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空港の扉を抜けると、南国のあたたかい風が全員の頬を撫でた。青く澄んだ空、照りつける太陽、遠くに広がる海――
全員が思わず目を丸くして声をあげる。
「わ〜!空気が全然違う!」
椿が元気いっぱいにスーツケースを引きながら小走りし、
紬も「気持ちいいです〜!」と弾んだ声で笑う。
「海もすぐそこだね!」
希空が空を見上げて嬉しそうに言い、昴も「本当に眩しいです……!」と目を細めた。
歩き始めてすぐ、椿がちょっと不安げに口を開く。
「ねぇ、みんな、ホテルちゃんと予約したー?」
「任せろ。全部俺が予約したから安心しろ」
蓮が胸を張って先頭を歩きながら答え、優太も「さすが蓮だな!」と笑顔で返す。
「うんうん、これで安心だね!」
希空もにこっと微笑む。
紬はスーツケースを揺らしながら「わぁ〜、楽しみです〜!」と目を輝かせた。
男子たちもテンションが上がっていた。
「いや〜、沖縄最高だな!海も近いし、楽しみだよな!」
昴が穏やかに笑うと、優太も「だな〜!思いっきり遊べるぞ!」と元気いっぱいに答える。
架純は普段通り落ち着いた表情で歩きながら、静かに海の輝きを眺める。
「……本当に沖縄に来たんだ」と小さく呟いた。
女子たちは少し離れて影で小声で話す。
「海が近いって、本当に最高……」
「日差しも強いけど、テンション上がるね!」
紬も笑顔で頷き、椿は深呼吸して南国の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
「もうすぐ着くね!」
椿が嬉しそうに声を上げると、紬も「早く部屋見たいです!」と弾んだ声で笑う。
空港からホテルまでの短い道のりも、
太陽と海の眩しい光に包まれ、
男子の元気な声や女子の楽しそうな声が入り混じり、
全員の胸はこれから始まる沖縄旅行のワクワクでいっぱいだった。
ホテルの入口に着くと、全員が大きく息を吸い込んだ。
海の近くに建つホテルは、眩しい太陽に照らされて輝いている。
「わ〜!ここが私たちのホテルだ!」
椿が目を輝かせ、紬も「楽しみです〜!」とスーツケースを引きながら笑う。
希空も嬉しそうに、「すごく綺麗だね!」とつぶやいた。
昴がフロントに向かい、「チェックインお願いします」と丁寧に声をかける。
蓮も後ろから荷物を持ちながら、自信満々に「任せろ!」と応じた。
しかし、フロントのスタッフが少し困った顔で書類を確認する。
「申し訳ありません……お客様、元々ご予約いただいていた4人部屋ふたつですが、誤って他のお客様にご案内してしまいまして……」
「え……!?」
全員が驚きの声をあげた。
スタッフの女性は申し訳なさそうに頭を下げる。
「大変申し訳ありません!現在、8人部屋しか空きがなく、そちらにご案内させていただくことになります……」
「8人部屋……?」
希空が少し戸惑い、紬も「4人ずつの部屋だと思ってたんですけど……」と不安げに声を出す。
「ですが、8人部屋なら皆さん一緒に過ごせますし、海の眺めも同じですので……!」
スタッフは笑顔でフォローするが、全員少し複雑な表情を浮かべた。
「まぁ……仕方ないか」
椿が肩をすくめ、少し苦笑いしながら言う。
蓮は男子チームを見回して「みんな、同じ部屋でいいよな?」と確認する。
優太も「うん、せっかくだし楽しもうぜ!」と元気よく返す。
昴も「皆で過ごせるなら問題ないです」と丁寧に頷いた。
架純は普段通り落ち着いた表情で、少し眉をひそめながら「……まぁ、しょうがないよね」とだけ呟いた。
眩しい太陽と海の輝きに包まれながら、
ちょっとしたハプニングもあったが、全員の胸は沖縄滞在への期待でいっぱいだった。
ホテルに到着したのは朝の七時過ぎ。
フロントでちょっとした手違いがあり、元々予約していた四人部屋ふたつは別のお客さんに使われてしまったことが判明。
スタッフに謝罪され、代わりに八人用の広い部屋を用意してもらった。
少し驚いたが、全員の顔には楽しげな笑みが浮かんでいた。
「やっと着いたね〜!」
椿が伸びをしながら声を上げ、希空も「でも、朝の海って気持ちよさそうだね」と柔らかく笑う。
紬も「ほんとです!なんかワクワクします〜!」と目を輝かせ、昴は「荷物を置いたら、すぐ着替えましょうか」と穏やかに促した。
部屋の扉を開けると、潮の香りがふわっと流れ込み、窓の外には青い海と朝日に反射して輝く水面が広がっている。
「やば、広いし海近っ!」
椿が声を上げると、寧が笑いながら「さっそく着替えよ!」と手を叩いた。
女子たちは鏡の前でわいわいと着替えを始める。
「紬ちゃん、その色似合ってる〜!」
「えへへ、ありがとうございます!」
「椿ちゃんも可愛いよ!」
「ありがと!希空ちゃんもめっちゃ似合ってる〜!」
希空が少し照れながら髪を整えていると、架純は静かに一言。
「……希空さん、それ似合ってる」
「え、ほんと?ありがとう、架純ちゃん!」
架純は視線をそらしながら「……うん」と短く返す。
男子たちも部屋の反対側で慌ただしく着替えを終え、優太がちゃらっと「みんな似合ってるよ〜ん!」と声を上げると、
椿が「チャラッ!」とツッコミ、希空と紬が吹き出した。
寧と蓮も笑いながら肩をすくめ、昴が「朝から賑やかですね」と微笑む。
架純は少し呆れたように息をつきつつも、微かに笑みを浮かべて一言。
「……行こ。海、すぐそこでしょ」
その声に全員が頷き、荷物を手にホテルの自動ドアを抜ける。
潮風が頬を撫で、波の音が遠くから聞こえる。
まだ一日が始まったばかり——それでも、特別な時間の予感がしていた。
ホテルを出て、少し歩くと目の前に広がる青い海。
砂浜に足を踏み入れると、さらさらと柔らかい砂の感触が心地よく伝わってくる。
「わ〜!海だぁ!」
椿が声を弾ませて駆け出し、紬も「きれいです〜!」と歓声を上げた。
希空も深呼吸して、海の匂いを胸いっぱいに吸い込む。
男子たちは少しはしゃぎ気味に後ろからついてくる。
「…似してもスタイルみんないいね〜笑」
「お、おい優太……朝からそれ言う?」
椿と希空が思わず顔をしかめ、紬も「ちょ、ちょっとキモイです……」と小声でつぶやいた。
優太は少ししょんぼりしつつも、楽しそうに笑って肩をすくめる。
「おー!せっかくだし、写真撮るぞ!」
蓮が両手を広げると、男子全員が「おー!」と声を揃える。
女子たちは小声で「キモいよね……」と影でつぶやきながら、少し顔を赤くして砂浜に立っていた。
「それにしても、朝の海、眩しいね……」
架純が静かに目を細め、少しだけ笑みを浮かべながらつぶやく。
眩しい太陽の光と、波のきらめき。
風が髪を揺らし、遠くの波の音が耳に届く。
全員の胸が高鳴る——
今日の一日が、きっと特別な思い出になる予感がした。
昼の眩しい太陽の下、砂浜でしばらく遊んでいた。
波打ち際で足を濡らしたり、砂に座って話したり、みんな思い思いに海を楽しんでいる。
「うわー、波冷たいけど気持ちいい!」
椿が笑顔で叫ぶと、希空も「砂浜で走るの、久しぶりだな〜」と弾んだ声を出す。
紬は元気いっぱいに波の中を歩き回り、昴も「皆さん、海に入るときは気をつけてくださいね」と穏やかに声をかける。
しばらくすると、男子たちも少し疲れた様子で砂に腰を下ろした。
「……そろそろお腹すいてきたな」
寧がぽつりと言うと、優太も「だな〜、遊んでたらもう朝ごはんどころじゃない感じだし!」と笑う。
蓮も「俺もそろそろ何か食べたいな」と、同じように頷く。
女子たちも同意する声があがった。
「たしかに……朝から動きっぱなしだもんね」
椿が砂の上で手を拭きながら言い、希空も「そうだね、何か食べに行こうか」と微笑む。
「じゃあ、私食べ物買いに行きます!」
紬が元気に提案すると、架純が静かに「……私も行く」と返した。
二人は荷物を軽く持って、浜辺を歩き始める。
砂の上を歩く感触と、潮風が頬を撫でる中、紬は弾んだ声で「どんなの食べよっかな〜!」と話す。
架純は少し冷静な顔で、紬の楽しげな様子をちらりと見ながら、歩幅を合わせて進む。
遠くで波の音がリズムを刻み、二人の足取りを明るく照らしていた——
潮風と一緒にスパイスの香りが流れてくる。海辺の道に並ぶ屋台の中でも、特に人が集まっているのはタコスの店。
色とりどりのソースが並んでいて、香ばしい匂いが食欲を刺激してくる。
「わぁ〜!おいしそうです!」
紬が目を輝かせながら言うと、隣の架純はメニューを見つめたまま、
「……うん、確かに。」
と短く相槌を打った。声は小さいけれど、どこか優しい。
その時、後ろから軽い声がかかった。
「ねぇ、君たちって二人?」
振り返ると、サングラスをかけた男が二人。
紬は驚いて「あ、はいっ——」と言いかけたが、
架純が静かに「……返事しなくていい」とだけ言った。
そのまま前を向いて並び続ける架純。
けれど男たちは気にもせず、さらに近づいてくる。
「そんな冷たくすんなって〜。かわいいんだからさ〜」
「どこ泊まってんの?俺らも近いかもよ」
紬が戸惑って一歩下がる。
架純はちらりと男たちを一瞥するが、すぐに目を逸らし、
代わりに紬の腕をそっと掴んだ。
それでも男たちはしつこく話しかけてくる。
「ちょっとくらい話してもいいだろ?」
「無視とか冷た〜」
その瞬間。
後ろから低い声が落ちた。
「……何してんの?」
優太の声だった。
その隣には昴もいて、表情を引き締めている。
男たちは一瞬たじろいだあと、
「は?お前らには関係ねぇだろ?」
と反抗的に返す。
優太は眉をひそめて、淡々と答えた。
「関係あるよ。……俺らの仲間、困らせてるから。」
昴も静かに続く。
「“話しかけただけ”って言い訳、通じませんよ。」
男たちは不機嫌そうに舌打ちして、
「チッ、めんどくせぇな……」と吐き捨て、去っていった。
「ありがとうございます!」
紬が深く頭を下げると、昴はやわらかく笑って「いえいえ、大丈夫?」と返す。
「はいっ!」
紬の笑顔に、昴も安心したように頷いた。
優太は黙ったまま、架純の手を取り、指を絡めるように恋人繋ぎにした。
架純の心臓が一瞬止まったように感じる。
(……恋人繋ぎ……優太が、そんなことするわけ……)
頬が少し熱を帯びるのを感じながら、
架純は何も言わず、優太と一緒に歩いた。
しばらくして、
「……ありがと。」
と静かに呟くと、優太は短く「……別に。」と返した。
二人の間に海風が通り抜け、
さっきまでのざわめきが嘘みたいに静かになった——。