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それから2~3日ごとに集まり簡単な話し合いをした。武器は元々あった物を集めたが、長い棒の先に尖った金属を巻き付けただけの簡易な槍、手製の弓矢、かなり使い込まれている斧と鉈。そんなものだ。
努も昼間はお堂で出来るだけ妖怪退治の方法を調べた。とはいえ、たいして情報が増えるわけではなかった。それは妖怪の情報が少なすぎたからだ。
河童なら頭の皿を割ったり干上がらせたりと妖怪の種類や特徴から調べたり対策を立てたり出来るが、猿っぽいらしいという情報とアオ様という名前だけではこれが有効だという方法は見つからなかった。それでも努は調べた限りのことを説明した。
「いまわかっているのは大きな猿に似ているらしいということと、人間の皮を剥ぐということだけです」
皮を剥ぐという言葉で村出身の二人は顔を青ざめた。外から来た者より妖怪への恐怖が大きいのだろう。
「妖怪退治の方法ですが直接攻撃以外では、一つは……火です。浄火という言葉もありますから。もう一つは毒殺。八岐大蛇や酒呑童子の酒や、化け物退治のお話では毒殺は結構多いようです」
スマホの電波が入らなくなる前に調べた情報を思い出しながら説明した。
「あとは女に化けて油断させて退治するなんてのもあったと思います。桃太郎みたいに犬とか動物の援軍という話もありましたが……」
「長岡、お前はどう思う?」
「どうって言われましても……」
梶に訊かれて言葉につまる。妖怪退治の方法なんてわからないし、何となく本当に正体は人間なんじゃないかと思ってきたからだ。
「まだ時間はある。妖怪を退治するにはどうすればいいか。あるいはこの村を出る方法でもいい、考えろ」
「は、はい」
梶の宿題は重く大きかった。
さらに数日後、いよいよ妖怪討伐を翌日に迎えた最後の集会。次の満月まではあと一週間だ。
梶はいつも集会しているトンネルがあった広場にいく前にミニバンに寄った。ミニバンの後部座席、その床の敷物をめくるとはみ出た紐を引っ張った。そこはちょっとした空間になっていて車用のバッテリーケーブルや工具が入っていた。
工具類を取り出すとその空間に手を入れて横の奥まで手を伸ばす。ギリギリ手が届くところにある取っ手を引っ張ると辞書が一冊入る程度の小さな隠し棚が出てきた。梶はそこに入っていた紙袋を取り出す。紙袋の中身は……拳銃だった。
普段は当然持ち歩かないが今回はちぃこを脅すために一応持ってきていた。素人には一番効果がある脅し道具だからだ。
最大16発まで装填出来る自動拳銃だが脅し目的で持ってきただけなので弾は6発しか入っていない。梶はマガジンを抜くと銃弾を一発取り出して上着のポケットに入れた。マガジンに残っている弾は5発。そのマガジンを元に戻すと拳銃を懐にしまった。
梶が広場に着くと他のメンバーは全員そろっていた。まずは努が妖怪への攻撃方法について説明した。
「武器での攻撃と炎か」
梶は眉間に皺を寄せてそう言った。結局、方法はその二つに決まった。武器は元々ある槍などを用意した。
火はお手製の火炎瓶もどきを用意した。事前に粘土質の土で小さな壺を作りそれを乾燥させた入れ物を作っており、その中にガソリンと質の悪い村の植物油を混ぜた液体を入れて蓋をしただけの物だ。
当てただけでは燃えないので火矢か松明を投げるかして燃やさないといけない。ガソリンだけだと威力が強すぎてこちらにまで被害が出るかもしれないからと植物油を混ぜた。
その作り方はほとんど梶に指示されて作ったがとても威力があるとは思えない。不安を訴えたが正体が人間だったらこれで十分だと梶に言われた。梶はまだ妖怪の存在を疑っているようで努も半分それを信じていた。
どのみち本当に妖怪がいればそのまま戦うだけだし、勝てないようなら逃げるだけだ。
「作戦は妖怪を見つけ次第攻撃する。沢村、木村、お前らが最初に突っ込め」
「うっす」
#怪異
イキリ火の玉
1,443
二人は元気よくうなずく。元々は肉体派のチンピラだ。暴れることならお手の物だ。
「武器での攻撃と火炎瓶をぶつけてそれに火をつける。それで倒せればいいし無理ならすぐに撤退だ」
「正体は絶対村の奴らっすよ」
沢村は嬉しそうに拳をポキポキ鳴らす。島のことがあったのでそう自分に言い聞かせて恐怖を誤魔化しているのだ。
「明日、村の中央、拷問屋敷の前に集合だ」
梶の号令で最後の作戦会議は終わった。
コメント
1件
いよいよ決行が迫ってきましたね。準備段階の重苦しい空気が伝わってきて、特に「皮を剥ぐ」という言葉で村出身の二人が青ざめるシーンが印象的でした。それと同時に、梶が拳銃を隠し持っていた伏線の回収には「あっ」と声が出ました。人間か妖怪か、決着がどうつくのか気になって仕方ないです。続きを楽しみにしています!