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コメント
1件
うわっ…この話、めちゃくちゃ怖かった…。 陸がようやく辞められたのに、また新しい17番が生まれてるっていう構造がゾッとする。 「ちょっとだけなら」って思う気持ち、すごく分かるから余計に怖いんだよな。 誰か一人を助けたくらいじゃ終わらないっていうラストのメッセージ、重かった。 これは連載中なんだよな?続きがすごく気になる…。
スマホの画面に。
【参加者番号23】
【最終確認を行います】
と表示されていた。
陸はしばらく、その文字を見つめていた。
以前なら。
この通知だけで震えていた。
でも。
今は違った。
怖い。
もちろん怖い。
それでも。
もう、何も知らないふりはできなかった。
陸は画面を開いた。
【これまでの参加について確認します】
【参加開始日】
【受取報酬】
【参加案件数】
淡々と並んでいる。
まるで。
ただのデータみたいに。
陸はスクロールした。
最後に。
【辞退しますか?】
という文字。
陸は迷わず押した。
【はい】
送信。
しばらくして。
【承知しました】
たったそれだけ。
陸はスマホを置いた。
終わった。
……そう思った。
でも。
次の通知が来た。
【参加者番号23】
【あなたの参加は終了しました】
陸は息を吐いた。
その下に。
もう一文。
【次の参加者を登録します】
画面が切り替わった。
【新規参加者】
【参加者番号17】
陸は目を見開いた。
また。
17番。
そして。
知らない誰かに向けたような文章が表示される。
【簡単な作業で高収入】
【日払い可能】
【未経験歓迎】
陸は画面を見つめた。
自分が最初に見たものと。
ほとんど同じだった。
あの日。
自分は思った。
「ちょっとだけなら」
その一言で。
ここまで来た。
陸はスマホを握った。
17番にメッセージを送る。
【まだ見てる?】
しばらくして。
返信が来た。
【見てる】
【俺、辞めた】
【知ってる】
陸は少し笑った。
そして。
【17番って、結局なんなんだ?】
しばらく既読がつかなかった。
やがて。
返信。
【番号だよ】
陸は眉をひそめる。
【それだけ?】
【それだけ】
【じゃあ、なんで俺にあんなに教えてくれた?】
長い沈黙。
そして。
【俺も、昔17番だったから】
陸は画面を見つめた。
【今の17番も?】
【そう】
【その前も?】
【そう】
【じゃあ、17番は何人いるんだよ】
返信はなかった。
代わりに。
一枚の画像が届いた。
古い画面。
その中には。
知らない参加者たちの番号が並んでいた。
17。
23。
8。
11。
そして。
また17。
何度も。
何度も。
同じ番号が繰り返されている。
陸は画像を見ながら。
ようやく理解した。
17番は。
一人じゃない。
最初から。
一人じゃなかった。
17番になった人間が。
辞退して。
消えて。
また別の人間が17番になる。
それだけ。
でも。
その番号を受け取った人間は。
みんな同じだった。
金が欲しかった。
困っていた。
簡単な仕事だと思った。
自分だけは大丈夫だと思った。
陸は画面を見つめた。
そして。
17番から最後のメッセージが届いた。
【俺たちは、特別じゃない】
【だから怖いんだと思う】
陸はその言葉を何度も読んだ。
普通の人間が。
普通の日に。
普通にスマホを見て。
たった一つの応募をする。
それだけで。
知らない場所へ引き込まれる。
最初は金だけだった。
次は不安。
その次は恐怖。
そして最後には。
辞めることすら怖くなる。
陸はスマホを閉じた。
もう。
自分は参加者じゃない。
それでも。
忘れることはできない。
17番のことも。
消えていった人たちのことも。
自分と同じように。
「ちょっとだけなら」と思う誰かのことも。
そのとき。
陸のスマホが鳴った。
新しい通知。
知らない番号からだった。
陸は一瞬だけ迷う。
そして。
画面を見る。
【あなたは、この仕事に興味がありますか?】
その下に。
二つの選択肢。
【はい】
【いいえ】
陸は。
何も考えず。
【いいえ】
を押した。
画面が暗くなる。
そして。
最後に一つだけ。
メッセージが表示された。
【応募を確認しました】
陸の指が止まる。
「……え?」
その瞬間。
画面が消えた。
陸はしばらく。
真っ暗なスマホを見つめていた。
やがて。
小さく息を吐く。
そして。
初めて気づいた。
これは。
自分が辞めたから終わる話じゃない。
誰か一人を助けたから終わる話でもない。
今日も。
どこかで。
同じ画面を見ている人がいる。
同じ言葉を見て。
同じ金額に目を止めて。
同じように思っている。
――ちょっとだけなら。
陸は窓の外を見る。
そして。
呟いた。
「……それが、一番怖いんだ」
画面には。
もう何も表示されていない。
ただ。
一つだけ。
古い通知が残っていた。
【参加者番号17】
その数字は。
誰か一人の名前じゃない。
今日も。
誰かが17番になる。
そして。
また誰かが。
23番になる。
――物語は、終わっていない。