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コメント
7件
って事は母娘無一文でさよならのねー👋👋👋
西郷どんシゴデキ(๑•̀ㅂ•́)و✧
ꉂ🤭フフ今までいくら使っていたのかしらね。 ご主人様はコレを見込んで半分の額を毎月渡していたのかな。(*ФωФ)フフフ… 普通に働けないだろうね。 キャバクラ嬢でもする?接客も大変だと思うわよ。 あ、女王様なトコならイイかもね‼️ꉂ🤣𐤔
「うまく書けない…わ……」
「あー全然大丈夫です、きれいきれい、うまいうまい。あっちこっち向いていようが、読めればオッケーですから、さっさと書いてください。今から提出してきますので」
手が震えてうまく書けないとペンを置いた奥様への声掛けが、どう聞いても適当な西郷先生は、次々と予定を伝える達人かな……?
「ちょっと……ひどすぎるんだけど……すみません、弁護士ってこういう誹謗中傷を訴えられますよね?」
震える手で懸命に生年月日を記入している母親の隣から、遥香が今まで見ていたスマホを西郷先生に向けた。
「弁護士へのご相談ですか?あいにく僕は無料相談をやっていないんですよ。あ、終わりました?証人は娘さんでいいですよね?はい、書いてください」
西郷先生は腕を伸ばして奥様の前から離婚届を遥香の前に引っ張ると
「はい、記入済みの人は印鑑持って来てください」
なんだか、運動会のスピード感を感じるな……
「お腹へった……へらない?」
隣の篤久様が小声で呟き、私を見る。
「そんな時間ですよね……もう届く頃じゃないですか?」
私は空腹を感じなかったけれど、そう答えておく。
それと同時に
「なんなの……こんな追い出す感じってあんまりじゃない⁉」
という遥香の不満な声が部屋に響いた。
「出て行くと宣言したのをサポートしているんだよ。それを書いたらあとは西郷に任せて大丈夫」
「出て行くなんて言っていないわっ」
ここで初めて遥香が焦りを見せ始めた。
ぬくぬくとした環境や周りの視線が180度変わることに、やっと気づいたのか。
「真奈美さんのボイスレコーダー、カメラの後も回っていた?」
「あ……今も…切り忘れていました」
「うん、それは構わないよ。こんなところで生活出来ない、とか何とか言っていたのが残っているね?」
「はい、そういうことになりますね…」
篤久様と私の会話を聞きながら、西郷先生は証人欄を指でコンコンと指し示している。
そして
「僕も真奈美さんでいい?真奈美さんのそれ、高性能ですね」
と反対の手で、私がワンピースのポケットから出したボイスレコーダーを差した。
「【奴隷家政婦】のアカウント見ました。今日の加工ない分をね。どうしますか?訴える?原告川辺真奈美、被告池田亮一あんど源田遥香。ああ、今は何も言わないでいいです。源田遥香と源田香奈がいる前で、手の内を見せることはない。っていうことで、あなたが出て行くと言ったのは証拠ありですし、中園は親切にもそれをサポートしているってことです」
最後は遥香に言ったんだけど……
「……西郷先生って、いつもこのスピードですか?」
「そう。ジェットコースターみたいだって、みんな言っている」
ジェットコースター……乗ったことないけれど、分かる気がする。
その間にも、運転手さんがご主人様の印鑑を持って来たり、遥香たちも西郷先生に追われるようにして、離婚届が完成した。
届いたサンドイッチが大皿に盛られ、アイスティーとオレンジジュースのポットも置かれたけれど、私がここで食べるのは気が進まない。
「食べながらでいいですから」
というご主人様の声に、西郷先生が迷いなくサンドイッチを取り皿に取るのがなんだか可笑しい。
「お金のことを、そちらから聞かれているんだ。食べる前に説明を頼んだよ、西郷」
「食べながらでいい、って…」
「真奈美さんに言った。彼女は満身創痍だからね。それに篤久と私も大門様との面会で疲れているから食べながらだね。頼んだよ」
「そうよ。ゆっくりと食べている場合じゃないわ。お金のことは大切よね、ママ?」
遥香が身を乗り出して言い、奥様も幾分か気分を持ち直された様子で座り直した。
「仕方ない……仕事をしてから食べるか。えーっとですね、お金、お金とおっしゃるのは離婚に際しての財産分与ですね?」
「「はい」」
さっきまで震えていたとは思えないしっかりとした返事だわ。
「えーっと、結論から申し上げますと、婚姻期間に財産はずっと半分にされていますので、離婚に伴う新たな財産分与というものはありません」