第一部
透、白川、十二神将が立ち並ぶ戦場に、凄まじい圧力が襲いかかる。そこに立っていたのは、琥珀だった。その不敵な笑みと共に、琥珀は彼らに冷ややかな視線を投げかける。
「お前たちがどれほど力をつけても、結局は無意味だ。」琥珀の声が響き渡る。「お前たちに勝ち目など、最初から存在しない。」
十二神将は、すぐに戦闘態勢に入った。「油断するな…こいつの力は計り知れないぞ。」
しかし、琥珀の自信に、十二神将のメンバーたちにも不安が募る。透もまた、その異様な雰囲気を感じ取っていた。だが、彼らにはもう後戻りは許されない。
「ふざけるな……俺たちはこんなところで終わるつもりはないんだ!」透が歯を食いしばり、琥珀に向かって叫んだ。
透が叫び終わると同時に、白川が前に出た。「俺が相手をしてやる。お前らは、隙をつけ。」冷静かつ冷ややかな表情のまま、白川は手のひらにエネルギーを集め、琥珀に向けて一撃を放つ。
だが、琥珀はまるでそれが無意味であるかのように軽く避け、笑みを浮かべた。「これで最強か?白川、お前も随分と成長したが、甘い。」
次の瞬間、十二神将たちが一斉に攻撃を仕掛ける。雷鳴のような音と共に、空を裂くエネルギーが琥珀に向かって放たれた。しかし、琥珀はその全ての攻撃を瞬時にかわすか、軽々と打ち払っていく。
「なんて奴だ…」透が焦燥感を募らせるが、白川は冷静に琥珀の動きを見つめていた。「弱点は必ずある。油断するな、透。」
だが、透たちが琥珀の力を測りかねているその時、琥珀が両手を広げた。「さて…お前たちには、本当の力を見せてやるとしようか。」
瞬間、空間が歪み、戦場全体に異様なエネルギーが溢れ出した。琥珀の体から放たれるこの力は、透たちの想像を超えていた。重力が狂い、空間がねじれ、次元そのものが歪み始める。
「これが、俺の真の力だ…。」琥珀の声が低く響く。「ふざけるな…俺は世界そのものを支配する者だ。」
透はその言葉に絶望を感じながらも、拳を握りしめた。「諦めるな…どんなに強い相手でも、俺たちには倒せるはずだ!」白川もまた、無言でその隣に立ち、十二神将たちと共に戦闘態勢を取る。
「やるしかない。こいつを倒さない限り、未来はない。」白川が静かに呟くと、全員が頷いた。
戦場には、今まさに決死の覚悟を持った戦士たちが集結した。琥珀との決戦が、ここから本格的に始まる――。
第二部
激闘が続く中、透たちは次第に追い詰められていた。十二神将も、白川も、琥珀の前に消耗していく。戦場は一瞬の静寂に包まれ、重苦しい空気が漂う。
「ここまでか……。」透が息を切らしながら膝をついた。琥珀は不敵な笑みを浮かべたまま、勝利を確信しているかのようだった。
「これが、お前たちの限界だ。まったく失望したよ。」
その瞬間――重く沈んだ空気を一変させる、突如として現れた強大な力が戦場を駆け巡った。
「……誰だ?」琥珀が眉をひそめ、背後を振り向く。その視線の先には、死んだはずの男が立っていた。
「神風……?」透が信じられないという表情で立ち上がる。
「久しぶりだな、透。お前、まだくたばってなかったか。」軽い口調で微笑む神風だが、その目には鋭い決意が宿っていた。
「神風……お前、死んだはずじゃ……」白川が驚きと共に問いかけるが、神風は肩をすくめて答えた。
「まぁ、ちょっとまた死んだふりをしてただけさ。こいつに対抗するには、一度消えるしかなかったんだ。」
神風は静かに拳を握りしめ、再び立ち上がる仲間たちに向かって叫んだ。「さあ、ここからが本番だ。お前たち、まだやれるだろ?」
透と白川、十二神将は神風の復活により、再び闘志を燃やす。全員が立ち上がり、琥珀に向かって陣形を整える。
「ふざけるな……この程度で俺に勝てると思うなよ!」琥珀が怒りを露わにし、全力の一撃を放つ。しかし、神風はその一撃を軽々と受け止め、にやりと笑う。
「そりゃどうかな?俺たちは終わっちゃいないんだよ、琥珀。」
次の瞬間、神風は自らの異能を解放し、周囲に膨大なエネルギーを放出する。風が渦巻き、空間が震える。
「神風……」透がその光景を見つめ、確信した。神風は以前よりもはるかに強力になっていた。
神風の復活により、戦況は大きく変わろうとしていた。琥珀もまた、その圧倒的な力に警戒を強める。しかし、ここからが本当の戦いの始まりであることを、誰もが感じ取っていた。
「全員、準備はいいか?」神風が冷静に仲間たちを見回す。「ここでこいつを終わらせるぞ。」
白川は微笑みながら頷き、透もまた決意を新たにする。
「やってやるさ。ここで終わらせてやる……琥珀、お前の時代はここで終わりだ!」
神風、透、白川、十二神将――最強の戦士たちが再び一つとなり、琥珀との最終決戦が始まる。
第三部
琥珀の目が鋭く輝く。先ほどまで余裕の笑みを浮かべていた彼が、初めて本気の表情を見せた。
「やっとお前たちが俺の相手にふさわしいと感じたよ。ならば見せてやろう、俺の本当の力を。」
琥珀はゆっくりと手を広げ、周囲の空気が一瞬で重くなる。まるで空間そのものが歪んでいくような感覚に、透、白川、神風、そして十二神将は息を呑んだ。
「この術式、名を『黄泉の門』と呼ぶ。俺の呪いの力は、死そのものを操る。お前たちがどれだけ抗おうと、死は避けられない。」
琥珀が手を掲げると、その場に黒い門が現れた。門の中からは無数の影が蠢き、悲鳴のような不気味な声が響き渡る。
「この門から逃れることはできない。この門を通過した者は、魂を奪われ、死に至る。お前たちも同じ運命を辿るだろう。」
門からは黒い霧のようなものが放たれ、透たちを包み込む。体が重く、動きが鈍くなり、まるで力が吸い取られていくかのようだった。
「この感覚……まさか、魂が……」透が呟き、額に冷や汗が滲む。
「くっ……このままじゃ、全員やられる!」白川が歯を食いしばりながらも抵抗を試みる。
しかし、琥珀は冷笑を浮かべたままだ。「無駄だ。この術式は、お前たちの全てを封じ込める。抵抗しても無駄だ。」
その時、神風が口元に微笑を浮かべた。「琥珀、お前の術式、確かに強力だが……弱点もあるんじゃないか?」
「……何?」
「この門、死者の魂を操るってことは、生者とは相反するんじゃないのか?」神風が鋭い目で門を見つめながら話す。
「ほう……面白い理屈だ。だが、証明する力が、お前たちにあるのか?」
神風は大きく深呼吸し、周囲に風を呼び起こす。「生者の力を最大限に引き出して、門を突破する。お前の術式なんて、ただの幻想に過ぎない!」
神風が全力で風の術式を発動させ、門に向かって突進する。風が渦を巻き、黒い霧を吹き飛ばしていく。透と白川、そして十二神将もそれに続き、力を振り絞って前進を始める。
「この門がある限り、俺たちは死なない!お前の術式を超えてみせる!」白川が叫びながら、琥珀に突撃する。
透もまた、その勢いに乗って琥珀に斬りかかる。「ここで終わらせるんだ!お前の時代は、もう終わりだ!」
琥珀の術式『黄泉の門』により、戦いはさらに熾烈を極めていく。生と死が交差するこの戦場で、神風たちは一体どのような結末を迎えるのか。果たして、彼らは琥珀の術式を打ち破ることができるのだろうか。
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