テラーノベル
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「あなたのオリジナルには弟がいました。それが、アサさんです」
…言わなくても、良かったのではないか。
わたしは思ってしまった。
何も覚えていないA先生を、かえって苦しめるだけだ。
きっとこれは、北先生なりの贖罪。
彼が何も覚えていなくても、伝えなくてはならないと
思ったのだろう。
「…今のは事実かい?」
A先生は、こちらに顔を向けてそう訪ねた。
ここで、違いますと言えば。
無関係なA先生を苦しめることはなくなる。
だがA先生に、偽りであったとしても”お兄ちゃん”と呼びたい。
その願いは叶わなくなってしまう。
貴方にとって私は…ただの通りすがりになる。
私は、どうするべきなんだろう?
ぐるぐると、思考は車輪のように同じところを廻り続けた。
「それ、事実だよ」
不意に後ろから聞こえた、軽い男性の声。
校長…帰ってこない私たちを不審に思って、様子を見に来たか。
そしてやはり、校長は私たちの関係を知っていた。
知っていて、A先生と北先生を雇い、私を入学させた。
「あなたは知っているんですか?」
「うん、僕は全部知ってるんだ。校長だから」
そう言って、校長はにやりと嗤う。不気味だ。
そもそも、何が目的でこんなことを。
そして…秘密に迫りすぎた私たちは、どうなってしまうのだろう。
「チミたちはないのかな?もーちょっとさぁ…手心ってもんが。
このままじゃこの学校のこと、全部バレちゃうじゃないか」
「でも解雇はできないし、退学にもできないんだ。
だからチミたちは謹慎処分。授業や部活に出るなってこと。
A先生は保健室から一歩も出ないでね」
だからそういうことで、A先生は早く戻ってね。
言い残して、校長は去っていった。
「人手が足りない中で、私を謹慎処分なんて」
「きっと校長は、彼らの尻尾を掴んだのでしょう」
「…無断欠勤コンビですか……」
無断欠勤コンビ、北東先生と北西先生か。
彼らが、もうすぐ帰ってくるということ?
なら、さらにややこしいことに…
そう考えていると、A先生が私の肩を叩いた。
なんとも言えない、複雑な表情で。
「申し訳ない。断片的に、オリジナルの記憶らしきモノはあるんだ。
水面
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蒼羽@不定期投稿
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でも…君のことは思い出せない」
「…いいんです、A先生が抱え込む必要ありません。
それより、先生は早く戻らないと」
A先生は小さく頷いた。
…でも、ひとつだけ。お願いしたい。
「あ、あの」
「何だい?」
「二人きりの時とか…あの、嫌だったらいいんですけど。
お兄ちゃ…いや、兄さんって呼んでも…ダメですよね」
「…はは、なんだそんなこと。別にいいよ」
眩しい笑顔が、私の目を刺した。
そうだ、このひとはアサヒではない。
だが、それ抜きにしたってわたしは
このひとのことが好きなんだ。
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「もー、校長は器がSmallですネ?」
「そうだぞ!!!!!!おれはジムに行っていただけだ!!!!!!」
「僕は器どでかすぎて先が見えないくらいなんだけど、
さすがに事務ほっぽってジムに行く人は許せないわけさ…」
「東先生は昔からそうですネー、融通通じない」
「ちょっと、僕はもう東じゃなくて校長ね」
コメント
1件
うわあ…24話、すごく苦しいお話でしたね。主人公が「お兄ちゃん」って呼びたい気持ちと、A先生はアサヒじゃないって分かってる葛藤、胸が締め付けられました。校長の軽いノリと、最後の東先生(元校長?)とのギャグっぽい掛け合いで、一気に空気が変わったのも面白かったです。でもやっぱり、A先生の「別にいいよ」って笑顔が一番印象的…。この優しさが、むしろ切ないですね。次が気になる…!