テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
夕暮れの大公城の中庭。
風が柔らかく木々を揺らしている。
ダイスケは一人、ベンチに座っていた。
ぼんやりと空を見上げる。
オレンジ色に染まる空。
あの頃と同じ色。
でも、全部が少し違う。
🩷…静かだな
小さく呟く。
戦いが終わってから、時間の流れがゆっくりになった気がする。
その時だった。
💚一人?
聞き慣れた声。
振り向く。
そこにいたのは―リョウヘイだった。
🩷…リョウヘイ
少しだけ驚く。
でも、不思議と怖くはない。
リョウヘイは軽く手を上げる。
💚久しぶり
何も変わらない口調。
でも、どこか肩の力が抜けている。
🩷戻ってきたの?
💚まあね
少しだけ笑う。
💚“自由”になったから
ダイスケはその言葉をゆっくり受け取る。
🩷そっか…
短い沈黙。
でも、気まずさはない。
リョウヘイが隣に腰を下ろす。
距離は少しだけある。
💚元気そうで安心した
🩷うん
少し笑う。
🩷ちゃんと生きてる
その言葉に、リョウヘイの目がほんの一瞬だけ揺れる。
💚…よかった
本当に小さく、呟く。
リョウヘイが空を見る。
💚世界、壊れなかったな
🩷うん、ギリギリだったけどね
二人で少し笑う。
その時、後ろから足音がする
🖤…何してるんだよ
低い声。
振り向かなくても分かる。
ダイスケが振り返る。
🩷レン
レンは二人を見て、ほんの少しだけ目を細める。
あからさまではない。
でも、確実に警戒している。
リョウヘイはそれに気づいて、
わざとらしく肩をすくめる。
💚そんな顔するなよ
🖤してない
💚してるって
ダイスケが小さく笑う。
🩷レン、顔に出てる
7,022
🖤出てない
否定が早い。
リョウヘイが楽しそうに言う。
💚相変わらず分かりやすいな
レンの視線が鋭くなる。
🖤…何しに来たんだよ
まっすぐな問い。
リョウヘイは少しだけ考えて、 正直に答える。
💚顔見に
レンの眉がわずかに動く。
💚それと
一拍して。
💚ちゃんと終わったか確認しに
ダイスケが首を傾げる。
🩷終わった?
リョウヘイは二人を見る。
💚ああ、 俺の中でね
少し風が強くなる。
木の葉が揺れる。
リョウヘイが立ち上がる。
💚やっぱりさ
二人に背を向けたまま言う。
💚お前たち見てると、思う
振り返る。
少しだけ柔らかい顔。
💚あの時、奪わなくてよかった
ダイスケの目が揺れる。
レンの手が、無意識にダイスケの手を取る。
リョウヘイはそれを見る。
ほんの一瞬だけ。
💚…それでいい
小さく笑う。
でもその笑顔は、 少しだけ切ない。
ダイスケが立ち上がる。
🩷リョウヘイ
呼び止める。
リョウヘイが振り向く。
🩷ありがとう
真っ直ぐな声。
リョウヘイは少し驚く。
🩷あの時、守ってくれた
🩷いっぱい悩んでくれた
🩷ちゃんと分かってる
リョウヘイはしばらく何も言わない。
それから、 ふっと笑う。
💚…それ、反則
🩷え?
💚未練残るでしょ
軽い口調。
でも本音。
レンが一歩前に出る。
🖤残すな
リョウヘイが笑う。
💚無理だろ
一歩下がる。
💚でも、いいよ
視線をダイスケに向ける。
💚ちゃんと幸せそうだから
風が止む。
静かな空気。
リョウヘイは軽く手を上げる。
💚じゃあな
🩷もう行くの?
💚長居すると嫌われそうだし
🖤正解
ダイスケが苦笑する。
リョウヘイは歩き出す。
背中越しに言う。
💚またそのうち来る
🖤来なくていい
💚冷たいなぁ
でも、 その声はどこか楽しそうだった。
リョウヘイの姿が見えなくなる。
静寂。
ダイスケがぽつり。
🩷なんかさ
🖤ん
🩷ちゃんと終わった感じする
レンは少しだけ考える。
🖤…あいつなりに区切りつけたんだろ
ダイスケが頷く。
🩷うん
少し間をおいて。
🩷でもさ
レンを見る。
🩷嫌じゃなかったでしょ?
🖤何が
🩷リョウヘイ
レンは少し黙る。
正直に答える。
🖤…まあ
ダイスケが少し笑う。
🩷素直じゃない
レンは軽くため息をつく。
そして ダイスケの手を引く。
🖤帰ろう
🩷うん
歩き出す。
その途中、 レンが小さく呟く。
🖤でも
🩷ん?
🖤渡さないけどな
ダイスケが笑う。
交わらなかった想いも、 選ばれなかった未来も。
それでも。
ちゃんとそこにあったことが、 今の優しさに変わっていく。
三人がそれぞれの場所で生きていく、
コメント
2件
ダイスケが良い子過ぎてもう、撫でくりまわしたくなるなぁ💕 (*´ㅅ`)ノ´ㅅ`*) ナデナデ ホントに罪作りな子やで こりゃ未練も残るわ でも幸せそうだから良いって言うのも本音なんだろうね(* ˘꒳˘)⁾⁾ みんながそれぞれの場所で幸せでいられますように☆ミ(*-ω人)