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俺たちが城へつくとすぐに兵士がレオナの部屋へと案内してくれた。月に数回のレオナと再会できるこの日が俺にとっては小さな楽しみだった。
自分の家のはずだけど、俺にはこの城で過ごした記憶がない。だから、たとえ妹と再会できるからといって落ち着けるわけでもなかった。
父、母と呼ばれる王様達も俺にとっては顔見知り程度。それでも父はレオナと俺も変わらない態度で接してくる。
父は豪快に笑いながら、俺の髪をぐしゃぐしゃと撫でると、「また大きくなったな!」と俺に言ってくる。それでも、俺はこの国にはいらない存在。
王子様にもなれない人間なんだ。
「それにしても、リオン様の成人式だからかお城が騒がしいわね」
「そうですね、なにせ第一王子の成人式ですから。今後、この国を背負って立つお方、私たちもそんな方の成人式をご一緒に迎えられるなんて幸せです」
レオナの部屋まで案内してくれる兵士がニコニコしながら話す。
「王子様は日に日にご立派になられて、王様にも負けないほどの剣術を身につけられました。しかし、シスターソラ様の弟君もまた水の国では名の知れた剣豪だと聞きます。
一体どんな訓練をされたんですか?」
俺に話題を振ろうとした兵士の問いに、俺は答えなかった。すると、俺の全く答える気のない雰囲気を察したシスターが代わりに答える。
「シオンには、剣術の才がありました。幼い頃から、大人に混じって訓練していたからでしょうか」
「なるほど、王子様と対峙すればいいものが見れそうですな」
そういうと、案内兵士はハッハッと笑った。
「何を勝手なこ、、いっ!!」
俺が兵士は悪態をつこうとしたことがシスターにばれ、腕の皮をつままれる。俺がシスターを見上げると、鋭い目つきで俺を睨んでいた。
他の人にはこの本性絶対言うべきではないなと考えていることも読まれ、また皮をつままれた。
ある程度歩くと、兵士が扉の前で立ち止まる。扉の奥から、なんだか喚き声のような泣き叫んでいるような声が聞こえる。
「さぁつきました。今日のレオナ様は少しお機嫌が悪いようですな」
兵士は、またハッハッと笑った。風の国の兵士は皆ポジティブなんじゃないだろうかと思うくらい、笑顔だ。普通なら姫が泣いてるのに気付けばオロオロしながら慌てふためくものだと思うが、ある意味明らかなのか。
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