第5話:ウイルス拡散都市
夜の繁華街に異変が走った。
ネオンが一斉に明滅し、信号機が狂ったように赤を点滅させる。
街の地下ケーブルを這う灰色のノイズが、やがて地上へと噴き出した。
ビルの壁を食い破って現れたのは――ワーム型ウイルス怪物。
無数の触手が網のように伸び、都市全体を飲み込もうとしていた。
「まずいな……都市ごと感染か」
灰と赤のアーマースーツを纏った鳴海隼人が、短髪の額を押さえながら唸る。
ポメ型AI「マル」が声を発する。
都市インフラ、侵食率62%。このままでは制御不能。
「急がないと!」
黒髪ショートにパーカー姿の真城蓮が、緑のライトスーツを展開する。背中からホログラムの翼が広がり、セキセイインコ型AI「ピコ」が鳴いた。
「プロンプト!《未来視・広域》!」
蓮の瞳に、街全体を覆う触手の未来予測ルートが光の地図として浮かんだ。
「防御は任せて!」
制服の上にドクターコートを羽織った結城未来が駆け出す。
ピンクと黄緑のヒールスーツに変わり、キツネ型AI「サラ」の尾が光を走らせる。
「プロンプト!《治癒結界》!」
広範囲に防御のホログラムが張られ、逃げ遅れた市民たちが光のシールドに守られた。
「だが触手の数が多すぎる!」
肩までの茶髪を揺らす天羽光が、紫と墨染めのアートスーツに身を包む。イヤーカフが光を反射し、イルカ型AI「ルナ」が波紋を放つ。
「プロンプト!《感情波・拡散》!」
街に広がるパニックを打ち消すように、安心のイメージを市民に流し込んだ。群衆の混乱が止まる。
だがワーム型怪物は都市配電盤に侵入し、次々と爆発が走った。
「もう守るだけじゃ間に合わない!」
丸眼鏡にセミロング髪、赤とグレーのワークスーツを纏った秋月理央が叫ぶ。腰の工具ベルトが光を放ち、リス型AI「チィ」が跳ねる。
「チィ、プロンプト!《都市工作モード》!」
街の電柱、配管、自販機、道路の鉄鋼片――すべてをスキャン。
チィが回路を繋げ、理央の周囲に巨大なホログラム設計図が展開する。
「行くぞ……緊急防壁ネットワーク、即席合成!」
ビルからビルへ、道路から道路へと鉄鋼の線が張り巡らされ、街全体がまるで一つの巨大兵器に変わっていく。
即席で作られた光の塔が噴射し、ワーム型の触手を次々と切断。
「今だ、総攻撃!」
隼人が叫び、拳から衝撃波を放つ。
蓮が翼で敵の中枢を切り裂き、未来の治癒光が仲間の体力を回復。
光が感情波で怪物の思考を乱し、理央が都市ごと連動させた光砲を放つ。
五人と五体のAIが同調し、街全体の光が一斉に点滅。
その中心から放たれた巨大なエネルギーが、ワーム型ウイルス怪物を貫いた。
轟音。
触手が崩れ、街に覆いかぶさっていた灰色の膜が霧散していく。
理央は肩で息をしながら、チィを見上げた。
「……都市インフラを即席で武器にできるなんて、正気じゃないな」
「でも、やれたよ。みんながいたから」
ドクターコートを翻しながら未来が微笑み、光が笑い声を上げた。隼人は短く頷き、蓮は翼を畳んだ。
街を救った5人の姿に、市民の目が釘付けになる。
その夜――ホロ・ガーディアンズの存在は、都市全体に知られることとなった。
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