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鱗って、剥がされるの痛そ…
先生が死んだ。
この事実は俺の胸に深く突き刺さった。
俺が執刀医?なれる訳がない。
「クルル。大丈夫?」
サーフィーが俺の背を擦る。
「いつまでも悲しんでたら何も変わらないよ。」
「兄ちゃんは自分を犠牲にして俺等を守ったんだ。」
サーフィーが唇を噛んで言った。
本当は一番辛いはずなのに、笑っている。
俺もこのままじゃ駄目だ。
いきなり過ぎて何がどうなのか分からなかったが
先生の死を無駄になんて出来ない。
「分かった。俺が執刀医になる。」
先生のペストマスクを被って俺が言った。
サーフィーも『うん』と頷く。
「じゃ、兄ちゃんを治療しよっか。」
サーフィーが先生の死体を持ち上げて言う。
一瞬意味が分からなくて呆然とした。
「えっと…どういうことだ?先生亡くなってるだろ?」
混乱する頭を整理し、サーフィーに言う。
そんな俺にサーフィーが首を傾げて言った。
「え?まず兄ちゃん蘇生しないと。」
「いや、時間が経ってるんだよ。」
「いやいや。だから臓器を取ってから…」
「ぞ、臓器ぃ?!」
言っている途中でおったまげた。
まさか…何を…
「サーガラと同じことするんだよ。
ほら、死んだ人の皮を剥いでから皮を着る。」
「そしたら自分の体を渡す代わりに
相手の体を貰うという契約が成立する。」
つまり俺が先生の皮を着て、
俺の皮を先生にあげるということだ。
しかし自分の皮をどうやって剥がすのか…。
「それって先生に俺の毛皮をあげなきゃいけないんだろ?
よくよく考えたら執刀医俺だけだよな?」
俺がそう言うとサーフィーがニヤリ笑う。
「それがね、君が毛皮を着てから少し経ったら
兄ちゃんの霊がクルルの皮を剥ぎ取って着るから大丈夫。」
「痛そ…剥ぎ取られるんですよね?えっ、」
怖くてそう言うとサーフィーが満更でもない顔で言い放つ。
「兄ちゃんの気持ちになって耐えたら?」
「…」
「確かに、そうだな。」
「でしょ〜??じゃ、毛皮剥ごうか。」
「おう…。(先生ごめんなさい…)」
心で謝りながら先生の毛皮をメスで切り剥がした。
竜の鱗はとても強く、頑丈なので綺麗に剥がれた。
赤紫色の綺麗な鱗がキラキラと輝く。
剥がし終えると俺のメスがパキッと音を立て、折れた。
鱗の頑丈さに耐えられなかったのだ。
「マジかよ…折れた…」
「頑丈だからね。後は毛皮を着れば………」
「兄ちゃんは生き返るんだ!」
目が正常ではなかった。
狂っていると言えば分かりやすいだろうか。
俺はそれに怯えたよ。だって父さんの目に似てたから。
けど先生のために俺は皮を着た。
すると電気のような感覚が頭の先まで流れた。
耳鳴りがする。何か…声が………………………
「………い」
「?」
「麻酔かけとくからな。」
先生の声がした。
だがそう思ったのも束の間
意識が消えた。
「んん…」
目が覚めると体が先生になっていた。
(えぇ、夢じゃなかった…。翼も動かせる。)
そんなことを考えながら目の前を見ると
キリッとした俺がいた。そう、先生だ。
「まさか、生き返るとはな。」
「ホントだよ〜ははっ」
自分が目の前にいる…。
けど中身は先生。不思議な感覚だ。
「あ、クルル。起きたか?」
先生が言う。
「もうクルルじゃないでしょ。」
そう俺が言うと先生がムッとした顔をした。
「は?なら俺がクルルだな。で、お前がグル。」
「まぁ、そうですね。自分を先生っていうのは嫌ですが。」
俺が拗ねて言うと先生がフッと笑い言う。
「もうお前はクルルじゃねぇからな。
今は自分が俺だと考えて違和感をなくせばいい。」
俺が「えーっ」と言うと
サーフィーが先生に言った。
「違和感はなくならないでしょ。」
「え?俺は違和感ないけどなぁ、」
先生(俺)が笑う。
気持ち悪い光景だがよくよく考えたら
尊敬してる人になれてるんだ。
もしかしたら、ありがたいことかもしれない。