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The last one〜最後の1匹〜

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The last one〜最後の1匹〜

7 - 7話 Fight like cats and dogs

♥

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2025年10月04日

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「ん…………何だアレは……?」

主人の帰りを待っていた、ミケ。

窓際でいつも通り、監視をしていたのだが、今日は主人の横に知らない猫が2匹居る事を発見した。水晶体が忙しく動く。猫達の動きを逃さないように。


ピークと2匹が、主人の部屋に近づいて来る。

こいつら……表面温度が低い。

俺と同じ魔改造が施されているのか……

まぁ、主人と一緒に来るって事は……

敵ではないと思うが、用心に越した事は無いだろう。


スタッ……

ミケは窓枠から飛び降り、玄関先のフロアへと移動する。


この音を、ノラは聞き逃さなかった。


…………なんか、いやがる。


ピークが向かう先にある建物。その一室からの音。音響拡張モジュール全開、ノラの聴覚はその音を捉えた。

「3階向かって左3つ目。あの部屋だ……」


ノラは、タマに視線を向ける。タマはその部屋に嗅覚神経を注いで、シンパシーネックを通じて情報を回収する。


「うん……主人の部屋で間違いない。同じ匂いがする。それと……1匹、猫の匂いだね。但し、悪い匂いじゃないよ。嘘っぽさも感じない。ただ、シュガーを舐めたと思ったら、ソルトだった……そんな苦っぽさ、よく言えばクールな匂いに感じるよ……」


建物に近づく度に、ノラの表情は厳しくなる。


「ノラ……喧嘩はダメだからね……」


タマは心配そうにノラの顔を覗くが、

ノラは全くお構いなしだ。


ピークと2匹は建物に入り、エレベータに乗った。

より一層、ノラの顔が険しくなっていく。


エレベータは3階に到着する。


カシャッ


この音にノラが激しく、タマも反応する!!


シンパシーネックのボタンを押して

「なにかを」起動させた音だ。


ノラもネックの右から3番目を噛み、カーボンナノブレードを展開させる。

それと同時にタマも左ボタンを噛む。鼻を覆うプロテクターが延長し、顔下半分を包み込むフェイスシールドを装着。


「こっちから攻撃しないでよねぇ……」

(ちょっとは話聞いてょ……)


お構いなしの完全戦闘体制の、ノラ。


ピークは、部屋のドアを開けた。


カーボンナノブレードをコンクリートに突き立てて、ノラが矢のように真っ直ぐ飛び込んでいく。


その、刹那!!


シュゴォッ!!


噴き出した白煙が尾を引き、火薬の焦げた匂いとともにノラの視界を覆う。ノラは、身をひるがえして壁に飛ぶ。ミケは全集中、その白煙を嗅ぐ。


煙幕だ。


「大丈夫、毒素も危険性も無く、ダメージを負わない!ただの煙幕だ!ノラっ!!」


ミケはノラと真逆に飛び、本棚の上で構える。


ノラは壁にブレードを突き差して、飛び掛かる姿勢を見せる。

画像

「もうやめろ、終わりだ!僕達は、味方なんだ!」


タマが鼻先を震わせ、声が裏返るほど必死に叫んだ。

2匹に必死で訴える、タマ。


その間、僅か4秒。


ピークはこの猫達に、いたく感心していた。

この躍動感、この機敏さ…………

武器も言葉も要らぬ――この動きだけで国家を揺るがせる、とピークは確信した。

ドアを閉めて、いつものシングルソファに座る。


シュッ


ミケはシンパシーネックのボタンを再び噛んで、解除。タマも同様にガードを解く。


ノラは暫く眺めていたが、主人が差し出しているカプセルを見つめながら、結局、俺達の絆はこの黒いカプセルか…………ノラはそれに従うように刃を収めた。

画像

…………………………

「Fight like cats and dogs」(英語)

意味:「激しく口論する、激しくけんかする」という英語の慣用句。犬と猫が互いにけんかをする様子から、相性が悪くしょっちゅう激しいけんかや口論をする関係を指し、「犬猿の仲である」という意味でも使われる。

例:Ever since their wedding day, they’ve fought like cats and dogs. (犬と猫のように激しくけんかをする)

…………………………

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