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舜太が髪を乾かし終えてリビングに戻ると、自然と空気がまた緩んだ。
テレビの音量が少し上がって、冷蔵庫の開く音がする。
太「ほな次、俺いこっかなー」
柔「どーぞー」
勇「10分もしないで出てきそう」
仁『な。』
太「そこまで読まれてるん俺」
太智はタオルを肩にかけて風呂場へ向かう。
ドアが閉まると、さっきより少し強めのシャワー音が聞こえた。
勇「仁人、今日も逃げられないわな笑」
仁『誰かさんのせいでね。初めから諦めてますよ』
勇「その割に毎回文句言うんだからぁ」
仁『言わないとやってらんねぇよ』
そう言いながら、仁人はまたドライヤーを手元に引き寄せる。
コードをまとめ直して、床に座る位置も同じ。
しばらくして風呂場のドアが開く。
太「はぁ〜さっぱり!」
柔「ウケる笑笑」
舜「ほんと太ちゃんって風呂上がりの牛乳が似合いそうやな笑」
髪をタオルで強めに拭きながら、太智が出てくる。
水滴が床に落ちるのも気にせず、そのまま仁人の前まで来る。
太「ほな、お願いしますー」
仁『近い濡れる。』
太「もう座るやん」
言われる前から、太智は床にどすっと座る。
仁人は一瞬ため息をついてから、タオルを受け取った。
仁『てか、拭く時力入れすぎ。将来髪無くなるよ?』
太「えぇ?でもこうせんと乾かんやろ」
仁『はいはい、いいから貸して』
タオルを外して、ドライヤーを入れる。
温風が当たった瞬間、太智が少し肩をすくめる。
太「あっつ」
仁『動くなって』
太「はいはい」
口では返事をするけど、太智はわざと少しだけ動く。
仁人の手が追いかけるみたいに位置を直す。
太「なあ仁人」
仁『なに』
太「ほんま思うねんけど、断らんよな」
仁『まぁ、断る理由ないし』
太「あるやろ。めんどいとか」
仁『…めんどい。』
太「今めんどい言うたやん笑」
仁『てか、どうせ断っても無理強いするだろ』
太智が小さく笑う。
仁人の手つきは相変わらず丁寧で、耳の後ろや襟足を雑にしない。
太「優しいよな、そういうとこ」
仁『だからそういうのやめて』
太「嫌がってる顔ちゃうやん!笑もぉー仁ちゃん♡」
仁『うざ、笑顔で判断すんな』
太智はそれ以上言わずに、目を閉じる。
ドライヤーの音だけが続く。
リビングの向こうで誰かがクッションを動かす気配がしたけど、二人の間には入り込んでこない。
太「今日さ、ちょっと疲れてん」
仁『珍し』
太「珍しくないわ」
仁『太智はいつも元気でしょ』
太「それ表に出してるだけや」
少しだけ声のトーンが落ちる。
仁人は何も言わず、風の当て方を弱めた。
太「…ほんま、仁人ってよおみてるよな、」
仁『何が』
太「分からんけど」
それ以上の説明はなくて、仁人も聞かない。
代わりに、最後まで丁寧に乾かす。
仁『はい、終わり』
太「おー、早い」
仁『まぁ、動かないでいてくれたんで』
太「それは仁人がうまいからやろ」
仁『はいはい』
太「んー!やっぱええ匂い!」
太智が立ち上がって、軽く髪を触る。
太「次、柔太朗?」
柔「うん」
勇「仁人、言うのもなんだけど、休憩入れる?笑」
仁『笑もういいよ、どうせすぐ呼ばれるし』