥ、アジ・ダハーカ、シヴァ、アヴァドン以外にも巻き込まれたメンバーが居たのである。
そりゃそうだろう、何しろ踊り手は十四人必要なのだから。
抜擢されたのは、哀れ、スプラタ・マンユに因(よ)るヴァルプルギスまでは七大徳のアフラ・マズダであったが、今は降格してアンラ・マンユと呼ばれている悪魔、いいや魔王達であった。
「踊って欲しいのでござる」
たった一言で有無を言わさず踊りに参加する事になった魔王種達は、自身が依り代とすべきソフビ選びから始めなければいけなかったのであった。
しかも、可及的速やかに……
イライラしながら見守る善悪の視線が痛いほど突き刺さって来た。
あり得ない程のプレッシャーを感じつつ、彼らが求められた事はダンスの腕前だけでは無かったのである。
それは、そろそろ決めなよ、今生の姿ぁ! そう、依り代選びの選定眼のセンスであった。
何しろ善悪はオリンピックを盛り上げる事を、最大の目的と定めていたのである。
となれば選ぶソフビは世界的に認知されているキャラクターから選ぶべき、善悪はそう考えていた。
スプラタ・マンユの七柱のダンス訓練が進む中、六月初旬に善悪の個室で漆黒の念珠から呼び出された、半透明の人型な彼らに無情な声が響いたのであった。
「おい、お前等、この中から選ぶのでござるよ! さっさとするのでござるっ! ほれ、早くしてぇ!」
並べられていたのは日本が世界に誇るコンテンツ、アニメのキャラクター達のソフビの山であった。
海賊の王を目指す者、ポケットなモンスター達、進撃する大男や大女、青を基調とした中性的な粘体モンスターの仲間、カウボーイがビバップだったり、デスがノートだったり、犬が夜叉だったり、ハヤオがミヤザキだったり、チビがまる子だったりと、それはもう膨大であったのだ。
善悪の威圧を受けたアンラ・マンユたちは慌てて自らの依り代を決めて行ったのである。