テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
そんな暗い事を思考していると、いつの間にか船着場に船がある。あの船は、愛華のプライベート用の船だ。
「来てくれたんだ」
嬉しいな。良かったな。
先程の悲しさや寂しさが嘘のように、今は、嬉しくて、幸せだ。
「あ、愛華〜、昨日な、此処で幽霊じゃない奴の声が聞こえたんだよぉ〜」
典華が船着場で愛華の背中に隠れながら昨日の事をビビりながら説明している。
「私には聞こえなかったけどね」
不思議そうに陸華は典華と愛華に話す。
「死神やら悪魔やらは此処には居ないぞ?」
典華の説明で愛華はとても不思議そうにしている。
愛華だって、典華に私の声が届いただなんて想像していないだろうからな。
「と、言う事は、軍艦島〜、起きてるか〜?」
やっと愛華が私に話しかけてきた。
「愛華!おはよう」
私が人間なら、満面の笑みを浮かべている事だろう。
「うわぁ!昨日の声が聞こえた!?!」
典華はそそくさと愛華の後ろに隠れた。
陸華は不思議そうに首を傾げているだけだ。
「そんなに驚いてやるな。此奴が可哀想だろ?」
愛華は自分の後ろに隠れている典華を引っ張り出して話している。
愛華の言う通りだ!そんなに驚かれると正直心が抉られる。私に心と言う物があるのかは少し不明だがな。
「お前、どうして幽霊は平気なくせに死神やら悪魔やらは駄目なんだ?」
大きなため息を付きながら愛華は典華に問いかける。
「だ、だって、彼奴等、何しでかすか分かんねぇし、幽霊だったら、同情とか行動原理が分かるけどよ。死神とかって、容赦無く俺らの首ちょん切るだろ?」
典華が死神の事が怖い理由はそういう事らしい。
死神って、そんな感じなんだ。見たこと無いから知らないんだよな。
「ほ、ほら!日本国で言う、あの、妖怪?とかとおんなじで怖いんだよ!」
典華は必死に愛華に死神と悪魔の怖さを教えようとしている。
「座敷童や家鳴り達なら見たことはあるぞ。普通に可愛かったしなぁ」
そう、愛華は怖い物知らずなのだ。妖怪ですら可愛いと言うし、普通に幽霊と話すし。まぁ、愛華はイレギュラー中のイレギュラーだ。
昔、愛華から河童に会った話を聞いたことがある。その時はキュウリの料理を振る舞ったんだとか。
二人がそんな会話をしている後ろで陸華は楽しそうに笑っている。
久しぶりに陸華のあんなにキラキラした笑顔を見れた気がする。嬉しいな。