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サイド マオ
◯◯銀行のホームページにて。俺は親から頼まれた“ポイントチャージ”をしようとスマホを打っていた。
「ええと、これで……」
ビーッ!ビーッ!突如として鳴り響いた警報。その意味を理解するのにしばらく時間がかかった。
「ハッキングされたのか?銀行が?!」
普通ならあり得ないことだ。ただ、それが嘘ではないことを警報音が示していた。
「っ……なんとか、しないとな……」
下手な正義感を出さなければ、よかったのかもしれない。そんな思いが、今でも胸の中にある。
パソコンに接続し、一分ごとに変えられるパスワードを掻い潜る。
「よし、これで……」
犯人のアカウントが分かる。
……はず、だった。
そこに書かれていたのは、◯◯銀行のサブアカウント。
思考回路が停止した。これが自作自演なのだと分かるまで数秒を擁した。
それが、決定的な差となって、◯◯銀行から数億円が乗っ取られた。
後から知った話だが、◯◯銀行には政治家と違法取り引きしていたがこの騒動で全てうやむやになったそうだ。危ないところから借金もしていたらしい。
「っ……くそ……!」
ドン!と机を叩かずにはいられなかったよ。
数日後、◯◯銀行の偉い人らしき人が二人、俺の家を訪ねてきた。
大方、サーバーの位置情報を特定したのだろう。
ペラペラと言い訳を並べた後、厚みのある封筒を渡してきた。
「このことは、どうかご内密に……」
「っ……!」
吐き気がしたよ。こいつらは、自分のことしか考えていないのだと失望した。
ばっと俺は封筒を叩き返した。
「受け取れる訳ないだろう?!この金だって、汚い方法で集めた金なんだろ?!」
「しかし……」
「……行きましょう、社長」
ずっと黙っていた男が口を開いた。ぞっとするような冷たい視線で俺のことを見下しながら。
「こんな、子供一人にできることなどたかが知れてます」
「……!帰れ!!」
俺は、二人を突き飛ばした。
怖かった。そして、悔しかった。その男が言ったように、何もできないでいることが。
警察に言っても、信じてもらえず、データは◯◯銀行のハッカーに破壊されてしまったからな。本当に何もできなかったんだ。
「くそ……」
そして、このやりとりを誰かが見ていたんだ。
『パシャッ』