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今回は ナナメが脱走し、再びヴィラン連合へ戻るまでを描きます!
静かな廊下。
深夜2時。警備は最小限。
拘置室の中、ナナメは目を閉じていた。
相澤の声が、耳の奥で繰り返されている。
「曲がっても、進めばいい」
「君の人生は、まだ終点じゃない」
「……うるさいな。ほんと、教師ってやつは」
その瞬間、ナナメの手の甲に咲いた、一筋の“折線”。
隠していたピンを指先で弾き、ロックを解除する。
カチ。
手錠が外れた。
廊下に出た瞬間、監視カメラの視線を感じる。
だが、すべて“折る”。
ナナメの個性「折線」が、センサーの電気信号すら軌道を歪める。
真っ直ぐ見ているはずのレンズが、彼女を視認できない。
「“まっすぐな正義”は、あたしを見ない。
だったら、“歪んだ線”で抜けてやる」
拘置棟の窓から、身を投げるように飛び降りる。
重力の落下軌道を“斜め”に折り、屋上をかすめて地上に着地。
足をくじく。
膝を擦りむく。
でも――走る。
ヴィラン連合本拠地にて(仮)ドアを開けた瞬間、トガヒミコが振り向いた。
「ナナメちゃん……帰ってきたんだ」
「……ま、行き場所なかったし」
「ほんとは?」
ナナメは少し黙ってから、ソファに崩れるように座った。
「……あそこにいたら、また“まっすぐになろう”って思いそうだった。
それが一番、怖かったんだよ」
トガ:「ナナメちゃんの斜めっぷり、わたし結構好きなんだよね〜」
荼毘:「迷ってた顔してたな。戻ってきたなら、覚悟はできてるんだろ?」
スピナー:「お前も“選んだ”ってことだ。次は道の途中で折れないようにな」
「――もし、いつかまた、あの教師に会ったら。
今度は“言い訳”じゃなくて、“選択”として答えを言おう。
たとえそれが、“間違ってた”としても。
……あたしは、この線で生きる」