テラーノベル
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出発の朝。秋奈は、家の前に立つお爺さんに向き直った。
「……お爺さん。
私の本当の名前は、秋奈って言います」
少しだけ緊張した声。
お爺さんは目を細め、ゆっくりと頷いた。
「そうだったのかい」
そう言って、秋奈の頭を優しく撫でる。
「名前を思い出せたなら、それでいい。
どこに行っても……ここは、お前の帰る場所だからな」
「……ありがとう」
秋奈は深く頭を下げ、仲間たちの元へ戻った。
こうして一行は、
新たな仲間を探す旅へと歩き出した。
⸻
街道を進んでいると、道端に人影が見えた。
「……あれ?」
近づくにつれ、四人の少女が座り込んでいるのが分かる。
どの子も顔色が悪く、明らかに衰弱していた。
「大丈夫ですか!?」
秋奈が駆け寄る。
少女たちは反応するが、立ち上がろうとしても、足元がふらつく。
「……っ」
「無理しないで!」
由貴が支え、花凛が周囲を見回す。
「……かなり痩せてる」
上田が眉をひそめる。
「ちょっと待ってて。
近くに店があるはず……水、買ってくる!」
そう言って、上田は街道脇の小さな店へ走っていった。
残された四人の少女は、うつろな目で瑠璃子たちを見る。
その顔を見た瞬間、秋奈の胸がざわついた。
「……あの」
勇気を出して声をかける。
「もしかして……
小倉唯さん、吉岡茉祐さん、降幡愛さん、本泉莉奈さん……ですよね?」
四人は一瞬きょとんとし、ゆっくりと首を横に振る。
「……ちがう……」
「……分からない……」
「……名前……覚えてない……」
その様子に、瑠璃子は唇を噛む。
(……私たちと、同じだ)
そのとき――
「持ってきたよ!」
上田が水袋を抱えて戻ってきた。
「一口ずつでいいから!」
上田が水を差し出すと、少女たちは恐る恐る口をつける。
ごく、ごく――。
次の瞬間。
「……っ!」
一人が、はっと息を吸った。
「……あ、美味しい……」
別の少女も、目に光が戻る。
「……生き返る……」
まるで命が戻ってきたかのように、表情が変わっていく。
瑠璃子たちは、静かに見守っていた。
(……きっと、この子たちも)
声が、力が、記憶が――
まだ、完全には戻っていないだけ。
こうして一行は、
次なる仲間候補との出会いを果たす。
第2章は、ここから本格的に動き始める――。
水を飲み終えた四人の少女は、しばらく黙って座り込んでいた。
呼吸が落ち着き、頬に少しずつ血の色が戻っていく。
「……大丈夫?」
瑠璃子がそっと声をかける。
最初に反応したのは、明るい雰囲気の少女だった。
「……あれ?」
きょとんと自分の手を見る。
「……なんで、こんなところに……?」
その瞬間、少女の目が見開かれた。
「……あ、れ……?」
頭を押さえ、息を呑む。
「……マイク……ステージ……」
次の瞬間、はっきりとした声で叫んだ。
「……私、小倉唯……!」
「……っ!」
秋奈が思わず一歩前に出る。
「やっぱり……!」
小倉唯は周囲を見回し、瑠璃子たちの顔を一人ずつ見ていく。
「……瑠璃子さん?
え……ここ、どこ……?」
「あとで全部説明するよ」
瑠璃子が優しく答える。
⸻
次に、隣で俯いていた少女が、ゆっくり顔を上げた。
「……」
無言のまま、胸に手を当てる。
「……焦る……」
ぽつりと、低い声。
「……レッスン、遅刻……」
その言葉に、由貴がはっとする。
「……茉祐ちゃん?」
少女は一瞬驚いたように目を瞬かせ、それから小さく笑った。
「……ああ……そうだ……」
「私、吉岡茉祐……」
静かに、けれど確かな声。
「……なんで、こんなにお腹空いてたんだろ……」
花凛が、ほっと息をつく。
「無理もないよ……」
⸻
三人目の少女は、水袋を両手で抱えたまま、じっと空を見ていた。
「……空、広いね……」
その呟きに、誰もが耳を傾ける。
「……旅……?」
首を傾げ、次の瞬間、ぱっと表情が変わる。
「……あ!」
「……私、降幡愛……!」
思わず立ち上がりそうになり、ふらつく。
「わっ、無理しないで!」
上田がすぐに支える。
「……そっか……
私、迷子になってたんだ……」
降幡は、少し泣きそうな笑顔を浮かべた。
⸻
最後に残った一人は、まだぼんやりと座っていた。
「……」
唇が、わずかに動く。
「……声……」
花凛が、そっと近づく。
「……莉奈ちゃん?」
その名前を聞いた瞬間、少女の肩が震えた。
「……本泉……莉奈……」
まるで、忘れてはいけない宝物を思い出すように。
「……私……歌、好きで……」
目から、ぽろりと涙がこぼれる。
「……思い出した……」
その瞬間、四人の間に静かな空気が流れた。
「……みんな……」
瑠璃子は、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じていた。
こうして――
水をきっかけに、四人の声優たちは記憶を取り戻した。
だが、まだ分からないことは多い。
なぜ彼女たちは、あそこまで衰弱していたのか。
そして、この世界は――何を求めているのか。
第2章は、さらに深く、静かに進んでいく。
キャラクター紹介
― MORE MORE JUMP!声優組 ―
⸻
■ 小倉 唯
職業(現実世界): 声優
担当キャラクター: MORE MORE JUMP! 花里みのり
異世界での職業: 見習いアイドル/応援士
街道で衰弱した状態で発見された少女の一人。
水を口にしたことをきっかけに、最初に記憶を取り戻す。
明るく前向きな性格はそのままで、仲間を元気づける言葉に不思議な力が宿る。
戦闘では直接攻撃は少ないが、
仲間の士気を高めるスキルを持つサポートタイプ。
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■ 吉岡 茉祐
職業(現実世界): 声優
異世界での職業: 旅人/戦術補助
理性的で落ち着いた雰囲気を持つ少女。
空腹と疲労で限界に近い状態だったが、水を飲んだことで徐々に記憶が戻る。
周囲をよく観察し、冷静な判断ができるため、
戦闘や移動時の指示役を担うことが多い。
感情を表に出すことは少ないが、仲間思い。
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■ 降幡 愛
職業(現実世界): 声優
担当キャラクター: MORE MORE JUMP! 桃井愛莉
異世界での職業: 踊り子/俊敏型サポーター
元気な言動とは裏腹に、道端で完全に力尽きていた少女。
水を飲んだ瞬間、感情と記憶が一気に戻る。
身のこなしが軽く、戦闘では素早い動きで仲間を支援。
明るさとムードメーカー気質で、パーティの空気を和ませる存在。
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■ 本泉 莉奈
職業(現実世界): 声優
異世界での職業: 歌い手/音響魔法使い
最後まで意識がぼんやりしていたが、
自分の“声”を思い出したことで記憶が完全に戻る。
歌や声を媒体にした魔法を扱い、
癒しや補助、時には攻撃にも転用できる特殊な能力を持つ。
静かな性格だが、内に強い想いを秘めている。
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