テラーノベル
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「1年C組。勝つぞー!」
「「「「「おー!!」」」」」」
優也の掛け声でクラスが一致団結していて、僕もその円陣の中に入っているところ悪いが、生徒会で忙しいため、種目に出ることができないのである。種目に出ないやつがこの円陣の中に入っていていいものかと思うのだが、だれも指摘しないからいいだろう。
クラスが集まっている座席から抜けて、生徒会のメンバーが集まっているところに僕は向かった。
「生徒会。勝つぞー!」
「「「おー!」」」
風間先輩と田井中先輩と榎木園先輩が円陣を組んでそんなことをやっている。
「何やってるんすか?」
そもそも何に勝つんだよ。僕たち種目に出られないよ。
水城先輩はもうあきらめの境地に至っている。
「ほら、いろんなクラスでそういうことやっているから。俺らもやろうと思って。」
「だったら『頑張るぞー!』にしてください。『勝つぞー!』はまったく意味がないです。」
「じゃぁ、全員組んで。」
水城先輩も風間先輩が連れてきて全員で円陣を組んだ。
「生徒会。頑張るぞー!」
「「「「「おー!」」」」」
「じゃぁ。風間先輩。開会式頑張ってきてください。」
そう言って、僕らは放送室に入った。
それから放送の仕方を教師に教えてもらい、中で待機していた。
9時45分。放送を開始した。
『生徒の皆様は、下まで降りてきてください。』
それからそれぞれのクラスごとに並び、生徒たちは校長の『みんな頑張ってください』という12文字の開会式を聞いた。それから生徒会長の言葉であるが。
「みんなぁぁぁぁ!聞こえてますかぁぁぁぁ?」
「「「「「イエーーーーーーーイ」」」」」
歓声が上がる。風間先輩のカリスマ力は高く、生徒からは結構な人気を誇っている。放送室の扉を今開けたので放送室にも聞こえてくる。
「体育祭を楽しむ準備はできているかぁぁぁぁ?」
「「「「「イエーーーーーーーイ」」」」」
「今日を楽しむ気はあるかぁぁぁぁ?」
「「「「「イエーーーーーーーイ」」」」」
「体育祭を!最高の思い出にしよーぜぇぇぇぇぇぇ!」
「「「「「イエーーーーーーーイ」」」」」
「それじゃぁ。2100年体育祭を開始いたしまぁぁぁす!」
「「「「「イエーーーーーーーイ」」」」」
生徒から大きな拍手を受けて、風間先輩は台から降りた。
『では、第1種目目の100mリレーの高校1年生と、第2種目目の大玉リレーの高校3年生、第3種目目の大縄跳びの高校2年生の生徒たち以外は、上の観客席に戻ってください。』
なんやかんやと騒ぎながら生徒たちが上の観客席に戻っていく。
「じゃぁ、実況お願いしますね。田井中先輩。」
「オッケー」
僕は次の種目の大玉リレーの準備を始める。
球を転がして、100mリレーの邪魔にならないように、4つを体育館の真ん中に置いておく。
『さて、100メートルリレーが始まりました。実況を務めます。田井中 航です。』
あぁ、始まったか。今日は変に言葉延ばさないんだ。
『ただいま、D組が速いです。そのあとに続くようにC A Bと続きます。』
田井中先輩が一人ぼっちで実況し続け、結果B D A Cとなった。
「つーかーれーたー」
榎木園先輩に放送を変わってもらった田井中先輩が、僕の方へ近づいてきた。
「まだ、1種目目ですよ。」
「あのなー、一人実況ってきついぞー、特に順位が全然変わらないときー。」
「次の大縄跳び・リズム同調の準備を始めないと。倉庫から縄持ってきて。」
大縄跳び・リズム同調とは、音楽とのリズムの同調度をAIで判定(%の半分)ととんだ回数(1回1p)で順位決定する仕組みである。
放送室に駆け込み、音楽が流れるようになっているかを確認。AIの機能の入ったカメラが起動しているかの確認。
全て問題なかった。
「畠中―、縄の準備―できたよー。」
田井中先輩が片手に3本の縄をもって倉庫から出てきた。
「働けぇ。高3!」
田井中先輩が何をすればいいかわからなさそうに、突っ立ってる水城先輩と風間先輩に向けてそういった。
「やっと仕事か。」「わかった。何すればいい?」
「この大玉リレーが終わったら、床の上に真っ直ぐにして置いといてください」
「イエッサー」
風間先輩が命令する僕に対して、嫌味をこめて言ったのだろう。
「はいっ。じゃぁ仕事しましょう。」
高1のVR障害物競走のVRゴーグルの入った籠を倉庫から取り出し、置いておく。
大玉転がしの結果が出て、大縄跳び・リズム同調の準備ができた時に、北上先生が走って僕のもとへ寄ってきた。耳を貸せというジェスチャをしてから、僕の耳元でささやいた。
「ラガが来てる」
「服装は?」
「洋服」
「‥‥じゃぁ、僕が行きますよ。」
この学校の生徒は、見ていてわかると思うが財界 政財界 裏社会の子息・令嬢が圧倒的に多いため、文化祭 体育祭などでは身分証明書の提示、誰の誘いで来たのか。それを書かなければいけない。
北上先生を連れて受付の方へ早足に向かう。
「頼む。中に入れてくれ。」
受付の前で土下座している人がいる。
「だから‥‥身分証明書の提示を‥‥」
受付の教師がどのように対応すればいいかをずっと迷っているようで、いきなり土下座をされて、困った顔をしてくる。
「平さん。受け付けの人が困っていますよ。」
「おぉ。幸人。ここの中に入りたいんだけどよ、」
「彼方からの命令(お願いと読む)ですか?」
「そうそう。中に入れてくれないか?」
「分かりました。すいません先生。僕が彼を中に入れることを許可します。身分証の提示だけは避けたく。」
「‥‥」
少々間が開いてから、『わかった』という言葉が教師の口から出た。
国家機密に当てはまる人間が入ると思っているのだろう。身分証の提示を断られた場合、誘った人によっては中に入れることが禁止されているが、信頼が高い人と判断された場合、身分証の提示をしなくても中に入ることを許可する。しかしおそらくではあるが、教師としては生徒会の力が働くことを嫌がったのだろう。
「ですが、平さん。僕は競技には出ませんよ。裏側でいろんな準備をして、昼休憩の時に踊るだけです。」
「全然問題ないよ。汗水たらして頑張る様をカメラに収めておくよ。」
平賀さんはリュックサックから取り出したカメラを格好つけて構えて見せた。
「平さん。カメラの持ち込みは禁止ですので、回収させていただきます。」
平賀さんの手からカメラを回収し、受付の箱の中に入れておく。
「頼むよ。」
「規則は規則ですので。彼方には言葉で説明すればいいでしょう。カメラは後で返しますから。これ以上教師と僕らに、迷惑をかけないでください。」
「はいはい。じゃぁ、観客席に行きますよ。」
観客席の方へ向かう平賀さんを見送り早足で体育館に戻る。
体育館に戻ると、大縄跳び・リズム同調の真っ最中だった。
「高2のドローン騎馬戦のために、ドローンとフルトラッキングデバイスを準備して。」
ちょうど近くにいた榎木園先輩にお願いする。
2つ後の種目の準備まで、ある程度ひと段落したからと言って終わりではない。そう、片付けがあるのだ。
「大縄跳び・リズム同調が終わるまでー、長くて2分半ってところですかねー。」
準備がひと段落して、軽い休息をとっている僕の隣に、田井中先輩が寄ってきた。
「そうだといいですね。」
そんな風にほのぼのとみていると、最後のクラスの縄が止まり、続くように音楽も止まった。2分半と思っていた休息はわずか10数秒も持たず消えた。
「さーいーあーく―」
田井中先輩は、体育館の床の上にうずくまった。
「片付けますよ。田井中先輩。」
そう言っても動かなかったので置いといた。確かに最悪な気分。2分半あった予定の休息が一瞬で消えた。
床に置いておいたVRゴーグルを高1のVR障害物競走の選手のいる場所まで持っていき、一人一人に配る時間はなかったので、そこは教師に任せて、大縄跳び・リズム同調の縄を片付ける。
確か、VR障害物競走の実況は水城先輩だった気がする。ドローン騎馬戦の実況が僕なので、1つ前の競技前に放送室に入っておく。放送室のガラスも映像が映し出されるガラスのようだ。というか、映像が映し出されるガラスじゃなきゃ実況ができないのだが。
「始まりました。VR障害物競走。今回の最難関はあのレーザーでしょうね。レーザーに触れるだけで失格となります。これは早さだけでなく、精密さも求められます。」
さすがに厳しすぎるといったのだが、あの3人がそうしたいといったためそうなった。
「さて、早くもD組ハードルで失格が一人出ました。D組あと3人で頑張ってください。」
ハードルもVRなので触れることはできないので、数学的に考えられハードルが倒れる。と考えられた場合、失格となる。
「さて次は、幅12㎝の上を歩いていただきます。おーっと、A組3名 B組2名 C組2名 D組2名 失格です。」
これは、いわゆる平均台と似ているが、平均台の場合落ちてもやりなおせるが。このルールの場合。失格。レーザーまでたどり着く前に全員失格になりそうな勢いだが、C組には優也がいる。
「さて、続いては走り幅跳びです。2.5mの池を飛び越えてください。もし飛び越えられず、池の中に落ちたら、ピラニアに食われます。」
これは風間先輩の案だった気がする。
「これを超えれば、残すはレーザーのみとなります。頑張ってください。」
これを超えればって簡単に言っているが、この学校の走り幅跳びの高校生の平均は1.8mだからな。
「おっと、A組の子が挑戦します。2.3m届きせんでした。ピラニアの餌食になってしまいました。」
池に落ちた少年がピラニアに食われる画像が流れる。地味に嫌な絵面。
「C組の子が挑戦。クリアしました。」
優也が2.7mで飛び越えた。
「さて、できると思った人たちがどんどん飛んでいきます。‥‥全員ピラニアの餌食にされてしまいました。残念ですねー」
「‥‥最悪の実況。」
心の声が漏れてしまった。
「さて、レーザーを行けるかD組の少年。」
しかし、無理だった。多分、優也のワザとなのだろう。これを超えたらさすがにヤバイ。ばれたらヤバイので、ワザとミスしたのだろう。
「はいっ。結果は。完走者ZEROでしたー。」
「いや、やばすぎだって。」
もちろんだが、僕の声は実況に入っていない。
「つづきまして、高校2年生のドローン騎馬戦です。皆さん準備を始めてください。」
水城先輩がマイクを切り、満面の笑みで放送室を出て行った。
教師からもらったペットボトルの水を口に含んだところで、田井中先輩が僕の次の実況のために後ろにいる。
ドローン騎馬戦とは、2人1組となり、昔の馬役はドローンを動かす。武士役といえばいいのか、上に乗る人は古トラッキングデバイスを付けてドローンの上にある人型の機会と連動させて動かす。
なぜこうなったかといえば4年前、『うちの子供の上に人を乗せるとは何事だと』キレた親がいたのと、『うちの子が落ちたら責任を取ってくれるの?』という風にキレた親がいたため、無くなったが、ドローンなら‥‥と考えて生まれたのである。
「では、ドローン騎馬戦。開始します。」
ボタンをポチッと押してホラガイの音を流す。
「今はまさに戦国のよう。A組強いです。今、2つ目の鉢巻きを取りました。取られたB D組頑張って取り返せ。おーっと。ここでB組のドローンが1機墜落しました。残り53秒です。頑張ってください。」
「ここで、C組仕掛けた。B D組の相手をしているA組の鉢巻きを取りました。一気に順位が変わった。今、A組の生徒がB組の生徒に話しかけている。これは何かの同盟か?」
「変わった。一気に変わった。A B組で挟み撃ちをしている。C組が端の方にどんどん追い詰められています。あと32秒。逃げ切れるか。あーっと。下から。下から逃げました。しかも、地面すれすれを飛んでいる。すごい技術だ。行けるかA B組。おーっとB組突っ込んだ。自滅は覚悟の上か一発玉砕か。よけられた。B組1機無駄死にだー。後12秒」
「A組も突っ込んだ。突っ込んだ。A組 C組ともに1機墜落だー。5 4 3 1 0終了です。勝者D組 A組だー。」
「続きまして。高校3年生の100mリレーです。」
マイクを切って、放送室を出る。
風間先輩や榎木園先輩たちが墜落したドローンの回収をしている間に、僕はリレーの次の準備をする。
「はい。2つ後の騎馬戦に出られる教師の皆様。騎馬の組になって組ごとに一か所に集めってください。」
教師を生徒が誘導するという事は少ないだろう。
「騎馬の組になった方から体育館の真ん中あたりに集まって、並んでください。」
教師を誘導し終えてから、ドローンの回収を手伝う。ドローン自体は頑丈だが、扱いが雑なため羽を修理しなくてはいけない。まぁ、こうなることは予想していたけど。
「午後の部が始まる前に、この羽を好感してきますね。」
回収したドローンをもって倉庫で羽を新品のものに変え、戻ってくると騎馬戦の真っ最中だった。
「どういう状況?」
「めっちゃ教師たちが頑張ってる結果、半端ない混戦になってるの。」
水城先輩が教えてくれた。
「臨時ボーナスが出るからってめっちゃ張り切ってるの。」
あの人たちの給料は結構いい方だろ。そんな人たちが本気になるって、ボーナスいくらだよ。
「そういえば、次が応援合戦で、午後の部の一番最初に踊るから。」
「あぁ、動きは覚えましたけどコンセプトってなんですか?」
「さぁ。あの3人組がどんなコンセプトで来るかは予想できないけど。」
水城先輩は首をかしげるようなジェスチャーをした。
「おーい。水城と幸人。着替えるぞ。」
大きく手を振っている風間先輩の方に僕と水城先輩は向かった。
それから15分程で僕らは風間先輩たちが用意した服に着替えた。陰陽師のような狩衣を全員が着ていた。しかし、単とさし布の色が少々ずつ違い、風間先輩は茶色 水城先輩は水色 田井中先輩は金色 榎木園先輩は薄緑 僕は赤だった。服装などから考えるに陰陽師の五芒星をイメージして造らせたのだろう。
火 水 木 金 土を表し、森羅万象を意味する。つまり、生徒会はみんな集まれば、宇宙にあるすべての事柄などができる。といった意味だろうか。
「音響は問題ないですか?」
「はい。問題なしです。」
「CGを流す機械は?」
「問題なしです。」
「動画撮影のカメラは?」
「問題なしです。」
「じゃぁ。行くぞ」
風間先輩の言葉で僕らは体育館に入った。
体育館にどよめきと歓声が広がる。僕らが決められた場所の上を歩いていると、風間先輩が決められた位置でぴたりと止まり、手拍子をした。それから、榎木園先輩が何かを操るような動作をした。
会場にさらなるどよめきが走る。
体育館の喧騒が、風間先輩がもう一度打ち鳴らした一度の手拍子で霧散した。 そしてアリーナの全照明が落ち、完全な闇が空間を支配する。そして、予定通り音楽が流れだす。
次の瞬間、重厚な太鼓の音が空気を震わせた。 その音に呼応するように、五人の足元へ鋭いスポットライトが突き刺さる。僕らは同時に地を蹴り、宙を舞った。五つの影が描く放物線。着地音すら音楽の一部に変え、僕らはそれぞれの定位置へと歩を進める。
腰には、実体のない「刀」の重みを感じていた。
「はっ!」
風間先輩の鋭い呼声。 それを合図に、僕らは静止した。意識を研ぎ澄ませ、呼吸を止める。 太鼓の連打が徐々に熱を帯び、心臓を直接叩くような轟音へと変わっていく。十五節目——そこで、僕は腰から「見えない刀」を抜いた。
鋭い居合の一閃が、空を切る。そして、立ち上がりざま、切っ先を喉元へ向ける中段の構えを取る。そもそも、中段の構えとは、刀を胸の高さで構え、切っ先を相手の喉に向ける。最も基本的でバランスの取れた構えである。
そこからは、加速する演武の嵐だった。 横一文字、袈裟斬り、逆袈裟、胴、突き。 三味線の速弾きに合わせ、斬撃の速度を極限まで上げていく。あえて型を崩し、焦燥と荒々しさを演出する。
一際強く、横一文字に空間を薙ぐ。 直後、垂直に立てた刀から手を離した。五芒星の中心を向き、二度の柏手を打つ。 一拍、二拍。 会場に響く僕らの手拍子が十回を数えた瞬間、シンクロしていた五人の動きがバラバラに解けた。
それからは、三十秒間の全力。指の先まで神経を尖らせ、存在しない刀の感触を観衆に信じ込ませる。
終焉は唐突に訪れた。 右手で最後の一振りを掴み、左手で空を切って鞘を作ったようにして、その鞘に虚空での納刀の所作を見せる。柄と鞘の端を握り、自分の目の前で掌でじりじりと、その「重み」を押し潰していく。 鉄が軋み、悲鳴を上げるような三味線の怪音が最高潮に達した瞬間――。
合わせた両手から、すべてが霧散した。 右手をずらし、掌に残った熱を逃がすように柔らかな息を吹きかける。 最後は五芒星の頂点で膝を突き、狩衣の大きな袖に顔を伏せて、深い静寂の中に身を隠した。
割れんばかりの拍手がアリーナを揺らす。 二十秒後、重厚な琵琶の音が幕引きを告げた。僕らは何事もなかったかのように立ち上がり、静かに舞台を後にした。
俺らはダンスをしていただけで、CGがないので何が起きてるかわからない。どういうものですかと聞いても榎木園先輩も田井中先輩も風間先輩も何も教えてくれなかった。
「じゃぁ、着替えてから昼食と行きますか。」
僕がそう言った。そんな予定、否、9割の確率で普通なるはずだった。つまり『going to』は、夢つまり、『dream』に変わった。決して、夢物語でなかったはずだ。普通。普通の学校であれば、このコスプレから『着替える』ことを否定されることも、『昼食』を摂ることも。
「午後は、コスプレのまま準備 片付けを行ってもらいます。」
「「「「えっ!?」」」」
風間先輩のその言葉に生徒会全員が驚いた声が漏れた。
マジか、榎木園先輩たちすら知らなかったってことは風間先輩の独断かよ。やばっ。しかし、ここでどのように反対しようともこの人に何を言っても無駄だろう。そう、榎木園先輩と風間先輩は楽しいと思わせると強い、この人たちのどちらかが全力を出せばだれも止められない。いや、法に抵触するならば、水城先輩が動く。しかし、法に抵触しない。つまり、止められない。終わった。だから、『常日頃から真面目な生徒会の人』から外されるんだよ。
「なんとなくお前が変なことを考えてる気がするからヘッドロックしていいか?」
「いいわけないでしょ。僕が風紀委員として取り締まりますよ。」
「いい時だけその権限使用すんな。」
この職権乱用の塊のような人間に、絶対に言われたくないような言葉だ。
「そんな茶番やってないで、昼食を摂りなさい。後30分後には次の準備しないといけないから。ねっ?辰巳」
あまり、『辰巳』とは誰も言わないから知らないかもしれないが、風間先輩の本名は、風間 辰巳である。そして、この名前で呼ぶのは水城先輩以外僕は知らない。そのため、つい先日、漫画研究部から押収した内容物の中には、風間先輩と水城先輩がイチャコラするものがあった。ちなみに、水城先輩の本名は賀川 水城である。
それから昼食を摂った。
「はいっ。じゃぁ頑張りましょうか。高2の綱引き 高3の全力しっぽ取りは風間先輩 高1のクラス対抗リレーは田井中先輩。それぞれ、実況などをよろしくお願いいたします。」
「お前がリーダーみたいだな。」
風間先輩にそう言われた。
「えぇ、2年後まで安心でしょ?」
「あぁ、安心だよ。」
「じゃぁ、気合入れていきましょう。お願いします。風間先輩。」
「まったく。先輩使いが荒い‥‥。じゃぁ、全員組んで。」
生徒会の全員で円陣を組んだ。
「生徒会。勝つぞー!」
「「「「「おー!」」」」」
『勝つぞー』は意味がわからないが、そこでツッコムほど野暮でもない。
「榎木園先輩、田井中先輩。綱を頼みます。」
「分かったー」「はい」
「水城先輩。しっぽを取に行きましょうか。」
「えぇ。」
ただの、しっぽ取りでも146名でやれば、面白くなるのでは?という事である。ちなみに、最後の1人になるまでではなく、15本とったら『勝ち』。というもので、当たり前だが、他人の持っているものを強奪することは禁止。暴力行為は禁止。という内容だ。
15本を取らせようとしてる時点で、普通は『勝ち』になることは不可能だ。つまり、勝つためには親の権力を使うか、使わないか、場合によっては勝手にとってくださいアピールをしてくる人がいるレベルだ。
「はい、じゃぁここに置いておきますね。」
高3の人たちの前に置いておいた。
さて、後でバトンを渡すだけで終了。それから、みんな大好き、告白祭りの予定の借り人競争。これでそういう展開にならなかったら地獄だな。
全て『好きな人』と書かれた紙をばらまけばいい。ちなみに高校1年生から2年 3年となる。だから学年違いで好きあっている人も安心であるが、それぞれ20名である。30組のカップルが成立するはずだ。
借り人競争の実況は僕だ。変な雰囲気にならなければいいが。
『では、綱引きの結果をお教えするぜぇ。勝ちはA組E組ともに同列優勝。以上終了』
風間先輩の雑すぎる結果発表。こんなことをしても生徒からの信頼を失わないのがこの人のすごいところだ。
『という事で、次は全力しっぽ取り!15本とった人から勝ち。強奪禁止。暴力行為禁止。えっ?これ無理じゃね?では、開始します!あっ、もちろんセクハラもするなよー』
アリーナ全体が軽く笑いに包まれる。
『よーいどん』
それから、3時間後。怒涛の午後の部を終えて、生徒会の面々は椅子にもたれかかっていたり、机に突っ伏している。
「終わりましたね‥‥。」
「やっと終わった‥‥」
「じゃぁ、あのダンスのやつ見る?」
水城先輩が進めてくる。
「見ますか‥‥」
あらかじめセッティングされているホワイトボードに、カメラをつなげて、スクリーンに映した。
#アクション
名無の男2
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コメント
1件
うわー、すごい熱量の体育祭回でしたね!応援合戦のダンス、刀の幻影まで見えるような演出、めちゃくちゃかっこよかったです。風間先輩のカリスマっぷりと、主人公が裏方でテキパキ仕切る姿の対比が好きです。平賀さんのカメラ没収シーン、さりげなく冷静で笑いました。次は告白祭の借り人競争…あの流れだと誰か動きそうでドキドキします🤭