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あの屋上でのことはきっと忘れないだろう。私にとって大きな出来事だった。でも、もっと大きな出来事はすぐに起きた。
「ねえ、奏。奏が作った曲にMVを付けたい」
「え?」
屋上で私の曲を瑞稀が聴いていた時、瑞稀が私に言ったんだ。その言葉は私の胸を抉った。
「この曲にMVを付けたいんだ。すっごくいい曲で、優しくて。でも、大きな絶望があるけど、小さな温もりがあるの。この曲にそんなMVをつけて、形にしたい。ダメ、かな」
「ごめん、それはちょっとダメかな。だってこの曲は、」
ーお父さんを苦しめた曲、だから。
「え、?これが?」
「うん。この曲を聞いてからお父さんは更に曲を作るようになった。でも、間違いなくこの曲はお父さんを追い込んでた。だから、この曲につけるのはダメ、かな」
「ならぼくは無理矢理にとは言わない。だけど、この曲だからこそぼくはちゃんと、MVを付けたい。この曲はきっと、多くの人を救えるはず。聞いてたら心が楽になれるような、そんな感覚がしたんだ。きっとそれはお父さんも同じなんじゃないかな。結果的によくない結末になったかもしれないけど、きっと奏のお父さんはこの曲に救われたはずだよ。”奏がこんな曲を作れるんだ。私も頑張らないと”って思ったんじゃないかな。」
その言葉に返せなかった。返す言葉が見つからなかった。
「でも、やっぱりこれは、!」
「じゃあ、もう一人にも聞かせようよ。この曲。聞いて欲しい人がいるんだ。少し、待ってね」
すると瑞稀は、スマホを取り出して、誰かに連絡を取り出した。
ー誰が来るんだろう。怖いな。
「お、今から来るみたいだよ!」
「、」
「大丈夫だよ、奏。いい子だから。もしかしたら苦手かもしれないけど、きっと大丈夫だから。」
ガチャ
すると、屋上の扉が開き、一人の女の子が来た。
「瑞稀ー。急に屋上に来てってどうしたの、って、誰?」
「あ、絵名。来たんだね。あのね、この子が作った曲を聞いてほしいんだ。」
「え!?曲を作れるの?」
そう言うと、その女子は私に近づいてきた。
「え、えっと、その。誰?」
「あ、ごめんね。私は東雲絵名。よろしく」
「あ、うん。私は、宵崎奏、。よ、よろしくお願いします。そ、それで曲、なんだけど。いいよ。」
私は絵名にスマホを私、聴いてもらった。
「すごくいい曲だね。絶望してるような静かさの中に、小さな暖かさがある。この曲に絵を付けたい、な。」
「え?」
今絵名は、絵を、付けたいと言った。まるで瑞稀と同じようなことを言った。
「そうだよね!付けたくなるよね。なんか曲だけにしたくないって言うかさ、もっとたくさんの人に聞いて欲しいって言うかさ」
「そうそう!多分この曲はたくさんの人を救える。だから、もっと多くの人に聞いて欲しいな。」
そう、絵名は言った。でも、自身が持てない。だって、この曲でお父さんは、。
「一回、だけなら、いいよ。」
「「え、本当!?」」
見たくなってしまった。この二人は私の曲をどう捉えたのか。正直、すごく怖いけど、気になってしまったんだ。
「ーで、でも、一回だけ、だから」
「本当にいいの?奏」
「うん。気になったんだ。私の曲が二人にどう届いたのか。」
すると、瑞稀が言った。
「それならさ、連絡先交換しようよ!いつでも連絡取れるように!」
「そう、だね。その方がやりやすいかも」
そうして私は、二人と連絡先を交換、した。
ー大丈夫だよね?また倒れたり、しない、よね。
これから、どんな生活に変わっていくのか、全くわからないけど、きっと楽しくなっていくんだろうな。すごく怖いけど、私の曲が誰かを救えるかもしれない。
「また、曲を作ってもいいのかな」
きっとこの二人は、私のそばにいてくれる。だから、安心して作れる。そんな気がした。
(終)