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コメント
14件
続きが気になるっ。。!
ありがとうございます( ノ;_ _)ノ 日帝日って結構少ないんですよね、、でもこれ見れて幸せすぎます!もうほんと好きです
やっぱりクロネコちゃんの日本家かわいいな〜🫶 そのままでいてね、クロネコちゃん……
今回は、innさんからリクエストを頂いた日帝日でございます!
シチュは、日本が門限を守れなくて“おしおき”をされる ですね〜
リクエストありがとうございます!
えー恐らく意味深な方のおしおきですよね…?
できるだけそっち方面に書いたつもりですが、完全に行為は書いてません。というか書けませんでした…
すみません…
やっぱ書けるように勉強しないとですよね…
なので、全年齢対象とはいかないかもですが、🔞ではないです!
健全しか受け付けない方はお気をつけて…
鍵がカチリと鳴った瞬間、空気が冷たくなった気がした。
いつもの玄関。いつもの照明。なのに、空気が澱んでいる。
玄関の薄暗い灯りが、いつもより鋭く壁の格子戸に影を落としていた。
その影は、まるで何かに押しつぶされそうな重さを帯びて、不穏な緊張感を放っている。
左手の紙片を握りながら、小さく呟いた。
「……ただいま、戻りました…。」
返事はなかった。
靴を脱ぎながら、ゆっくりと顔を上げる。
息を詰めて歩くほどに、廊下の先が遠くなっていく気がした。
まるで、終わりの見えないトンネルのように。
少し開いているリビングの扉。
その向こうに、ひたと見据えるような視線を感じた。
気のせいであってほしかった。
でも、そうじゃなかった。
廊下を歩く足音がやけに響く。
ドアの前で一度深呼吸をして、ゆっくりと手をかけた。
ギィ……という小さな音。
中にいたのは、やっぱり陸兄さんだった。
ソファに座ったまま、動かず、ただ静かにこちらを見ている。
感情の読めない目。無表情。
けれど、静けさの底に、黒く渦巻くものが見えた気がした。
「……遅かったな」
「はい……申し訳ありません」
声が自然と細くなる。
視線を合わせるのが怖かった。
「……帰りが遅れるなら、一言くらい入れろ」
「はい……でも、スマホの充電が切れてしまって……。」
「…何をしていたんだ。どうしてこんなにも遅くなった。」
「…友人に少し、悩み事を聞いて欲しいと言われて……その、断れなくて……」
言い訳なんてしたくなかった。
でも、説明しなければいけない気がした。
その説明がどこまで届いているのかは、陸兄さんの顔からは読み取れない。
彼はただ、黙って私を見つめていた。
「……友人…か」
「…はい、、会社の同僚で…。」
「……まぁいい」
「約束を破ったんだ。
“おしおき”が必要だな」
「…ぇッ…」
「当たり前だろう。信頼の欠ける輩とこんな時間までいたんだ。」
「日本の身に何かあっては遅い。 そうなる前に…」
「体に教え込まないとな…?」
ゆっくりと近づく彼。
逃げたい訳じゃないのに、いつの間にか背中と背後の壁が当たっていた。
「動くな」
掠れたような声と共に、陸の指先が私のあご先にそっと触れる。
割れ物を扱うかのような優しい手つき。
それは、目を逸らさないようにするためだけの優しい拘束だった。
「………心配したんだぞ…。」
微かに震えた声。
怒りと哀しみの狭間で揺れるような、深い色が瞳に差していた。
少しずつ、そっと近づく距離。
気づけば、ほんの数センチになっていた。
吐息が混じるほどの近さ。
触れるか触れないかの距離で、兄さんの唇が、私の耳元に息をかけるように告げた。
「……今夜は、覚えておけ」
その囁きに、自身の肩が小さく揺れる。
頬をふわりと赤く染めながら、思わず彼を見上げた。
「そ、それは…その、どういう……意味でしょうか……?」
彼は答えない。
ただじっと、無言のまま私を見つめている。
長い沈黙が、私の心臓の音をうるさいくらいに響かせた。
「…怖いのか?」
低く笑うような声。
首筋に息がかかる。
くすぐったさに混じった甘さを孕む痺れが、体に押し寄せる。
「……どうやら、的外れな質問だったようだな」
「そんな顔をしたら、まるで期待しているみたいだぞ?」
陸兄さんの指が、顎先を撫でるように辿りながら、頬を伝い、
首筋へと、熱を残すように滑っていく。
冷たくも熱を帯びたその指先に、触れられているだけなのに、息が荒くなる。
「……っ、陸、にぃさん……」
自分でも聞いたことのない甘い声が漏れる。
恥じらいを押し殺すかのように、手を強く握った瞬間ーー
『グシャ』
「…!」
「…ぁっ、これ…」
思い出したかのように、慌てて左手を開けると
そこには折り目の跡がついた小さな紙片があった。
「これはなんだ。」
陸兄さんは、私の手のひらにのっている数字の羅列が書かれたそれをじっと見つめていた。
「…ぇと……電話番号、です」
「相談を受けていた同僚から…貰いました…。」
「その…『また会いたい』と。」
視線が絡んだ瞬間、鮮やかな深紅に墨を垂らしたかのような瞳に息を呑む。
私に向けられる熱に隠れた黒い感情。
それに名前をつけるならば、間違いなく怒りそのものだった。
「こッ、断りましたよ…!会社でもあんまり話さないから…」
「でも、無理やり渡されて……捨てる訳にもいかず…」
「そうか、分かった。もういい。」
そう言った陸兄さんの声は、感情を押し殺していて、どこか凍てつくようだった。
鋭く不穏な声に背筋がじわじわと冷えていく。
「……日本の歩調に合わせようと思っていたが…」
「……悠長な態度でいると、ぺろりと喰われてしまいそうだな。」
一拍置いて、静かにそう付け加えられた言葉に、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
どす黒い瞳孔が細まり、ぎらりと光る。
その支配欲に燃える瞳はは、まるで獲物を見た獣のようだ。
本能的な恐れに包まれた次の瞬間――
『ビリッ』
いつの間にか紙片が奪われ、破かれていた。
「っ!」
「……これで“また会う”こともないだろう」
ぱさり、と床に落とされた細かな紙屑を見つめたまま、言葉が出てこなかった。
「お前は“俺の”弟だ。」
「誰にも渡さない。」
その言葉は、あくまで冷静な響きの中にあった。
けれど、そこに込められた執着と独占欲は、息を呑むほど濃く、熱を孕んでいる。
次の瞬間、肩を掴まれた。
「――逃げるな」
「っ……!」
壁に押しつけられた背中。近すぎる距離。
彼の瞳が、まるで全てを見透かすように、じっと私の中を覗いてくる。
指先がゆっくりと、しかし確実に頬から耳元を撫で、耳殻に熱を残す。
「……罰は、まだ終わっていないだろう?」
じり、と迫る熱。
怖いはずなのに、心のどこかで抗えないものが芽吹いていく。
「今夜は、寝れると思うなよ。」
言葉の意味を理解する前に、腰が引けそうになるのを必死に堪えた。
でも、どこにも逃げ道はない。
彼の瞳に映る感情の渦。
怒り、嫉妬、焦り、そして――
私への、どうしようもない想い。
指先が私の唇にそっと触れる。
乾いた喉が、小さく鳴った。
彼はもう、私の兄としての線を越えようとしていた。
でもその視線の奥に見えるのは、罰なんかじゃ抑えようのない感情だった。
「――最初から、離す気は更々ないからな」
耳元で囁かれた瞬間、まるで契約のように心が縛られる。
この人は、私のすべてを奪う気だ。
理性も、兄と弟という立場さえも――。
それでも、胸の奥が熱く疼いている。
ふたりの間にある“境界線”は、もう、とっくに踏み越えられていた。
それでも私は、抗うことができない。
嗤うような瞳に見下ろされながら、私は気づいた。
――もう、とっくに逃げ場なんてないんだ。