控室のドアを開けると、グループのメンバーたちの賑やかな笑い声が耳に飛び込んできた。
その中心にいるのは、兄。
「お前、水の飲み方かわいいよな〜子どもみたいで笑」
「子どもって言うのやめてください、もーりー! 」
楓弥がでかい声でつっこみ、それをさらにからかうようにひでは笑う。
誰にでも引っ付いてニコニコ笑う楓弥は俺から見てもかわいい。
ため息をつきながら、控室の奥のソファに腰を下ろした。
気づけば勇馬が隣に座ってきて、兄の方を見ながら肩をすくめる。
「森くん、ほんとに年下の弟っぽい子好きだよね。お兄ちゃん気質っていうか」
「そうだね」
曖昧に返事をしたものの、心の中ではマイナスな感情が膨らんでいく。
誰にでも“かわいい”と言う兄。それが何故か自分をモヤモヤさせていた。
____
その夜、仕事を終え、グループの打ち上げを終え、各自それぞれの家に帰る流れになった。
しかし、兄は自然と俺の後を追い、自宅へ押しかけてきた。
「……で、何しに来たの?」
「いや、最近全然ゆっくり話せてないじゃん。お前、俺に冷たいしさ。家に行けばいいかな~って思って、来た」
「……冷たくなんかしてないだろ」
ぶっきらぼうに答えたが、内心では兄の言葉に少しドキッとしていた。
冷蔵庫から水を2本取り出し、兄に渡した。
「お前さ……最近、俺のこと避けてない?」
その言葉に、目を見開いた。
「避けてなんか__」
「言い訳はいいって、俺には分かるんだよ。何が気に入らないのか教えて」
兄の真っ直ぐな視線に、俺は口を閉ざした。心の中で膨らんでいた不満が一気にこぼれ落ちる。
「……ひでは、誰にでも“かわいい”って言うよな」
「は?」
「楓弥にだって言うし、後輩にも言うでしょ?俺もあんな風に言われてるだけかって思うと__」
そこで、言葉に詰まる。
別にそれでいいはずだ。自分はそれ以上の何を求めているんだろうか。
そんな俺を見て、兄は苦笑した。
「お前、バカだな」
「……なんだよ」
「楓弥や後輩に“かわいい”って言うのと、お前に言うのが一緒だと思ってんの?」
「……じゃあ、違うって言うの?」
挑むような目を向けると、兄はわずかに目を細め、俺の隣に座り直し、じっと見つめてきた。
「お前さ、俺がお前のことをどんな風に見てるか、全然わかってないな」
「え……?」
低く、真剣な声に、心臓が大きく跳ねた。普段の陽気な兄からは想像もつかない色気が滲んでいて、一瞬、目眩がするようだった。
「みんなに言う“かわいい”は動物や赤ちゃんに言うような感覚だよ。でも、お前は……」
兄の手はゆっくりと頬に触れてきた。
「愛おしくて、宝物みたいに大切にしたい。」
__指先の動きが変わる。頬を伝い唇を撫でた。
「……っ!」
「ここ、かわいい」
「……ぁ…」
その溶けそうな甘い視線に、痺れたように動けなくなる。
その間も指先は止まらず、喉を滑り鎖骨に触れる。
「ここも、ここも、」
ゆっくり、ゆっくりと、全身を愛おしむような手つきで撫でられて、羞恥と気持ちよさで顔に熱が集まる。
「…………ひで、」
「全部愛おしくて、虐めたい。食い尽くしてやりたい。そういう風に思ってる」
その瞳は欲が滲んだ獣のようで、腹の底がきゅうと音を立てた。
____
「……いっぱい虐められて腫れちゃったね、ここ」
真っ赤になった胸の飾りはぷっくりと腫れて主張している。
「かわいいね、しゅーと」
「……ぁっ…やァ……っ」
フッと息を吹きかけられ、思わず声が漏れる。
「その声も、かわいい。もっと聞かせて」
「ンっ……ちが…っ」
スウェットを下げ、中心を布越しにつつかれた。
「ここ、苦しそうで、かわいい」
「………ぁうっ…」
耳元でそんなことを囁かれ、頭がクラクラした。
兄の口からかわいいが止まらず、羞恥心と甘ったるさで頭がどうにかなってしまいそうだった。
____
「………あッ…ぁッ…んっ…」
両腕を拘束され、揺さぶられる。
「しゅーと、かわいいっ、かわいい、」
「ぁ…かわいいって、ンっ…いいすぎっ……っ」
恥ずかしさと嬉しさでよく分からない涙が溢れ、 兄がその涙をちろりと舐めた。
「かわいいよ」
「ゃ……っ、かわい、……って、んッ…やめ…っ」
「やだやめない。かわいい、俺のしゅーと…」
「……ぅあッ……はァ……っあ”」
快楽とドロドロに甘やかすような声色に溶かされ、意識が遠くなる。
ポタリと水滴が顔に落ちてきて、見上げると、兄は熱っぽくも蕩けるような優しい目で俺を見つめていた。胸の中で何かが撃ち抜かれるような感覚とともに、ようやく気づく。
____この人は、自分だけのものだ。
甘ったるい熱に浮かされながら、意識を手放した。
コメント
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やっぱりしゅーとくんは特別なひで😊