はぁーあどいつもこいつもつまんないわね
私、ドゥラーク王国第一王女ホオズキは、お辞儀をしてつまらない話をして行く男どもにそう思った。
全く、『婿選びの儀』なんて王宮内でやればいいものを国の祭事として行うなんて、お父様は何を考えているのかしら。
本来私たち王家の婿選びの儀というのは王宮内で粛々と行うものだ。なのに、
『お前たちの婿選びの儀は、国の祭事として行なうぞ!』
なんて、
いくらかわいい五人娘の大切な婿選びとはいえ国を挙げての祭事にするなんて。
まぁ、面倒なことは口出ししない。それが私が信頼を得てきた王女の姿だ。王が決めたことには口出しせず、王の命に忠実に従う。でも、自分の意見は持っていて、芯の通っている。それがこの国の求める王女の像なのだ。
ほんと、馬鹿みたい。
「…下、ホオズキ王女殿下!」
「っ…どうかなさいましたか?」
「いえ、ホオズキ王女殿下がお疲れのご様子でしたので…」
「…ごめんなさい。少し上の空でしたわ。多くの貴族男性と会っているから、知らぬ間に疲れていたのかもしれません。申し訳ありません。不快なお気持ちにさせてしまって…」
「いっ、いえ!とんでもない!ホオズキ様のおそばにいるだけで、私は幸せでございます!」
「そうですか?なら、良いのですが…」
少し眉を下げ、困った顔をする。柔らかい物腰で言葉を交わせばみな、自然と顔が緩む。ほんと、人って単純ね。
ていうか、こいつ今、王女殿下って言わなかったわね、無礼な男。こいつはダメね。私にふさわしくない。
「…では、そろそろお時間ですので、次女のロベリアの元に足をお運びなさいませ。」
「えっ、いや、私はもっとホオズキ様と、」
「申し訳ありません。他の貴族の方も控えておりますので…」
「そんな…」
「…私も、もっと貴方とお話をしたいです。ですが、私は王女。みな、平等に接さなければならない。それは、貴方にも、妹にも。ですから、ロベリアの元にお急ぎください。また、貴方と会えることを私は望みます。」
望んでないけど。
「ホオズキ様…。…わかりました。私も貴女様と会えることを望みます。」
ガチャン
「…やーっと出たわね。あの男。」
はぁ、しつこい男だったわね。ほんと、これだから男はいやなのよ。
コメント
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ええー!!ありがとうございます!!これからも頑張ります!