この世界には、『奇病』という原因不明、治療不可の病気が存在した。その奇病になったものは、神に呼ばれているとされ人柱としてその命を捧げなければならなかった。どんなに歳若くても、生まれたての赤子だとしても。これは、そんな理不尽な世界で、生まれ、病気を発症してしまった少年少女たちが世界の不条理に抗う物語である。
「あちゃー電車逃した〜…」
すぎてゆく電車の車両をみながら俺、北山光希(きたやまみつき)はつぶやいた。
「もう、光葉のせいだからな?起こしたのに起きないんだから。」
「てへっ⭐︎メンゴメンゴ!」
こいつは光葉(みつは)俺の双子の妹だ。俺と違って、顔が可愛くて明るい性格で同学年からの男子からは人気があるらしい。この間も手紙をもらって困っていた。…こんな謝らないやつのどこがいいんだか。
「絶対悪いと思ってないだろ?」
「いやぁ?そんなことないよぉ?ちゃぁーんと悪い事したなぁって心から反省しておりますよ?」
「反省しているやつは笑顔で謝らなねぇよ。」
「あれ?バレちゃった?」
「バレるに決まってんだろ。…たくどうすんだ?このままだと学校間に合うかわかんねぇぞ?」
「ん〜どうしよっか〜…え!?待って今電車遅延してるらしい!」
「まじ?なら、遅延証明書もらって…って、今からなる電車が遅延してんなら意味ねぇだろ。」
「あ、そっか。んー…まぁ、なんとかなるっしょ!駅から走ればいけるいける!」
「俺の体力も考えてくれよ?お前の馬鹿みたいに有り余ってる体力なんて持ち合わせてないんだからな。」
「そっか、光希って体力ないんだった!!」
「シンプルに腹立つこと言うな。」
「メンゴメンゴ!…あ。」
『…また、奇病発症者がでており、このままだと、人口現象に拍車がかかり、深刻な問題となっております。』
「「…」」
「また、誰か感染しちゃったのか。」
「あぁ。…感染して、なにも人柱として殺す必要なんてないと思うがな。」
「…まぁ、病気にもやるんじゃない?ほら、なんだっけ、人殺し病?殺人病?とか、悪魔病とか、死神病とか、人の命を奪っちゃう病気は危険だけど、慈悲の心をもち、人を救うようになる天使病とかいい病気もあるのにね。」
「…他の奴らも感染したら、全員人間としていられなくなり、この人間社会は崩壊する。政府はそうならないように、感染者を殺してるんだろ。」
「別に良くない?人間じゃなくなっても。」
「お前みたいな楽観的な考えの奴が上層部にいたら、よかったな。」
「えへへ」
「褒めてねぇよ。」
「あ、電車来たみたいだよ」
「遅刻の言い訳考えとかねぇと…」
「あはは…まぁ、どうにかなるっしょ」
俺たちは知らなかった。これから先自分たちが追われる身になるなんて
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ありがと!