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次の日、イレブンとセーニャはいつものように学校で顔を合わせた。昨日の出来事を思い出すたびに、二人とも少し照れくさい気持ちを抱えていたが、それを表に出すことはなかった。
授業中もイレブンは時折セーニャの方をちらりと見てしまい、そのたびに心が少しだけ跳ねた。セーニャもまた、イレブンの存在をすぐ近くに感じながら、心の奥で優しい気持ちが広がっていくのを感じていた。
放課後、二人が一緒に帰る準備をしていると、ベロニカがいつもより鋭い目つきでイレブンを見つめた。「イレブン、あんた最近セーニャとやたら仲良くない?」
驚いたイレブンは少し慌てながら答えた。「え、そ、そうかな?別に普通だと思うけど…」
カミュも隣でニヤリと笑い、「まあ、仲が良いのはいいことだと思うぜ。でも何か隠してるなら、俺たちにも教えてくれよ?」と冗談めかして肩を軽く叩いた。
セーニャもその場に居合わせていたが、何も言わずにそっと微笑んでいた。その微笑みを見たイレブンは、少し緊張しつつも心の中で決心した。
「そうだ、きっとセーニャちゃんとの関係は他の人にどうこう言われるものじゃない」と。
その帰り道、セーニャと二人だけになったイレブンは、勇気を出して話しかけた。「セーニャちゃん、昨日のこと、他の誰にも言わないでおこうか?」
セーニャは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに優しく微笑んで頷いた。「はい、イレブンくん。あれは私たちだけの秘密ですものね。」
二人はまた夕焼けが映える丘の方へと歩いていった。そして、昨日と同じように夕日を眺めながら、何も言わなくても心が通じ合っているような静かな時間を共有した。
イレブンはふと、手を伸ばしてセーニャの手をそっと握った。セーニャもその手をしっかりと握り返し、柔らかい笑みを浮かべた。
「イレブンくん、これからもこうやって一緒にいられるといいですね。」
イレブンもその言葉に微笑みながら、彼女の手を離さないまま答えた。「もちろん、僕も同じ気持ちだよ、セーニャちゃん。」
二人の心に広がる温かな想いと、小さな秘密を抱えながら、その夕暮れを静かに過ごした。