家族
(きっとこの壁は越えられない)
(きっと兄さんは僕なんてどうでもいい)
(兄さんに振り向いて欲しい)
(兄さん…)
目が覚める。枕元の時計を見る限りはまだ午前四時だが、汗だくになった体と煩悩を洗い流すために風呂へと向かう。
できるだけ静かに自室のドアを開け、するりと抜け出した。
こうして早くに起きてしまうのは初めてではなく、もうこの動作もすっかり慣れてしまっていた。
いつもなら誰も居ないはずのダイニング。
耳を済ましてみるとカチャカチャと食器の音が聞こえる。
(母さんかな、でもこんな時間から家事をしているなんて珍しいな)
そう思いながら足を進め、遂にダイニングに到着した時、律は目を見開いた。
「……兄さん?何してるの?」
つい声を掛けてしまった。
声を掛けると目の前でカップに入ったミルクを混ぜている人物の手が止まった。
「あ…りつ、おはよう…はやいね」
兄、茂夫は大変眠そうな顔をしていて、口調も幼子のようになっていたうえにパジャマがはだけていて大変目に毒だった。
「っ…こんな時間にどうしたの、?」
兄の前なので律は少し反応しかけた下半身を意識して治めた
「なかなかねむれなくて…ふぁ」
遂には無防備に欠伸までし始めた。
律は急いで
「僕汗かいたからシャワー浴びてくるね!」
と兄の返答を待たず早足で風呂へ向かった。
兄が居なくなったと同時にまた沸き立ってくる下半身に舌打ちをし、律はシャワーを浴びながら自身を慰めた。
慰め終わり、自分の汚い欲が精液と同時に外へ飛び出した。律は兄を”そういう”目で見ている。
だからはだけたパジャマ姿を見るだけでクるし、兄の私物を度々盗んではそれを視姦しながら自身を慰める事がある。
律は自分が可笑しい事も気持ち悪い事も理解していて、自分が1番自分に嫌悪感を持っている。
律はある程度スッキリできたので風呂を出ることにした。
服を着てダイニングに戻ると茂夫がホットミルクを飲みながら、ぼーっとしていた。
「兄さん、風邪ひk「律」…ど、どうしたの」
食い気味で律の名前を呼ぶ茂夫。普段の兄から発されるぽやぽやとした雰囲気は無く、茂夫が真剣だということが分かる。
「あのさ、律。僕、兄失格だと思うんだ」
「……どうして?」
「…僕、律が好きなんだ…」
律の目が見開かれる。
「っえ、ほ、ほんと…?」
「うん、ごめんね…気持ち悪いよね。忘れて」
と言いながら茂夫が席を立つ。
席を立ってその細くて白い足で自室へ戻ってしまう前に律は茂夫の手首をガシッと掴んだ。
「…さん」
「え?」
「兄さん、誰が忘れるもんか…!僕も兄さんの事、好きなんだ、よ」
言い終わらない内にみるみる律の顔が赤くなってゆく。
「それって」
「…うん」
「付き合おう」
今度は茂夫の目が見開かれる番だった。
「う、嬉しい…」
と言いながら涙をボロボロ零す茂夫。
(あぁ、越えられない壁なんて無かったんだな)
涙を零しながら月明かりに照らされた兄はとても綺麗だった
コメント
8件
え?神作品ですか?
可愛すぎて泣いた