テラーノベル
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海外での撮影のために日本を出国していた目黒が、元より予定されていた映画が無事公開されたため、舞台挨拶に登壇すべく日本へ戻ってきた。
日本に戻るや否や、映画の宣伝のため舞台挨拶以外に朝のニュース番組への生出演にバラエティ番組の収録と数日間しかない日本滞在のスケジュールはびっしり予定が詰まっていた。
そんなタイトなスケジュールの中でも、同じグループのメンバー兼恋人である阿部と過ごす時間を強引にねじ込んだ。
「無理して時間作らなくても…」
「あべちゃんは俺と会いたくなかった?」
「…その聞き方ずるい」
元は6人だったグループが、現在では9人になり日本を大いに盛り上げている。
その個々の頑張りが実り、街で見かけない日は無い程だ。
「会いたかったのは俺だけかって思っちゃって」
「そんな訳ないっ!」
それぞれドラマ撮影を筆頭に、仕事が長期に渡る事があっても数ヶ月もの間会えないといった事は今までに無かった。
「目黒の夢を応援したい」と思う阿部は、いつしか心の底に「寂しい」という感情が芽生えたものの、蓋をして決して外に出ない様にしていた。
それなのに、頑なにしていた蓋を目黒は意図も簡単に開いてしまう。
「ずっと、会いたかった」
「うん」
「みんなと一緒に居てもさ」
「うん」
「ずっとめめの事探しちゃって」
「うん」
今まで蓋をしていた感情が沸々と漏れ出る。
そんな阿部の言葉を1つも取り零さない様に受け取っていく。
「「あぁ、居ないんだ」って思うとダメで…」
「うん」
「本当は連絡だってしたかった」
件の映画の宣伝で阿部が出ている情報番組に出演したその際に阿部への不満として「連絡が2回しかなかった」と話した事を思い出した。
「でも、日本とカナダでは時差もあるし」
「うん」
「何より…邪魔したくなくて」
「邪魔なんて思う訳ない」
「うん、わかってる。めめはそんな事思う奴じゃないって、だからこれは俺の性格の問題」
『めめが居ない日本でこんな事があった』
『撮影で疲れが溜まっていないか』
『慣れない土地で無理はしていないか』
『体調を崩してはいないか』
『寂しくはないか』
話したい事、聞きたい事が溢れるばかり。
だが、それは己のエゴであり重くなってしまいやしないか。
きっかけはなんだって良いはずだった。
悩みに悩んだ結果、時差がある事も相まってたった2回しか会話出来なかった。
「だから、こうして会えたのが本当に嬉しい」
「俺もだよ、向こうであった事いっぱい話したい」
「俺も同じ」
海を跨いだ距離が一気に縮まり、言葉は止まらない。
「この間シングルリリース記念の動画撮影があったんだけど、そこで康二が無双してたんだよ」
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「なにそれ笑」
「上がるの楽しみにしてて」
「うん、楽しみにしてる」
「めめはどう?」
「毎日変わらず撮影中だよ」
「そういえば髪だいぶ伸びたね」
最後に会った空港での見送り時から時間が経ち、項程の髪は今では肩に付く程だった。
「…触ってみてもいい?」
少し見上げる様に様子を伺って、「いいよ」の返事で恐る恐る手を伸ばした。
「首元暑くない?」
「気温が上がってきたからちょっと暑いかも」
「そっか」
「あべちゃんは今の髪型と前の髪型、どっちが好き?」
「えっ」
話しながら触れていた手が大袈裟にビクッと震えた。
まさかこの流れでそんな質問が飛んで来るとは思わなかった。
「え、えぇ…?」
「そんな詰まる?笑」
「いや、そうじゃなくて…その…」
「正直に言ってくれていいよ」
「んー…、今は見慣れない髪型だからちょっとドキッとしちゃうし…」
「うん」
「いつものめめの髪型は逆に見慣れてて安心するし…」
「うん」
「……どっちも好き」
恥ずかしそうに目線を逸らしながら答えるも、髪に触れる手はそのままだった。
消え入りそうな声で発した言葉はしっかり届き、心を鷲掴みするには威力が高すぎた。
「そっか、そっか…」
「…なんでそんなニヤけてるの」
「そりゃそうでしょ、どんな俺でも好きって事でしょ?」
「っ……」
「違う?」
「…………違わない」
顔を真っ赤に染めて俯く恋人はあまりにも可愛すぎて、衝動的に己の胸に納めてしまう。
「ちょ、めめ!?」
「んー?」
突然の事に慌てふためくが、次第にそれも収まり同じ様に背中に腕を回した。
「あべちゃん温かいね」
「……こっちは熱いよ」
息を吸い込むと爽やかさのあるサボンの香りが鼻腔をくすぐる。
少し前まではずっと傍にあった香りだが、今では無く寂しく感じていた事を改めて実感させられ胸がいっぱいになった。
「もうちょっとだけこうしててもいい?」
「…うん」
この後、夜にある音楽番組へサプライズ登場するためスタジオへ向かうその時間まで、今まで離れていた距離と時間を埋める様に片時も離れなかった。
コメント
4件

良いですね🙆 癒されます🥰

最っ高すぎる(´;ω;`)