彩香さんが、プールの横方向を泳げるようになったところで、プールの時間は終了。
「やっぱり教えて貰った方が上達が早い。ありがとう」
そう彩香さんは言うけれど。
「でも海で実際に泳ぐ経験はしていたし、今日のは単なるきっかけ程度だと思うよ。あとはこのまま数回練習したら普通に泳げるようになると思うし」
実際、彩香さんに水泳を教えるのは、ほとんど手がかからなかった。
ちょっと教えるだけで勝手に泳げるようになった、という感じで。
別れて更衣室で上にTシャツと短パンを着て。
出てしばらくすると彩香さんとベジョータさんが連れだって出てきた。
そしていきなり。
「悠君は実家帰省を何時までで許可取りました?」
なんて彩香さんに聞かれる。
「一応8月24日月曜日まで取ってあるけれど」
「なら寮を出て外泊でも、実家と書いておけば大丈夫なのだ」
ベジョータさんがそんな事を言う。
そろそろ生ハムじゃない方で呼ばないと悪いよな。
思い出せないのだけれど。
ハモンさんも本名かつ名字だけれど色々微妙だし。
「実は私の家に泊まりに来ないか、彩香を誘ったのだ。それで彩香が悠もどうだと言うので、誘ってみたのだ」
「僕は大丈夫ですけれど、彩香さんは?」
「臨時外泊届を出します。泊まり先が亜里砂のマンションなら問題はないと思います」
そうだ、亜里砂さんだった。
取り敢えず名前を頭の中に叩き込んで、そして今の案を考える。
なるほど、彩香さんだけなら、親がいない事と僕も泊まることを言わなければ問題ないだろう。
「それで遊びついでに、ここからみなとみたいまで歩いて帰ってみるのだ」
えっ?
「この暑い中を」
「夜に歩けば少しは涼しいのだ」
いやちょっと待ってほしい。
それにルートを考えると……
「治安が微妙な場所もありますよね。警察に補導されたりとかは」
「ちゃんと対案があるのだ!」
ベジョータ、いや亜里砂さんは胸を張る。
「実は亜里砂さんも魔法使いなんです。それも心理操作とかを得意とする」
「人を誤魔化すのと言い含めるのは大得意なのだ」
彩香さんの説明と自慢気な亜里砂さん。
おいおい、魔法使い2人目かよ。
でも待て。
「そんなに魔法使いっているのか?」
彩香さんが魔法を使うことは知っていたけれど。
あ、でも秋津の先輩にも2人程魔女はいたな。
「この学校には取り敢えず10人ちょい程いるのだ。術使いを除いても、1年だけで4人はいるのだ」
つまりここにいる2人の他、あと2人はいる訳か。
他は誰だろう。
思い当たる人は特にいない。






