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すれ違いの2人
きんとき視点
「だから言っただろ!」
珍しく声を荒げたのはBroooockだった。普段は場を和ませることの多い彼が、真剣な顔で机を叩いた。
向かいに立つきんときも負けじと睨み返す。
「俺だって考えてやったんだよ! みんなが困らないようにって!」
二人の言い合いに、空気が張りつめる。ゲームの企画の進め方を巡っての衝突――些細な意見の違いが、積もり積もって爆発してしまった。
きんときは拳を握りしめ、言葉を吐き出す。
「お前のやり方ばっかり通してたら、俺の存在意味ないだろ!」
その言葉に、Broooockの表情が一瞬だけ揺らいだ。だが、すぐに冷たい決意が宿る。
「……そう思うなら、もう一緒にいる意味ないのかもな」
玄関に向かって歩き出すBroooock。
「おい、待てよ!」きんときの声が追いかける。
だが彼は振り返らず、靴を乱暴に履き、ドアを開けた。夜風が吹き込み、冷たさと共に静寂が広がる。
「……勝手にしろ」
きんときの小さな呟きだけが、
部屋に残された。
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Broooock視点
外に出たBroooockは、夜の街を足早に歩いた。胸の奥で怒りと悲しみが渦を巻き、前もよく見えていなかった。
信号が点滅しているのも気づかず、彼は交差点に足を踏み出す。
――ブレーキ音。
――ヘッドライトの強烈な光。
次の瞬間、身体は宙に浮き、地面に叩きつけられた。
通行人の悲鳴が響く。
「救急車! 早く!」
Broooockの視界はすぐに暗く染まっていった。
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きんとき視点
その知らせはすぐにきんときの耳にも届いた。
「……嘘だろ」
駆けつけた病院で見たのは、無数の管につながれ、眠るように横たわるBroooockの姿だった。
きんときの胸に、どうしようもない後悔と恐怖が押し寄せる。
「なぁ……目、開けろよ。俺、まだ……謝ってねぇんだよ」
返事はなく、機械の規則正しい音だけが響き続けていた。
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