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【二年後】
金曜の夜、東京は千代田区、有楽町の「ニッポン放送公開収録会場」の席はすでに満員御礼だった、入り口には
『オールナイトニッポン公開収録スペシャルTVアニメ「あの虹の彼方へ」』
と大きな看板が掲げられていた
.:・.。. .。.:・
「お笑い芸人「ミルフィーユ弁当」のぉ~♪オールナイトにっぽぉ~~ん♪」
公開収録の赤い札が並ぶ客席から、割れんばかりの拍手が沸き上がる、ステージ上の長いテーブルにはマイクが三本、司会者のお笑い芸人コンビがオープニングを盛り上げる
「今夜は有楽町、ニッポン放送の公開収録にお越しいただいて、ありがとうございまーす!」
順番に司会者がテーブルに登壇している三人を紹介していく、舞台にはアニメ『あの虹の彼方へ』の巨大パネルが設置されている
「はぁ~い!今回はぁ~!今大人気のアニメ『あの虹の彼方へ』から素晴らしいゲストをお招きしています、ご紹介しますはアニメ声優のお二人、まずは「イケメン結婚詐欺師役」を演じられています、声優の「霧島蓮」さぁ~ん♪」
キャーッ!「こんにちは!霧島蓮です、今日は詐欺は働きませんので、よろしくおねがいしまぁ~す♪」
ヒーローの声で知られる人気声優「霧島蓮」の紹介で、客席から黄色い声援が上がる、その度に彼が微笑んで愛想を振る
最近の若い声優はビジュアルも良く、俳優扱いで大変な人気だ、彼らを追いかけているファン達が内輪を掲げて、最前線の席を陣取っている
「そして、「女性外科医」のヒロイン役の声を演じていらっしゃる、ベテラン声優の「白咲澪」さぁ~ん♪」
「よろしくお願いしまぁ~す♪」
今度は、客席からは悲鳴ではなく、尊敬のこもった重みのある拍手が沸き上がった
「さあ、そしてそして!」
司会者のお笑いコンビの片割れ、三田村がわざとらしく声を張り上げた
『今夜の主役とも言えるこの方をご紹介しましょう!この物語を全ての始まりの一行から生み出した、原作者の「美木桜子」先生です!』
眩しい光のライトに照らされて、すでに顔がほてっている桜子が恥ずかしそうに挨拶をした、同時に、客席から割れんばかりの拍手と歓声が押し寄せた、しかし眩しいぐらいにライトに照らされているので観客席は真っ暗だ、桜子は目を細めた
暗がりの向こうに、何百もの顔が青白い点のように並んでいる・・・その輝くような熱い視線をこちらに向けられているのを感じた
桜子は顔を上げているのに、焦点がどこにも合わないような感覚で目を終始泳がせていた
収録が始まって二十分ほど経った頃、コーナーはリスナーから寄せられたメールの紹介に移った、桜子の手にしている進行表に、メールのプリントアウトが何十通もクリップで留められている
「―でね、俺がこの役を頂いて原作を読んだのは実は新幹線の中だったんですよ!それで最後のどんでん返しでって・・・みなさんお分かりですよね?あの場面で俺ったら思わず「わぁ!!」って叫んじゃいましてね!後ろの席の人に静かにしろって怒られてね―」
ワハハ「そりゃ、蓮君がアカンわぁ~(笑)」
「俺も驚いたで~原作を読んで叫ぶのがなんでも「あの虹症候群」って言うらしいですよ」
アハハ「流行ってるんだぁ~」
司会者二人と人気声優がぺちゃくちゃとまくしたてて観客の笑いを誘っていたので、桜子自身はずいぶん楽だった、しなければならないのはせいぜい、頷いたり、ありがとうございますと上品で控えめな笑みと共に観客を見渡すことぐらいだった
この原作の促進で東京を訪れるのもこれで五回目だ、来週もまた来ることになる、都内で開かれている書店の生き残りをかけてのイベントにまたこのアニメ声優達と登壇しなければいけない
それでも桜子は興奮した、数十年前に少しだけ売れた自分の著書でこんなイベントなどは行われなかったからだ
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#一次創作
ruruha
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眠狂四郎
1,113
ruruha
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きゆう
148
コメント
2件
あぁ😔 希実ちゃん渾身の一作が世に認められたんだね 桜子あなたの行いは…最低だよ
わあ、アニメ化から2年後——こんなに華やかな公開収録の舞台に桜子さんが立ってるんだね。客席の拍手や黄色い声援がリアルに浮かんで、ちょっと眩しそうに焦点をさまよわせる桜子さんの姿が印象的だった。成功したはずなのに、どこか本人だけが浮いてるような距離感があって……そこにまた惹かれる。そういえば「あの虹症候群」って呼ばれるほど作品が浸透してるっていう伏線?みたいなさりげない台詞も気になるな。続きが楽しみだよ!