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読了しました。ABOもの第1話、いい幕開けですね。 13歳で突然Ωと宣告される絶望と拒絶――「なぜ俺が」という叫びが地の文に詰まっていて、ぐっと来ました。大人になった今も「大丈夫、今日も俺は生きてる」と自分に言い聞かせる朝のシーンが、その後の孤独を静かに示していて印象的です。抑制剤が「唯一の護身グッズ」という一文に、この世界の厳しさと主人公の強さが凝縮されていました。続き、気になります!
🤍side
「……山中さんは、…Ωです。」
🤍「……は?、」
あれは…確か13歳の健康診断。
あの時は今でも鮮明に覚えてる。
俺たちの世界では男女の性別の他に
“α、β、Ω”といった第二の性が存在していた。
🤍「いや、ちょっと待ってください、…俺がっ」
「現実を受け止められないのは分かります。
ですが、検査して結果が出た以上受け止めてもらわなくては…、」
脳が言葉を拒み、入ってくる情報を拒絶している。
全くもって理解が出来ない。
…おれが、俺があの、Ωって…いうの、かよ
吐き気を催す絶望感と未だ理解を拒み続ける脳が制御できない。
全体人口約10%に満たないほど希少なΩ。
男女性別に限らず妊娠が可能な身体付きであり、周期的な発情期が存在する。
社会的差別があるこの世界でいうΩは、下位層であった。
世間はΩを軽蔑した眼差しで見つめ、いじめや犯罪が絶えない。
🤍「………っ”、」
ズボンをぎゅっと掴み、受け止められない現実に呼吸すら忘れる。
何度も流れるΩが絡んだテレビニュース。
性的暴行や第二の性に関する犯罪行為。
どこか他人事で無縁だったのに。
今ここでそれを突きつけられて、
はい分かりました、と飲み込めるほどの容量は持ち合わせてなかった。
なぜ、俺が。
俺はβの両親から生まれた普通のなんの変哲もない子なのに。
目の前が一瞬にして真っ暗になった。
何も考えられやしなかった。
いいや、考えたくなんかなかった。
…もう、俺は、…周りとは違うんだ、
心の奥底でズキズキと痛む張り裂けそうな気持ちを抑えるのに必死だった。
🤍「…………ぁ、」
目覚まし時計が大きくなり、カーテンから漏れ出す光に目を凝らす。
何か嫌なことを思い出してしまったなと段々意識が浮上してくる。
ぐちゃぐちゃとした布団を毛脱ぎ、上体を起こそうと…、
🤍「………ぅ、わ」
間抜けな声が出て、結局ベットに引き戻される。
今日は一段と身体が重く、気だるい。
胸の奥がざわついて浅い呼吸を繰り返す。
嫌なこと、思い出したから…かな。
重みを増した身体は意識を保つのがやっとで。
頭の斜め上にあるスマホを取ることですら億劫になる。
🤍「…ぇ、時間やば、」
待って…これいつも起きる時間より遅い、
鉛のように重い身体は言うことを聞いてくれない。
だけど、どうにかして学校には行かなくてはならないから。
あーぁ、あたまいたい、
ズキズキと痛む頭と重たすぎる身体。
…それに加えて、お腹がじーんとして何か変な感触が絶えない。
🤍「…ん、…くすり、どこだっけ、」
かさかさと戸棚から漁り、何時も服用している薬を口の中に放り込めば幾分か気分が楽になる。
いつも愛用している抑制剤。
Ωにとっては必須で俺を守ってくれる唯一の護身グッズ。
本当にこれなくては始まらないから。
🤍「……よし、…うごこう、」
覚束無い足取りでハンガーにかかっていた制服を取る。
袖に手を通し、大きな等身の鏡を見て笑顔をつくる。
…大丈夫、今日も俺は生きてる。
一人で生きていける。
軽くけのびをして、顔を洗いに洗面台へ向かう。
また鬱陶しいほど嫌いな朝が始まりを告げた。