テラーノベル
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正午になると梶と努、沢村と木村、そして四人の村人が手にそれぞれ武器を持って集まってきた。他の村人は何ごとかと見ている。
「お前らはここで少し待っていろ。長岡、村長のところに行くぞ」
努は梶と一緒に奥原に家に向かう。
「どうしてわざわざ言いに行くのですか?」
妖怪の正体が人間なら夜中にこっそりと森に入ったほうがいいんじゃないかと思っていた。
「裏切り者がいてすでに知っているかもしれないからな。それに事前に合意させておいたほうが何かと便利だ」
梶の説明はそれだけだった。確かにスパイがいると昼でも夜でも待ち構えられているだろう。
奥原は家の近くの畑で取り巻きの一人と何かを話していた。
「村長、ちょっといいか?」
「なんじゃ?」
奥原は不審そうな顔をする。取り巻きから武器を持ったメンバーのことを聞いたのかもしれない。
「今日、これから妖怪退治にいく」
「……はあ?」
「言葉通りだ」
「なにを馬鹿なことを言っておる。アオ様に刃向かうなど、どんな恐ろしいことがおこるかわからんじゃろ?」
「いままで無抵抗に生け贄を受け入れたわけじゃないんだろ? 昔は何度も妖怪退治に向かったはずだ。それでも村が残っているということは抵抗すると皆殺しというわけじゃないだろ」
「それは……」
梶の強気の発言はやはり妖怪の正体が人間だと思っているのだろう。
「正直、妖怪なんていないと俺は思っている。大きな獣か人間だろうとな」
そう言って梶は懐から何かを取り出した。
「あっ、それって……」
努は驚きの声をあげた。それは拳銃だった。やはり持っていたのだ。奥原も言葉を失っている。
なるほどと思った。もし妖怪の正体が人間、それも奥原の手下だったとしたら拳銃を持つ相手においそれと襲ってこられないハズで、奥原に言いに来たのは牽制の意味もあったのだ。
「……好きにせい!」
奥原は吐き捨てるように言った。
「さすがですね、梶さん」
広場に戻る途中で努は尊敬顔で言った。
「ん? これか」
梶は再び胸から拳銃を取り出した。
「それって本物なんですか?」
「当たり前だろ。まあ普通は持たねーんだがな」
ふと自分が撃たれていたかもしれなかったんだと思い出して陰鬱な気分になった。
「待たせたな。沢村、準備は?」
「バッチリですよ。いやー、この数週間待っているだけでしたからね。やっぱこっちから行かなきゃと思ってたんすよ」
島が殺されて一番怯えていた沢村だが正体は人間かもしれないと梶に言われてからは俄然やる気を出している。木村も四人の村人も準備は出来ているようだ。
「梶さん、あんたにこの命を預ける」
村人に梶は無言でうなずいた。すっかり心を掌握しているようだ。
討伐隊はトンネルがあった広場と反対側、村一番の大通りの突き当たりに向かった。島がここから入って妖怪に遭遇したらだ。
「よし、行くぞ」
梶の掛け声で中に進んでいく。森の入り口付近は人の足が入っていたが、少し進んだだけで雑草が茂っていた。
都会育ちの努は神社とか公園、あとは整備されたキャンプ場程度しか自然を知らない。一番後ろを歩いているだけまだマシだが見慣れぬ草や虫に足が重かった。
先頭は十年前に村に迷い込んだ二人。元々森林作業員だったので森に慣れていたこともあり、村出身の二人よりも妖怪に対する畏怖の念が少ないからだ。
次に沢村と木村。森は慣れないので二番手にいるが戦う気力は一番ある。その後を村生まれの二人、最後に梶と努が続いた。
ほとんど会話することもなく鉈で雑草を切りながら進む。
真昼というのに森の中は薄暗く、どこから何が出てくるかわからなくてちょっとした物音で努はビクリと体を震わせた。
#怪異
イキリ火の玉
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コメント
1件
読み終えたわ。第33話「森へ」、ついに討伐隊が出発したね。梶が拳銃持ってて笑ったわ「普通は持たねー」って言いながら隠してるの渋すぎる。奥原村長が「好きにせい!」って吐き捨てたのは何か裏がありそうで気になる。森の中の薄暗い描写が臨場感あって、努がビクついてるのもわかる気がする。続きが待ち遠しい🔥