※この作品は二次創作です
ご本人様には一切関係ございません
口調など違う点が多々ありますがご了承ください
ヘリが落ちた
オイルリグの制圧中、爆散した
それは突然の事でだけど俺の頭は冷静にそう処理した
今のは多分白井だな
あの空色のヴォリトーを見てそう確信した
あいつに何度落とされ落としたことか
ヘリの機体はぷかぷかと浮かびそしていきなり海の中に沈み出す
深海って怖いんだよな
出来れば深いところには行きたくない
そう俺が思っていてもヘリはどんどん沈む
怖いよ
助けて
声が出ないからそんな言葉も出てこない
これ以上深海に行ってしまったらとてつもない恐怖感が俺を襲うだろう
なんとなくそう確信してしまった
嫌だ
怖いのは無理なんだよ
俺は反射的に本能的に目を瞑った
いつか地上に上がれたらいいな
そんな願いを込めて
その日1人の警察が消えた
彼に関わりがあるもの全員が全てを投げ出して彼を探していた
事件対応も大型もカジノも
全てを放り出して2日後
一人の男が彼の冷たくなった体を持って病院を訪れた
「あの人大丈夫そうだった?」
俺が車に乗り込んだ瞬間、青髪でネズミのマスクをつけた彼、刄弐ランドはそう聞いてきた
「どうだろ、だけど何とかしてくれんじゃない?」
病院に連れていった時その場にいたほぼ全員が彼のために動いていた
警察だけじゃない、ギャングもだ
相当いい人だったんだろう
俺たちも警官だった頃はあるがあんなに好かれていた人物は見たことがない
まぁ、この街はギャングと警察が仲良いのもあるだろうけど
「レダーさんって目がいいよな」
「え、なに急に」
「だって俺たちは沈んでるヘリ見えなかったよ。流石に急に人がいるとか言い始めて深海行った時はびっくりしたけど」
なんて刄弐は笑いながら言った
「うっすらヘリが見えたんだよ」
インパウンドされてないのに違和感を感じて見に行ったらたまたま人がいたってだけだ
「それについて行った音鳴とケインは溺れて死にかけるし」
「そういえばあいつら無事かな」
「今頃個人医に蘇生されてると思うよ」
『音鳴とケイン帰ってきましたー!!』
噂をしたらなんとやらで元気な彼の声が聞こえてくる
「おかえり〜」
『あ、レダー!さっきの人は大丈夫やった?』
「知らない」
『病院に連れてったやーん!!』
「俺はすぐ病院から離れたからね」
『なるほどなー!なんかあの人』
『店長に似てましたよね』
音鳴が何か言おうとした瞬間ケインがそれを遮る
「え、俺に?」
『ケイン俺それを言おうとしたんやけど』
『知ってます』
『ケイン〜?!』
そんな音鳴を無視して彼はこう言った
『雰囲気が少し店長に似てました』
「俺あんなひょろひょろかー?」
「確かに…」
刄弐はそれを聞いて笑い出す
「え、刄弐?」
「レダーさんはあんなに若そうじゃないよね」
「はいぷっつーん」
「あ、やっべ」
「ちょうどヴォリトーのブレードキル練習したいと思ってたんだ」
刄弐の笑い声が車中に響いた
黄色い仮面視点
「らだおは昏睡状態だ」
そう言われた時俺たちはどう反応すればいいのか何が正解なのか一瞬で分からなくなった
は?とそれだけ言葉を零す人も居れば大声で泣き叫んでいる人も居れば呆然と立ち尽くす者もいる
ただひとつ言えることは
同期が1人消えた
その事実だけが残酷に残っていた
「済まない、俺にはどうすることも出来ない」
鳥野さんは顔を上げることなくそう告げるだけだった
「本当に、済まない」
その声色に1番悔しいのは苦しんでいるのは彼だと誰もが痛感した
1番苦しんでいるのは彼のはずなのに、
なんで俺がこんな苦しんでるんだ?
長い間寝て彼と差が出来てあいつがつらい時にそばに居ることすらしてやれなかった俺がなんで
こんなに寂しがってるんだろう
思わず下唇を噛んでしまう
もしあの時、ヘリが落とされた瞬間俺もヘリを降りて真っ先にらだおを助けるべきだったのか?
後ろからヴォリトーが来てるって報告すればよかったのか?
俺が自滅覚悟でアタックしたら良かったのか?
俺があいつの代わりになれば良かったんだ
「ぺいんそう思い込むな」
「こうて」
顔を上げて彼の顔を見た瞬間思わず言葉を飲み込んだ
「誰も、悪くない」
そう悪くないと言ったはずの顔は怒りに満ちていて殺気を帯びていた
まるで誰かを恨むように
「悪くないんだ!」
彼は自分にそう言い聞かせているようだった
「そう、だね」
ここで俺が悪いなんて言えるわけがなかった
多分誰もが現実に絶望して、嘆いて、無くしてしまいたいと思ってしまっているんだろう
オールインのとある一室に叫び声が響き渡る
それを聞いてオールインのボスであるモンディーは溜め息をひとつ着いた
それを見て無島は少し困った様子でその一室に目を向けた
同情のようななんとも言い難い感情だったのは彼の表情から見れば明白だった
らだおが昏睡状態になった
その報告を受けた時一瞬で頭が真っ白になった
なんで?どうして?そんな言葉ばかりが浮かんでしまう
詳しく聞いてみるとどうやら 俺が落としたあの日から目覚めていないらしい
それは、俺があいつを殺したということを意味していた
そうわかった瞬間なんとも言えない虚無と絶望感そして腹の奥で煮えたぎる殺意が一気に流れ込んできた
思わず吐き出してしまう
俺があいつを殺した
ライバルと言って笑いあっていたあいつを
この手で
俺は友達をこの手で潰したんだ
こんな俺に空を飛ぶ権利なんてあるんだろうか
親友から空を奪った俺が空を飛んでいいわけが無い
この世界で楽しんでいいわけが無い
仲間と一緒に笑って言い訳がないんだ
もう一度スマホを覗く
そこには俺が描いた彼の絵が写真がヘリが消せるはずのない思い出が俺を待っていた
また悲壮感にあけくれどうしようも無い感情を吐き出すように大声で叫ぶ
コレが俺のルーティーンになってしまった
黄色い仮面視点
あれから何年か経った
らだおはずっと寝たままで起きる気配は無い
いつ行っても彼は呑気に寝息を立てているだけだ
それに安心すると同時にいつか本当にこのまま死んじゃうんじゃないか
そう心配してしまうほど彼の存在は儚くて消えやすいものになっていた
「空青いなぁ…」
ダウンした体で空を見上げながらそう思う
バイクで事故って死んだ
簡潔にまとめてみたらあまりのダサさに鼻で笑ってしまう
気分転換で早く退勤した俺が悪いのか…
けど最近の警察はあまりに空気が重くてとてもじゃないが居られる状況じゃなかった
あまりの重さにギャングが気を使って大型が起こる回数が劇的に減ったほどだ
これは街全体で見ればいいことなんだろうけどどこか昔のような活気は無い
どこかみんな寂しがっている
この先俺たちはどうなるんだろうな
このまま街ごと廃れてしまうのか
だけどもうそれでもいい
俺はお前がいなくなって何もかもやる気がないよ
救急隊に通知を出さなければならないなと思いながらも体を動かす気にはなれない
このまま寝てしまおうかな
現実から逃げ出したい
あいつが居ないこの世から
そんなこと思いながらふと思い出した
あいつもダウンしながら寝たじゃん
なんで俺がダメであいつはいいんだ
俺も寝ていいじゃんか
どうせなら…
ごめんな、らだお
お前がいない間にめっちゃ俺は廃れちまったよ
お前が思っているような優しい俺はもうあの時死んじまった
けど、安心しろよ
もうこれ以上廃れることは無い
目を閉じて深呼吸をする
らだお、夢で会おうね
そう意識を手放そうとした
その時だった
プロペラの音がした
救急隊か
俺を助けに来てくれたのかな…
申し訳ないけどやめてくれ
俺を助けないでくれ
その音を聞かせないでくれ
あいつを思い出しちまう
「だいじょうぶ〜?」
やめてくれ
その声はあいつを思い出しちゃう
やめてくれよ
「ぺいん?」
「は?」
ゆっくり目を開けてみるとそこには見慣れた青鬼の姿
「なんで、お前…」
「え、暇だったからヘリレースしに来た」
なんでそんなに驚くんだろうとでも言いたげな顔で彼はそう答えた
あんだけ寝てみんなを悲しませて起きた1言目がそれかよ
思わず笑ってしまう
そっか、お前ってそうゆうやつだったな
いっつもどっかぶらぶらして皆が慣れた頃に帰ってきて刺激を与える
お前は、そんなやつだったな
「なぁ、らだお」
「ん?」
「病院まで送ってくれね?」
「え〜俺レースしたいんだけど」
「頼むよー!!」
そうゆうと渋々俺の体を拾ってくれた
いつもヘリに乗っていたはずなのに今日は一段と風が気持ちいい
「らだお」
「何?」
「俺、ヘリ上手くなったよ」
「おー、後で見せてよ」
「みんなも上手くなったよ」
「へぇ、ドリーのヘリとか怖そう」
「らだお」
「何?」
彼は少し笑ってやっとこっちを向いた
「お前はもう1人で空を飛ばなくてもいいからな」
「俺たちがいるから!」
だから
そう言葉を繋げようとした瞬間涙が出てしまう
あまりに彼の顔が優しかったから
声が優しかったから
ぽたぽたと流れるこれをどうしても止めることが出来ない
「だか、ら」
「おまえは、1人じゃ、ないから」
「うん」
「ありがとな、ぺいん」
必死に言葉を繋ぐ俺を見て彼は優しくそう言ってくれた
「うん、!!」
やっと、俺の心の中にある何かが報われた気がした
それから少しして大型がらだおがいる時より頻繁に起きるようになったのは気のせいだろう
[END]
コメント
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らだおが寝て数年後に起きた時の反応というリクエストですがみんなの反応がほとんどありませんでした...もう少し上手になったらまたチャレンジしてみようと思います! ここではリクエストなども募集しております