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久しぶりに陸華のあんなにキラキラした笑顔を見れた気がする。嬉しいな。
「じゃあ、典華ちゃんが聞いた声の正体って何だったの?」
ひとしきり笑い終えた陸華が愛華に問う。
「この島、軍艦島自身だ」
愛華の紅色の瞳が陸華の薄紅色の瞳をしっかりと見つめ、そう答える。
「軍艦島、自身、、、?」
陸華も、典華も戸惑っているようだ。
「そう。私は、此処、軍艦島自身。そりゃ、島が喋るなんて、変だよね」
典華は何か納得したかのような表情をしている。陸華は、困惑を隠せていないようだ。
典華は数分経ってようやく頭の整理ができたらしく、「そりゃな」と返事をした。
「何か話してたの?」
陸華が典華に不思議そうに聞く。
「あ〜えっと、たぶん島が喋るなんて変だよね。的な事を話してたんだと思う」
典華は陸華にそう言葉を伝えてくれた。「たぶんな」と付け足して。
「ねぇ、愛華。どうして私は、化身にも、ただの島にもなれなかったんだろう」
そう私が愛華に問うと、愛華は少し黙り込んでから口を開いた。
「実際の所何も分からん。これは私の考察でしか無いんだが」
そこで愛華は一度言葉を切った。
そっと目を瞑り、愛華はまた話し始める。
「時に強い思いによって、そのものや土地に魂が宿ると聞いた事がある。そう言うことではないだろうか」
愛華の話を聞く限り、私は付喪神と似たようなものだというのが分かった。まぁ、にてるようで大きく違うが、、、。
そんな事を考えていると、私の周りが真夏の太陽を直視する程眩しく光った。
暫くすると、あの眩しい光は無くなっていた。
目の前には、陸華が居る。
そう、目の前に居るのだ。私の中ではなく。