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ZERO

1 - 第1話 予告者ZERO 君だよ

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2025年10月25日

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第1話:予告者ZERO



東京・新宿。

金曜の夜、午後11時58分。

雨は降っていないのに、空気が濡れているように重かった。


スクランブル交差点の大型ビジョンが、唐突にノイズを走らせた。

画面の粒子が人の顔のように揺らいで、やがて黒に沈む。


そして、音もなく文字が浮かぶ。


「——この街に、0時ちょうど、光が落ちる。」


十秒。

その間、誰も声を出せなかった。

映像が消えた瞬間、街のざわめきが一斉に戻る。

「今の、CM?」「バグ?」

そのわずか一分後、SNSのトレンドが“#光が落ちる”で埋め尽くされる。


しかし、そこに奇妙なことがあった。

投稿の中に——まだ誰も映像を見ていない時間の投稿が混じっていた。


「23:51 ビジョンに変な文字出るぞ」

「23:53 “光が落ちる”って書かれてる、なにこれ」


映像が流れたのは23:58。

その前に書かれているはずのない投稿。

しかも、そのアカウントたちは全員、数分後に削除されていた。




翌朝。

都庁の南棟が焼け焦げていた。

爆発音も煙も目撃されていないのに、内部の防犯カメラが一斉に“真っ黒”になっている。


ニュースのアナウンサーは震える声で言った。


「都庁の南棟で原因不明の発火があり、被害は——」


途中で音声が途切れた。

画面がフリーズしたまま、再び黒に染まる。


「——次は、あなたの番です。」


その一文が、一瞬だけ画面の端に映った。

スタッフの誰も、それを見ていないという。




夜。

高校二年の朝倉陸は、自室の薄暗いモニターに目を凝らしていた。

SNSの“ZERO”というアカウント。

プロフィールは空欄、フォロワー0、フォロー0。

ただ、ひとつだけ固定された投稿があった。


【ZERO】

「この世界は、嘘でできている」

「明日、清陽高校の“真実”が暴かれる」


清陽高校。陸の通う学校だ。


時間は、10月25日、午前8時12分。

登校時刻、まさに全員が正門を通る時間だった。




午前2時。

陸は眠れなかった。

ふと、スマホが震える。

通知は来ていない。

画面を開くと、チャットアプリに未読の“1”。

送信者の名前を見た瞬間、陸の呼吸が止まる。


差出人:結衣


妹の名前。

一年前、あの火災で死んだ、はずの。


震える指で開くと、

そこにはたった一行だけ、文字があった。


「りく、窓を見て。」


陸はゆっくりと顔を上げる。

カーテンの隙間。

そこに、“誰か”が立っていた。

街灯に照らされ、影だけが揺れている。


妹の、影だった。


そしてスマホがもう一度震える。

再び、メッセージ。


「ZEROは、あなたの中にいる」


——その瞬間、停電が起きた。

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