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台湾旅行の前夜、卓也の家に泊まったのだった。 卓也はリビングでスーツケースを広げて荷造りをしていたのだ。
「近場だからスーツケースじゃなくてリュックにしたら?」と俺が言ったら「だって現地で色々と着たい服がいっぱいあるんだもーん」と卓也は言い、ハムスターみたいに色々と詰めていた。
「何笑ってるの?」
「だってスーツケースに必死に荷物を詰め込んでいる姿がまるでハムスターみたいなんだもん」と俺は笑いながら言った。
「それはいくら何でも酷すぎだろー」と卓也は口を膨らませて俺の事をくすぐってきて、俺たちはじゃれついた。
こんな些細な日常も愛おしく感じ、幸せに浸るのであった。
そうしている内に時刻は夜の10時58分になっていた。
卓也は大慌てで、荷造りを終えてスーツケースを閉じて、玄関の入り口付近に置いたのだ。
「やっと荷造りも終えたし、そろそろアレの時間にするか」と俺の顎を持ち上げてキスをしてきた。
「今日はダメだよ、明日早いし」
「大丈夫でしょ」と話しも聞かないまま卓也は俺の服を乱し、キスして襲ってきて…そのままセックスをすることに…。
終えた後、シャワーを浴びて、一緒にベッドに入り、俺たちはお互い向かい合わせの大勢で抱き合って横になった。
卓也の匂いは相変わらずボディスプレーと卓也の体臭が混ざった、優しい香りがする。
俺は卓也の脇あたりに顔を埋めて眠りについた。
アラームが鳴り俺は目が覚め、スマホの時計は朝の4時だった。
外はまだで真っ暗で部屋は暗闇に包まれていた。
卓也の部屋は無機質でシンプルなインテリアばかりだ。
都会的なインテリアばかりで、グレーと白で統一されているせいか、暗闇だとすべて真っ黒に見える。
「卓也、起きて、起きてって!」と体を揺すった。
卓也は寝ぼけた状態で「もう朝…」と怠そうに言い、枕に顔を埋めた。
「起きなって!」と強めな口調で布団をかきあげた。
「寒い…」と卓也はブルブル震えていた。
「準備しないとバスに乗り遅れるよ!」と急かすように言う。
「まだ大丈夫だよ…」と言い、卓也はなんとか起きて、朝の身支度を行い、重いスーツケースを引っ張り駆け足で千歳烏山駅に付き、新宿行きの電車に乗った。
バスタ新宿に着いた頃には、卓也はもうヘトヘトで冬なのに汗をかいていた。
「意外と体力ないんだね」と俺はクスっとしながら笑い、卓也に言った
「三十路に入ると体力は日に日に減少するもんだぞ」と卓也は膝に手を置き中腰の体制で息をゼェゼェさせながら言う。
俺たちは羽田空港行きのリムジンバスを待ちながら、他愛のない話しをしながら待った。
リムジンバスが来て俺たちは乗車し、羽田空港に向かう。
朝が早かったのか、卓也は横で爆睡をしていたのだ。
相変わらず、寝顔があどけない感じで、こんがり焼けた日焼け肌がより、少年みたいで可愛いかった。
バスは空港に到着し、アナウンスがながれた。
卓也は目を覚まし、「おっしゃ、行くかー」と、一息吸い、低い男らしい声で、席を立ち上がる。
バスを降りて、冬空は透き通るように青く、太陽の暖かさが頬に伝わるほど、心地よい気候だ。
俺たちは羽田空港第二ターミナルに進む。
「飛行機はタイガーエア台湾であってるよな?」と卓也が聞いた。
「うん!合ってる」と言い、卓也は電光掲示板で確認しながらスマホで色々と調べている。
電光掲示板には台北(桃園)と表記さるてる。
俺たちチェックインしゲートに入場し、出発ロビーのベンチに腰をかけ、搭乗まで待つ事した。
「サンドウィッチ食べる?」と卓也が言う。
「うん、ありがとう」
サンドウィッチを卓也の手からとった。
中身はたまごサンドだった。
早朝の空港ロビーは何故か新鮮な感じで、ワクワク感に、ガラス張り越しから見る飛行機は見飽きないほどだ。
「台北着いらまず何しようかー」と卓也がスマホ見ながら聞いた。
俺は「とりあえずご飯食べたいかな」と言う。
「それからー?」
「士林観光夜市行きたい」
「それ夜にしか行けないじゃん」と卓也は笑う。
卓也もそうだか、俺も海外旅行行っても計画を立てず、基本は弾丸ツアーで、現地で酒を飲んでばかりだ。
「そろそろ、搭乗時間だし向かうか」と卓也は席を立ち上がる。
俺たちは搭乗ゲートを潜り、機内に入り、自分達の座席を探した。
「やった窓際だ」と卓也は子供みたいに喜び、座る。
「窓際で良かったじゃん、俺はトイレ近いから通路側で良かった」と俺は嫌味のように言った。
座席は二例で、俺たちは並ぶよりに座りった。
機内はアナウンスが流れ、キャビンアテンダントが通路で色々と説明していた。
飛行機は動きだし、加速して離陸した。
俺は、離陸する時の感覚が苦手で、いつも体が全体的に硬くなるような感じになる。
「大丈夫か?」と卓也は横で言う。
「うん」
卓也はニヤニヤしながら「大丈夫だよ、墜落したりしないから」と手を握ってきた。
違う、墜落の心配じゃなく離陸する時の内臓が浮かぶ感じが苦手なだけだ、とは言わず、めんどくさいからスルーした。
「台湾って3時間ほどで着くんだな」とスマホで調べながら言った。
「石垣島の近くだもんね」と俺は小声で淡々と言い、口にペットボトルのミネラルウォーターを含んだ。
卓也は外をながむ黄昏れているようだった。
「そういえば、二人で旅行に行くのって初めてだったな」と卓也が呟くように言う。
「そうだね、前から一緒に旅行に行こう?って卓也から誘うのにねー?」と俺はクスっと笑いながら卓也を揶揄った。
「俺が酷い奴みたいじゃん」と卓也はニヤニヤしながら俺の腰を指でつつく。
「そうじゃないの?」っと俺はまた卓也を揶揄うように言った。
「俺はこんなの優しいのになぁー」と卓也は口を子供みたいに唇を噛み、窓を見た。
そんなくだらないやり取りをしている内に俺は眠気が出て、しばらく仮眠する事にした。
着陸のアナウンスが流れた頃か、俺は目を覚ました。
卓也はすでに起きていて、横でスマホをいじっていた。
桃園空港に着いたのはちょうど9時ごろだった。
ずっと座ってた所為なのか、フラフラしながら歩き機内を出た。
空港内は沢山の人々が歩いており、その国特有の独特な香りがしたのだった。
「ボーっとしてると迷子になるぞ」と卓也は保護者のように、俺の腕を引っ張り、自分のところに引いた。
子供扱いされたと思い、俺はムッとしたが、外国の雰囲気、空港の見たことないようなお店を色々見て、それどころじゃなくなった。
「とりあえず台北駅向かうか」と卓也はいいスマホで調べてくれた。
「MRTで行けるんだね」と俺が言うと、「面倒だからタクシー使わない?」と卓也が言う。
「タクシーなんて、料金がもったいないよ、それにボったくられたらどうするの?」と言う。
「大丈夫だろー」とカラカラ笑うように言った。
その自信は何処ら込み上げてくるのか…少し俺はため息を吐くように呆れた。
卓也は基本何でもタクシーを使うのだ。
新宿でも少し歩けばいい距離をタクシーを使う。
結局、卓也の言い通りタクシーを使い、台北駅に向かう事にした。
空港のタクシー乗り場に停まっている黄色のタクシーに乗車した。
運転主はこちらにけっこう話しかけてきたが、まったく言語がわからない俺たちは頷く事しか出来なかった。
「めっちゃ話しかけてくるじゃん」と卓也は馬鹿にした表情で、鼻で笑いながら呟く。
「うん」としか俺は返さなかった。
タクシーは台北駅まで走り続け、俺は車内から見える、街並みを眺めた。
街は意外にも現代的で東京よりも高層ビルが多いように思えた。
「夜になると街全体がネオンの光に包まれて、綺麗なんだって」と卓也が呟く。
「そうなんだ、なら夜は色々と散策しないとだね」
「とりあえず台北駅着いたら、周辺で飯にでもしようぜ」と卓也は運転主の席の所に置かれている料金表を見ながら言った。
「せっかくなら、魯肉飯とか食べたいなぁ」と俺は言う。
「オッケー」と卓也は言い、スマホで色々調べた。
台北駅に着き、タクシー料金を払い、さっそく散策する事にした。
意外にも日系の飲食店や、世界どこにでもあるようなチェーンの飲食店が多いと思った。
街はどこもかしこも、漢字の看板が多く、道路には沢山の原付バイクが走ってた。
都会的だか、新大久保みたいにごちゃごちゃしてる雰囲気ですごく気に入った。
「あそこにする?」と卓也が指を指した。
「そうだね!なんかローカル感ある感じで、良いね」と俺は子供みたいにウキウキしながら言い、俺たちは店内入り、円卓の席に座った。
店内には香辛料に匂いがただよい、独特な香りが漂っていた。
俺たちは昼間から紹興酒を頼み、二人で呑んで色々と語り合った。
「二人で異国にいるのってなんか不思議な感じだな」と卓也は卓上のラー油を見つめながら、紹興酒をゆっくり飲みながら言う。
「そうだね、なんか変な感じがするよ」
「まぁ、俺は一樹と一緒に旅行にこれて嬉しいけど」と卓也は言い、ふたたび紹興酒を飲んだ。
「俺もだよ…」と俺は言い、目の前の道路街を見ながら言った。
「珍しく、素直じゃん」
「そう、いつもと変わらないよ」と俺は言い、卓也の顔を見た。
「まぁ、そういう所可愛いから、嫌いじゃないよ」と言い、卓也は目の前の炒め物料理に箸をつけた。
「そう言ってくれてありがとう」と俺は紹興酒のグラスを回しながら笑った。
「今日のお前はどこかおかしいな」と卓也はニヤニヤしながら言い、どこか照れてる様子だった。
海外旅行の魔法なのか、俺はものすごく子供のような気分になり、自分でも驚くほど素直に
なってた。
しばらくして俺たちは台北市内をさまざまな観光名所を散策し歩き、夜には士林観光夜市に向かった。
夜市はカラフルなネオンの光に包まれ、屋台の暖色の裸電球が沢山ぶら下がり、異国情緒ある雰囲気を出していた。
俺たちは屋台で色々な台湾料理を頼み二で台湾ビールを瓶で注文し、ほろ酔い状態になっていた。
「台湾ってゲイの楽園らしいよ」と唐突言う。
「そうなの?」と言い、ビールを飲みながら蒸篭の小籠包をレンゲに乗せ齧った。
「タイと同じくらいゲイに寛大な国なんだよ」
「ふーん」と俺は辺りを見回した。
確かに夜市でも男同士で手を繋いで歩く人を数人歩いている。
「確かに、日本だと変な目で見られるもんね」
この後、西門にあるゲイタウンとか行ってみる?と卓也言う。
「せっかくだから行くか」と言い、俺たちはビールを瓶ごと一気に飲みした。
卓也は俺の手を急に繋いだ。
「行こうか」
「うん」
卓也にリードされながら二人で手を繋ぎ西台に向かう。
卓也はタクシーを拾い、俺たちはまるでカップルのように手を繋ぎ、タクシーに乗った。
西門は士林夜市よりも賑やかで、タクシー降りてすぐ沢山のゲイらしき人が沢山歩いていた。
街は赤い提灯みたいなランプがストリートをズラーっと遠くまで繋がっていて、周りはクラブみたいな音楽が鳴り響いていた。
俺たちはストリートを歩き、とりあえず入りやすそうな屋台風のバーに入った。
受付にいた上裸でマッチョの顔の濃い男性も恐らくゲイだろう。
卓也はビールを頼み、俺はジントニックを注文した。
「あの人めちゃくちゃカッコいいね」と俺が呟くと、「ふーん、一樹はマッチョ好きだからね」と変な目で見て、卓也はニヤニヤしてる。
「カッコいいには変わらないもん」と俺はその人を見ながらジントニックを飲んだ。
卓也は「あっちばかり見ないで、ちゃんと飲めよ」と卓也はプンとした。
「焼いた?」と俺が揶揄いながら笑った。
「俺がお前如きに焼くわけねーだろ?」と言い、ビールを飲んだが、珍しく卓也が拗ねてるように感じた。
俺は卓也の真似をし、「ふーん」とニヤニヤしながら卓也を見た。
「これ飲んだら次行くぞ」と卓也は言い、俺が飲み終わるのを急かした。
その後も色々なバーを周り、俺は沢山のマッチョなイケメン達を堪能した。
その中の一人が声をかけてくれて、一緒に記念撮影し、俺は浮かれていたのだ。
「そろそろ帰るぞ」と卓也が言い、俺の手を引っ張った。
「痛い!ちょっと離して!!」と、俺は強めの口調で言った。
「俺の前で他の男に浮かれるな」と卓也は言う。
珍しい事もあるもんだ、普段から卓也は俺の前で別のセフレの話しとかするのに…。
「どうしたの?」
「なんでもー」と卓也はプンとし、タクシーを呼んだ。
俺たちはタクシーに乗り、今日のホテルに向かった。
卓也はタクシーの中でだんまりとし、スマホをいじっている。
「どうしたの?」と俺が聞いても卓也は俺の顔をじっと見つめた後、フンっとした感じに、窓の景色を見つめた。
ホテルにつき、鍵をもらい、俺たちは部屋に入った。
「ごめん」と俺は謝った。
卓也は俺にハグをしながら、一呼吸つき、「俺の事なんてどうでもいいのかと思って寂しかったなー」と卓也は冗談混じりで言う。
「ごめんって」と俺は再び謝り卓也の肩に手をかけた。
普段、俺が焼き持ちを焼く側なのに今日は珍しく卓也が感情的になって、驚いたのもあったが、少し嬉しかった。
「今日はお仕置きをしないとな」と卓也は言い、俺の唇にいきなり激しくキスをしてベッドに倒した。
「ちょっと!何するの?」と俺は言うが、卓也は、ただニヤニヤしながら俺を攻めた。
この日の卓也は本当にお仕置きかってぐらい激しく、かなりのドSになっていて、恥ずかしい体位まで犯されまくった。
俺はただ卓也の激しいセックスに耐えながらも、ひたすら喘ぎ、頭が真っ白になるぐらい…。
俺たちはシャワーを浴びて、二人でベッドに入りタバコを吸った。
「一樹とのセックスはやっぱり最高だった…」と卓也は天井を見つめながら呟く。
「毎回同じ事を言ってるじゃん」と俺は言い、冷蔵庫に向かい、ミネラルウォーターをグラスに注いだ。
「卓也も飲む?」
「ありがとう」と言い卓也は喉仏を揺らしながら水を飲んだ。
「見て、今日も月が綺麗だよ」と俺は言い、窓辺に立った。
「本当だな」と卓也は俺の肩に腕を組み、二人で眺めた。
この夜は果てしなく長く感じ、こんな風に異国の地で二人で月を眺め、街のネオンのあかりですら特別な、かけがえのないものに感じた。