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「まさか人間にここまで追い詰められるとはな…」
背後に無数の大きな釘を打ち込まれた巨大なムカデのような姿をしたあやかし、大百足が口から体液をこぼしながらつぶやく。
「もうすぐここにもやつらがくるか…仕方ない。奴らにいいように使われるくらいなら…」
そうつぶやくと大百足は封印の壺を飲み込んだ。
「いよいよですね。当主。あと数本使役の釘を打ち込めば四級の大百足の式が手に入りますよ。」
「あぁ、これで大きな力が手に入る。」
大百足が逃げ込んだ洞窟の中を、黒田家当主とその補佐の黒田 夏美が先頭を歩き、後ろに多くの黒田家の陰陽師が続く。
「ガァー!!!」
「なんだ?この凄まじい力は!?」
洞窟の奥から追い詰めた大百足が出てくる。しかし、身体が一回り大きくなっており、色も黒から暗赤色に変わっている。
「どういうことだ!?さっきまで瀕死だったのに!」
黒田家の陰陽師が声を上げる。
「狼狽えるな!攻撃開始!」
補佐の夏美が攻撃の号令をかける。
それから黒田家とパワーアップした大百足の激闘が始まり、大百足は黒田家を突破し、逃げ出すことに成功した。
「チッ!最後で取り逃したか。それに想像以上の被害を被った。追撃は困難だな。」
「惜しかったですね。しかし、大百足のやつあれは暴走してましたよ?取り逃してはまずいのでは?」
「たしかに、我らの釘も刺さったままだ。我らが取り逃したことも公になってしまうか…やつはどこに逃げた?」
「七瀬秀一が今いる山の方ですね。」
「借りを使ってしまうが、七瀬家に協力要請を出すしかないか…体制を立て直し次第我らも向かおう。」
「かしこまりました。」
大百足はもうほとんど意識はない。ただ飲み込んだ封印された身体が本体に戻ろうとする力だけで目的地を定め向かっている。
ーこちらに向かってきますかー
「戻って対処しましょうか?」
ーいえ、真広に対処してもらいましょう。天災は引き続き私の身体を秘密裏に集めてくださいー
「しかし、相手は四級でしょう?真広に対処できますか?」
ーたしかに相手は、四級でパワーアップもしています。しかし、もう瀕死みたいですし。これくらいは乗り越えてもらわないと困りますねー
「わかりました。」
ー真広。こちらに大物のあやかしが向かってきていますよー
「えっ?」
僕は今学校で授業を受けているときに霞から連絡がきた。
なにしにくるの?
ーさぁ?ー
えー。じゃあ、戦えるみんなを集めておいて。あと、弱いあやかしを神域に避難させて。
ーわかりましたー
大物って、どんなやつだろ。
放課後。琴巴が凄い形相でこちらにきて僕の腕を強引に引っ張っていく。
「ちょっと真広きて!!」
「えっ!?」
そして、学校の外に出て、しばらくして。
「実はね!今大変なことになってるの!協力して!」
「え?どういうこと?」
「実は今黒田家が取り逃して、大暴走している大百足っていう4級のあやかしがこちらに向かってきているの!!それで七瀬家に協力要請が来たんだけど、本家の人たちは今別件で手が空いてなくて、とりあえず私とお爺さまで黒田家と七瀬家の応援が来るまで耐えなくちゃいけないの!」
「え!?4級!?」
待って!思ってたより大物じゃん!?
ーだから大物だと言いましたよ?ー
だって天災様と同じ等級のあやかしでしょ!?
ーそうですー
勝てないよ!?
「真広!私たちと一緒に大百足を止めてくれない!?」
えっ!?流石に陰陽師として戦うには今回の敵は強すぎる!
「だめじゃ。琴巴よ。」
「お爺さま!なんでここに?」
「さすがに迎えにきたのじゃ。流石に今回の案件は危険すぎる。家門以外のものは巻き込めん。」
「でも!真広がいたらお爺さまも心強いはずです!」
「そういう問題ではないのだよ琴巴。真広君。今回はおとなしくしておいてくれないか。どんなに言われても参加はさせられない。」
「わ、わかりました。」
なぜかわからないが、お爺さんの強い怒りを感じて僕も少し萎縮してしまった。
「では、琴巴。すぐに家に帰って準備するのじゃ。」
「はい。真広ごめんね!」
「う、うん。」
まぁ、どっちにしろ僕も土地神としていくけどね。
僕はすぐに神域に向かって戦う準備を整える。
すでに沼姫に応援要請を出してすでに沼姫の陣営もこちらに向かっているとのことだった。
ー大百足はかなりの強敵です。気をつけてくださいね?ー
あぁ、わかってるよ。もしかしたら、街に来てしまうかもしれない。こちらから打って出よう。
ー闘わないで済むかもと考えるのは辞めた方がいいですよ。相手は暴走しているので、とても危険な状態です。戦うしか道はないかとー
わかった。覚悟を決めるよ。
「また戦える日が来るとは嬉しいです。しかも相手はあの大百足だとか。この戦は伝説となるでしょう。」
「あぁ、来てくれてありがとう。今回、戦いは避けられないと思う。全力で戦おう。」
「はい!シン様。」
「みんな絶対生きて帰ろう!出るぞ!」
「者ども!出陣じゃ!覚悟を決めよ!」
僕と沼姫の号令で僕たちは出陣した。