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部活の先輩の妄想

12 - 第12話・あの夏が飽和するパロ

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2024年07月31日

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あの夏が飽和するパロ

「」k先輩

『』m先輩


『昨日人を殺した』

君はいきなりそう言った。

とある夏の日だった。部活帰り。いつも通りはしゃいで帰っていた時だった。

周りに誰もいなく、mはただただ悲しげな表情をしていた。

『、、。殺したのは隣の席に座っていじめてきた女の子だった。もう全て嫌になって、階段から突き放してしまった。打ちどころが悪くてさー、女の子は死体へと変化した』

だんだん君は涙を流した。惨めなくらいに泣いて言葉を続けた。

『俺はもうここに居れない。あいつらと肩を並べるにはもう手遅れすぎる。だから誰も居ないような山で死ぬ。死んでくる』

そんなことを言う君に僕は言った。

「それだったら僕も連れてって」




ナイフも財布もゲームなどを乱雑にカバンに入れて、真夜中に家を抜け出した。そしてmと二人で人殺しの君と臆病者な僕の旅が始まった。

狭い狭いあの世界から。学校から僕らは抜け出した。

似たもの同士しか集まらないような、あの小さな学校から。家庭から。

アルバムだったり集めていたハガキも全部全部今となったらいらないな。だったら壊していこう。いらないものなんて壊してしまえばいい。

何もかも捨てて君と二人で。

遠い遠い誰もいない山の奥で死のう。

もうこの世界に価値などないよ。人殺しなんてそこらじゅうにいるじゃないか。

だから、君は何も悪くないよ。僕らはなんも悪くないんだ。

僕らに共通点ってあるのかなって考えた時。愛されてないこと。だと思った。

そこには心の底からって言葉が必要だ。

mだって僕だって、表面だけの愛情しかもらったことがない。

そんな嫌な共通点から僕らは仲良くなっていったのかもしれない。信じ合っていたのかもしれない。

君が手を握ってくれた時、震えていなかった。なんの迷いもなかった。

誰にも縛られないで二人、車道の真ん中を走った。

金を盗んで、二人で逃げて、どこだっていける気すらしたんだ。

今更何が怖いとかなかったんだと思う。額の汗も投げ捨ててしまったメガネもどうだっていい。

あぶれ者の小さな逃避行の旅だ。

一緒に笑い合っていた、部活の仲間たちやクラスの友達。

あいつらは漫画に書いたような”主人公”にとても似ていた。

あいつらならこんな僕らも見捨てないでいてくれるかな。なんて願望はあった。でも捨ててしまった。

そんなこと絶対にあるはずがないから。

結局はみんな自分は悪くないって思ってるんだよ。

山の中。

警察に追い詰められて限界を迎えそうな僕ら。どうしようと悩んでいると。

『くるな!!』

mがナイフを持って、僕の首に当てた。

mは力が強いしガタイもよい。小さな僕なんて簡単に殺せるだろう。

『少しでも動いてみろ!こいつに首を掻っ切ってやる!』

警察も流石に動揺して、動きを止めた。

「もうやめよう。お金だって限界だった。早く僕の首を切ってくれ。一緒に死のうじゃないか」

mにしか聞こえないような声で僕は言った。

『kがいてくれたからここまで楽しく旅ができた。ありがとう。だから死ぬのは俺だけでいい』

そう言って、mは僕を突き放した。

「m!!一緒に死のうってば!」

『kは生きて生きてそして、死んで』

そう言って君は首を切った。

それは何かの映画のワンシーンのようであり、白昼夢を見ている気分だった。

気づいたら僕は捕まっていて、君がどこにもいなくなっていて、君だけがどこにもいなくなっていた。

家族もクラスの奴らもいる。なのに君だけがいない。

あの夏の小さな旅を思い出す。

君の笑顔は僕の頭の中を飽和している。

ごめんよ。僕は救えたと思うんだ。

「mは何も悪くないよ。何も悪くないから。もういいんだ。投げ出してしまおう?」

そう言って欲しかったんだろう?なぁ!!





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